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223.輜重隊出征12
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「ふむ、シエンナのようにはいかぬな。
あれの人を逆撫でする技は秀逸と言うことだな」
「言いたいことはそれだけか!
オニヤ殿、ここは戦場だ。学院ではないのだよ。
あなたも軍律に従って貰おう。
余計な口は挟むな」
宮廷魔術師第三席の地位は
張りぼてではなかったようだった。
剣豪の殺気に怯むことなく踏みとどまった。
しかし、そこまでであった。
剣豪の右手が刀の柄を掴むと、妙な声を出して、
尻もちをついてしまった。
「ピギャ」
妙な叫びを上げたレドリアン導師は、
そのままの姿勢で後退りしていた。
それを目にした誠一を始めとした学院生は、
彼を笑う事は無かった。
そもそも最初の剣豪の殺気に中てられて、
動けなかった。
剣豪の圧を感じながらも反論したレドリアン導師に
どの学院生も驚いていた。
「ふむ、いと仕方なし。
あなたに恥をかかせる訳にはいきませんな」
剣豪は肩を竦めると、刀から手を離し、殺気を解いた。
「おい、オニヤ殿。
流石に関内であれ程の殺気を放たれては、
黙っていられないぞ」
レドリアン導師が立ち上がることに
手を貸した高貴そうな騎士が不敵な笑みを作り、
剣の柄を手にした。
「いやいや、まあ、大人げなかったが、
流石にもう少し事情を話せば、聡い学院生!
力をかすであろうよ」
剣豪も不敵な笑みで返した。
「今日のところは、割り当てられた寝所で
休んで貰おう。
オニヤ殿はカリバーと共に疲れているところすまないが、
ドルレアン侯爵の元まで来てもらおう」
アーロンは目に映るアルフレートには一切、
声もかけず視線も交わさずに剣豪のみと話していた。
廃嫡したとはいえ、清々しいまでの無視ぷりであった。
「学生諸君、聞こえなかったかな?
割り当て先の寝所で休みなさい。解散だ」
学生諸子は、一礼すると蜘蛛の子を散らす様に
この場を離れ、寝所に向かった。
「アル、おい、アルってば」
寝所で誠一に話かけるヴェルであったが、
アーロンのことを聞かれることは分かっていた。
答えることはめんどうであったために
寝たふりをしていた。
「本当に寝てんのかな?
どうしよう、兄貴や姉貴に到着を
伝えるのもだけど、両親を紹介しとかないと、
俺が締めあげられる」
「おーい、アルってば。
シエンナも呼びに行くけど、付き合ってくれよ」
ヴェルは声をかけて、身体をゆすっていたが、
一向に起きる気配を感じないため、強行手段にでた。
「うりゃー、これでどうだ」
誠一が毛布の代わりにしているマントを
引き剥がした。
「まったくヴェル。
いい加減にしないと流石に怒るぞ」
諦めて、起き上がった誠一だった。
寝起きの演技をしてみるもヴェルには
通用していないようであった。
あれの人を逆撫でする技は秀逸と言うことだな」
「言いたいことはそれだけか!
オニヤ殿、ここは戦場だ。学院ではないのだよ。
あなたも軍律に従って貰おう。
余計な口は挟むな」
宮廷魔術師第三席の地位は
張りぼてではなかったようだった。
剣豪の殺気に怯むことなく踏みとどまった。
しかし、そこまでであった。
剣豪の右手が刀の柄を掴むと、妙な声を出して、
尻もちをついてしまった。
「ピギャ」
妙な叫びを上げたレドリアン導師は、
そのままの姿勢で後退りしていた。
それを目にした誠一を始めとした学院生は、
彼を笑う事は無かった。
そもそも最初の剣豪の殺気に中てられて、
動けなかった。
剣豪の圧を感じながらも反論したレドリアン導師に
どの学院生も驚いていた。
「ふむ、いと仕方なし。
あなたに恥をかかせる訳にはいきませんな」
剣豪は肩を竦めると、刀から手を離し、殺気を解いた。
「おい、オニヤ殿。
流石に関内であれ程の殺気を放たれては、
黙っていられないぞ」
レドリアン導師が立ち上がることに
手を貸した高貴そうな騎士が不敵な笑みを作り、
剣の柄を手にした。
「いやいや、まあ、大人げなかったが、
流石にもう少し事情を話せば、聡い学院生!
力をかすであろうよ」
剣豪も不敵な笑みで返した。
「今日のところは、割り当てられた寝所で
休んで貰おう。
オニヤ殿はカリバーと共に疲れているところすまないが、
ドルレアン侯爵の元まで来てもらおう」
アーロンは目に映るアルフレートには一切、
声もかけず視線も交わさずに剣豪のみと話していた。
廃嫡したとはいえ、清々しいまでの無視ぷりであった。
「学生諸君、聞こえなかったかな?
割り当て先の寝所で休みなさい。解散だ」
学生諸子は、一礼すると蜘蛛の子を散らす様に
この場を離れ、寝所に向かった。
「アル、おい、アルってば」
寝所で誠一に話かけるヴェルであったが、
アーロンのことを聞かれることは分かっていた。
答えることはめんどうであったために
寝たふりをしていた。
「本当に寝てんのかな?
どうしよう、兄貴や姉貴に到着を
伝えるのもだけど、両親を紹介しとかないと、
俺が締めあげられる」
「おーい、アルってば。
シエンナも呼びに行くけど、付き合ってくれよ」
ヴェルは声をかけて、身体をゆすっていたが、
一向に起きる気配を感じないため、強行手段にでた。
「うりゃー、これでどうだ」
誠一が毛布の代わりにしているマントを
引き剥がした。
「まったくヴェル。
いい加減にしないと流石に怒るぞ」
諦めて、起き上がった誠一だった。
寝起きの演技をしてみるもヴェルには
通用していないようであった。
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