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231.閑話 とある連休の最終日2

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モニターでは誠一とヴェルが憎まれ口を聞きながらも
楽しそうに話しながら、屋敷に入っていた。
ぼんやりとその風景を見つめながら、千晴は呟いた。

「鈴木誠一か。言っていたことは本当なのかな。
確か国定大学系でなく、私立の翔陵国際大学3年生の
日本歴史学科だったかな」
この時勢、国定大学系統、いわゆる旧国立大学系でない私立大に
通学できると言うことは、両親にそれなり収入があるか
資産家の子なのだろうと千晴は思った。
もちろん、誠一の妄言の可能性が高いし、
清涼や莉々子の主張する都市伝説の類なのかもしれないと思った。

千晴は、アルフレート・フォン・エスターライヒ
としての鈴木誠一でなく、現実世界でモデルとなった
鈴木誠一に興味を持ち始めていた。

「翔陵大か。まあ、そう遠くないかな」
ネットから翔陵大の情報を得た千晴は、
明日の連休最終日にでも見に行ってみようと計画した。

千晴は、事前に色々と情報を得るために清涼に
チャットでコンタクトした。
「こんばんは、起きてますか?」

シャワーで嫌な汗を拭い、ゲームに
再ログインしたばかりの清涼は、個別に接触を
してきた千晴に少し警戒をした。
先ほどのオニヤの件だろうか、いや、そんなに早く情報が
伝わる訳ないと思いつつも莉々子から情報が
漏れたかと思い、落ち着かなかった。

「こんばんは、佐藤さん。
こんな夜更けにどうしたの?
何かゲームで困ったことがあるとか?」
応じない訳にもいかず、ひとまず清涼は平静を装った。

「ゲームではないんですけど、
確か清涼さんは翔陵大卒でしたよね?」

「えっ、あっ、まあそうだけど。それがどうかした?」

「翔陵大の在籍生を探してるんだけど、どうにかならなか?」

「おっ、えっ。まあなんとか。
いやいや、どうして?ちょっとよくわからない」

千晴は、事情を都合よく改竄して、清涼に説明した。
清涼は同行する事に満更でもなさそうであった。
しかし、彼はこの件について、以前、話したように
あまりのめり込まないようにと釘を刺した。
ゲームと現実の区別がつかい妄想に浸っている
おかしな女と思われるのも面白くないため、
千晴はその点は弁えていると強調した。

 翌日、千晴が約束の場所に行くと
既に清涼がタブレットを片手に待っていた。
忙しく片手を動かしているところを見ると
ヴェルトール王国戦記でもしているのだろう。
清涼の身なりを目にした時、千晴は莉々子を
誘わなかったことを若干、後悔した。
清涼の服装はかなり気合の入ったものだった。
少なくとも大学へ調べもの行くような服装には見えなかった。
これから恋人とお洒落なレストランにでも
向かうような服装であった。
方や普段着に毛の生えたようなラフな服装の千晴であった。
二人並ぶとどうにもちぐはぐな印象を周囲に与えそうであった。
そのためかどこからともなく千晴は視線を感じていた。
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