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214.輜重隊出征3

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ファブリッツィオの檄のお陰か、
学生たちも行軍中はそれなりに緊張を保っていた。
朝、昼、夜の休憩時は、ファブリッツィオの
演説の話題で持ちきりであった。
どの話題もファブリッツィオを悪く言うものはなく、
好意的なものばかりであった。
無論、そんな噂を拾って来ては、ファブリッツィオに
ご注進する取り巻き達も鼻高々であった。

「ふっふぁふぁふぁ」
一人でいると妙な笑いが込み上げて来て、
止まらないファブリッツィオであった。
魔術院に入學して以来、かつてない程に
彼は上機嫌であった。

「おいおい、また、ファブリッツィオの奴、
妙な笑い声をあげていないか?」
ヴェルが誠一に同意を求めた。
「まっ、気にすることないよ。
気のせい、気のせいにしておこう。
彼のお陰で軍としての体裁が最低限、
保たれたんだし、誇って当然だよ。
こういったリーダーシップ的なことは、
学業じゃ計れないからさ。
まあ、でもあの笑い声が周囲に漏れていることを
誰か言ってあげないとね」
そう言うと、誠一はくすりと笑った。
ヴェルもつられて、くすりと笑った。

「アル、余計なことするなよ。
笑いのネタがなくなるのは辛い。
やっぱさ、軍隊って独特の雰囲気と緊張があるから」
誠一は軽く頷くと欠伸をして、眠り始めた。
ヴェルもつられて、欠伸をすると、眠り始めた。

北関まで残り3日という場所で行軍が一旦、停止した。
上空を見上げるカリバーは険しい表情をしていた。
「ちっ、ここまで来て、アレが出現しやがったか」

上空に見える5つの黒点が次第に大きくなってきた。
ぼんやりとだが、誰の目にもそれが上空を飛翔する竜に
見える様になった。

「くそったれ、全軍、地上戦に備えろ。
大量の魔物が現れるぞ」
カリバーは左右の騎士に伝え、本人も剣を抜いた。

一方、誠一たちは、上空を舞う竜に目を奪われていた。
滅多にお目にかかることのできない飛竜とその騎士。

「おおっ、アル!竜騎兵じゃんか。
しかも飛竜だぞ」
ハルバートを片手に興奮するヴェルであった。
誠一も感動していたが、高々、五騎の飛竜で輜重を
攻撃して成功するのか甚だ疑問であった。

更に伝令された内容に首を傾げた。
「地上戦に備えろって、どういこと。
弓矢、魔術で撃ち落すのが定石じゃ」

「さあ、何かあるんじゃね?
あの竜騎士が一騎当千の強者なんだろう。
まっ、このヴェル様のハルバートの餌食に
なるだけだろうけどな」

恐らく何かあるんだろうと思い、
誠一も7面メイスを構え、前線の構築のために
急いだ。
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