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196.北方戦役6
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「とりあえずは」
アーロンが馬上から隣の騎士へ
何かを言おうとした時、騎士の首が拉げて、
血が噴き出した。
そのまま、しばらく馬は走っていたが、
騎士は振り落ちてしまい、馬は何処かへ
行ってしまった。
「おい、逃げるなよ。
馬に追い付くのは大変なんだよ。
何人か名のある騎士を生きたまま、
捕獲するように言われてるんだ。
大人しく地に臥せろ。
そしたら、魔物の餌だけは勘弁してやる」
馬上のアーロンまで飛び上がると、
手斧をアーロンに向けて、振り下ろした。
「ちっ」
舌打ちすると、アーロンは、長剣で手斧を受けた。
長剣は、折れる事無くその役割をはたしていた。
「ぐううむ、魔術の施された剣か。
うざったい」
蛮族は手斧から背中に背負っている戦斧に
素早く切り替えた。
両手で握り、先ほどと同じように飛び上がり、
戦斧を振り下ろした。
その瞬間、空より飛来した炎が蛮族を包んだ。
「ぐわっ」
叫び地面を転がる蛮族であった。
地面の土に炎を擦りつけて、消化させようとしていた。
「アーロン卿、急ぎなさい。
敵軍が停滞している内に出来る限り距離を
かせぎましょう」
レドリアン導師は、アーロンを急かした。
「侵入する万物の全てをここで焼き尽くせ。
フレイムウォール」
厚く高く長い炎の壁が地面を立ち上がり、
敵軍の侵攻を防いでいた。
「流石は、この国の魔術院の卒業生。
あやつはここで殺しておきたいが、
今は撤退を優先するか」
馬にひと当てすると、アーロンは撤退を始めた。
「アーロン卿、いずれ戦場でまた、
相まみえるでしょう。
王国の関まで撤退します」
レドリアン導師も馬にひと当てして、
一目散に撤退した。
ダンブル領グレートウォール主城にて、
グリード・ダンブルは、白い鎧で全身を覆い、
麾下の騎士団の前にいた。
直属の騎士団も白い鎧で統一されていた。
「穴熊砦にて、賊軍を撃破。
マルーガ、ベルスターの賊将を討ち取った模様。
賊軍は、どうやら国境線まで退いたようです」
ダンブルの隣にいる参謀らしき男が報告をした。
騎士団はどよめいた。
ダンブルは剣を抜き、空高く掲げた。
ざわめきは収まり、ダンブルは再び剣を鞘に戻した。
「これより、我が軍も進軍を開始する。
我らが白き鎧を紅く染め、この乱れた国へ真の統一を
もたらします」
参謀らしき男の言葉に耳を傾ける騎士団、
そして、ダンブルに与した王国の貴族たち。
参謀らしき男は続けた。
「白き英雄が諸国の王を統べる。
すなわち、皇帝ダンブルがこの地を治めるだろう」
参謀らしき男の言葉が終わると、
ダンブルは再び、剣を掲げ、言った。
「全軍、進軍せよ。逆賊を討ち、この地に平和を」
騎士団の興奮は最高潮に達し、
凄まじいほどの声が重なり合い、大地を空を震わした。
ダンブルに与した貴族たちもこの士気の高さに
勝利を確信し、片膝をつき、忠誠を誓った。
アーロンが馬上から隣の騎士へ
何かを言おうとした時、騎士の首が拉げて、
血が噴き出した。
そのまま、しばらく馬は走っていたが、
騎士は振り落ちてしまい、馬は何処かへ
行ってしまった。
「おい、逃げるなよ。
馬に追い付くのは大変なんだよ。
何人か名のある騎士を生きたまま、
捕獲するように言われてるんだ。
大人しく地に臥せろ。
そしたら、魔物の餌だけは勘弁してやる」
馬上のアーロンまで飛び上がると、
手斧をアーロンに向けて、振り下ろした。
「ちっ」
舌打ちすると、アーロンは、長剣で手斧を受けた。
長剣は、折れる事無くその役割をはたしていた。
「ぐううむ、魔術の施された剣か。
うざったい」
蛮族は手斧から背中に背負っている戦斧に
素早く切り替えた。
両手で握り、先ほどと同じように飛び上がり、
戦斧を振り下ろした。
その瞬間、空より飛来した炎が蛮族を包んだ。
「ぐわっ」
叫び地面を転がる蛮族であった。
地面の土に炎を擦りつけて、消化させようとしていた。
「アーロン卿、急ぎなさい。
敵軍が停滞している内に出来る限り距離を
かせぎましょう」
レドリアン導師は、アーロンを急かした。
「侵入する万物の全てをここで焼き尽くせ。
フレイムウォール」
厚く高く長い炎の壁が地面を立ち上がり、
敵軍の侵攻を防いでいた。
「流石は、この国の魔術院の卒業生。
あやつはここで殺しておきたいが、
今は撤退を優先するか」
馬にひと当てすると、アーロンは撤退を始めた。
「アーロン卿、いずれ戦場でまた、
相まみえるでしょう。
王国の関まで撤退します」
レドリアン導師も馬にひと当てして、
一目散に撤退した。
ダンブル領グレートウォール主城にて、
グリード・ダンブルは、白い鎧で全身を覆い、
麾下の騎士団の前にいた。
直属の騎士団も白い鎧で統一されていた。
「穴熊砦にて、賊軍を撃破。
マルーガ、ベルスターの賊将を討ち取った模様。
賊軍は、どうやら国境線まで退いたようです」
ダンブルの隣にいる参謀らしき男が報告をした。
騎士団はどよめいた。
ダンブルは剣を抜き、空高く掲げた。
ざわめきは収まり、ダンブルは再び剣を鞘に戻した。
「これより、我が軍も進軍を開始する。
我らが白き鎧を紅く染め、この乱れた国へ真の統一を
もたらします」
参謀らしき男の言葉に耳を傾ける騎士団、
そして、ダンブルに与した王国の貴族たち。
参謀らしき男は続けた。
「白き英雄が諸国の王を統べる。
すなわち、皇帝ダンブルがこの地を治めるだろう」
参謀らしき男の言葉が終わると、
ダンブルは再び、剣を掲げ、言った。
「全軍、進軍せよ。逆賊を討ち、この地に平和を」
騎士団の興奮は最高潮に達し、
凄まじいほどの声が重なり合い、大地を空を震わした。
ダンブルに与した貴族たちもこの士気の高さに
勝利を確信し、片膝をつき、忠誠を誓った。
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