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227.輜重隊出征16
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「えっ、ちょっと、やだ。
なんでアル君たちがここに!
ロジェ、何で起こしてくれなかったの?」
ロジェに比べて、元気そうであった。
それでもその表情から疲労は蓄積しているようであった。
部屋の外からロジェの声が聞えて来た。
「どうしてもと3人が言うことを聞かないからさ。
俺は出来る範囲で止めたぞ」
かけていた毛布を顔の前に持ち上げて
両手でしっかりと掴み、もじもじしながら、
恥ずかしそうに上目づかいで誠一の瞳を
覗き込んでいた。
「もしかして何か聞えた?」
「もちろう、うげぇー」
ヴェルが突然、呻いた。
シエンナが鳩尾に鉄拳を加えた。
誠一には後ろで何が起きたか理解できた。
そして、選択肢を違えることはなかった。
「いや何も聞えませんでしたよ。
すうすうと寝息を立てていた
無防備なキャロリーヌさんの寝顔が
見えただけです」
「そっそう、なら良かった。
あんまり女性の部屋を無遠慮に
開けるものじゃないわよ」
そう言うと、キャロリーヌは、毛布から手を離して、
くんくんと自分の腕回り等を嗅ぎ始めた。
彼女の突然の行動を誠一は理解できずに
間抜けな表情を晒してしまった。
「キャロリーヌさん、どうしました?
何もついていませんよ」
白い頬を桜色に染めるキャロリーヌ。
「ううん。
あまり肌を拭えてないから、ちょっと、
嫌な臭いがしないか気になっちゃった」
彼女の心配事を誠一は理解して、
安心させるために近づいた。
くんくん、鼻を近づけ、彼女の匂いをかいだが、
少し彼女の汗の匂いが混じっているだけで、
いつもの良い香りした。
「いえ、心配ないです。
いつもの良い香りがしますよ」
彼女の顔はこれ以上ない位に
真っ赤に染まっていた。
そして、恥ずかしそうに俯いていた。
普段、明朗活発で少しエロい彼女が
乙女のように恥じらう姿のギャップに
誠一の心臓は激しく動いていた。
脈動する血流は、至る所を緊張・膨張させていた。
誠一の軟派な行動と表情が
あまりにも自然であることをシエンナは、
半ば諦めていたが、一先ずキャロリーヌから
離そうと行動に移った。
「ちょっと、アル!鼻息が荒いわよ。
キャロリーヌさんも疲れているから、
安否が確認できたから、部屋を出よ」
シエンナに肩を揺すれて、我に返る誠一だった。
シエンナとキャロリーヌが誠一を挟んで
何やら言い争いをしていたが、そんなことを全く気に
しない男が一人いた。
「兄貴の衰弱の原因も分かったことだし。
そんなくだらない言い争いより、
姉貴、戦場の様子を教えてくれてよ」
「むっ」
「むっ」
二人の女性が口をへの字に曲げたが、
キャロリーヌがため息一つついて、話始めた。
なんでアル君たちがここに!
ロジェ、何で起こしてくれなかったの?」
ロジェに比べて、元気そうであった。
それでもその表情から疲労は蓄積しているようであった。
部屋の外からロジェの声が聞えて来た。
「どうしてもと3人が言うことを聞かないからさ。
俺は出来る範囲で止めたぞ」
かけていた毛布を顔の前に持ち上げて
両手でしっかりと掴み、もじもじしながら、
恥ずかしそうに上目づかいで誠一の瞳を
覗き込んでいた。
「もしかして何か聞えた?」
「もちろう、うげぇー」
ヴェルが突然、呻いた。
シエンナが鳩尾に鉄拳を加えた。
誠一には後ろで何が起きたか理解できた。
そして、選択肢を違えることはなかった。
「いや何も聞えませんでしたよ。
すうすうと寝息を立てていた
無防備なキャロリーヌさんの寝顔が
見えただけです」
「そっそう、なら良かった。
あんまり女性の部屋を無遠慮に
開けるものじゃないわよ」
そう言うと、キャロリーヌは、毛布から手を離して、
くんくんと自分の腕回り等を嗅ぎ始めた。
彼女の突然の行動を誠一は理解できずに
間抜けな表情を晒してしまった。
「キャロリーヌさん、どうしました?
何もついていませんよ」
白い頬を桜色に染めるキャロリーヌ。
「ううん。
あまり肌を拭えてないから、ちょっと、
嫌な臭いがしないか気になっちゃった」
彼女の心配事を誠一は理解して、
安心させるために近づいた。
くんくん、鼻を近づけ、彼女の匂いをかいだが、
少し彼女の汗の匂いが混じっているだけで、
いつもの良い香りした。
「いえ、心配ないです。
いつもの良い香りがしますよ」
彼女の顔はこれ以上ない位に
真っ赤に染まっていた。
そして、恥ずかしそうに俯いていた。
普段、明朗活発で少しエロい彼女が
乙女のように恥じらう姿のギャップに
誠一の心臓は激しく動いていた。
脈動する血流は、至る所を緊張・膨張させていた。
誠一の軟派な行動と表情が
あまりにも自然であることをシエンナは、
半ば諦めていたが、一先ずキャロリーヌから
離そうと行動に移った。
「ちょっと、アル!鼻息が荒いわよ。
キャロリーヌさんも疲れているから、
安否が確認できたから、部屋を出よ」
シエンナに肩を揺すれて、我に返る誠一だった。
シエンナとキャロリーヌが誠一を挟んで
何やら言い争いをしていたが、そんなことを全く気に
しない男が一人いた。
「兄貴の衰弱の原因も分かったことだし。
そんなくだらない言い争いより、
姉貴、戦場の様子を教えてくれてよ」
「むっ」
「むっ」
二人の女性が口をへの字に曲げたが、
キャロリーヌがため息一つついて、話始めた。
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