転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた

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195.北方戦役5

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「撤収だー」
ベルスターが叫んだ。
そして、叫んだベルスターの前に
マルーガより手斧を引き抜いた男が立っていた。
下半身に比べて、上半身が異常に発達しており、
ちぐはぐな印象を受けるが、盛り上がる筋肉が
その攻撃力のすさまじさを物語っていた。

「ちっ、蛮族が。
異郷の地に死体を晒したくなければ、
さっさと去れ。
マルーガ卿の様にはいかぬぞ」
ベルスター子爵家よりヴェルトール王国騎士団に
伝えられた必殺の一撃を間髪いれずに放った。

「二突チャージ」

並みの戦士なら、二撃の元に
突き殺されていたであろう。

「ギギャアァァー」

蛮族は、ベルスターには理解できぬ雄叫びを
発した。
目に見えぬ速度で両手が動くと、
ベルスターの長剣とそれを握る右腕が
空高く舞い上がっていた。
ベルスターの肩口から血が吹き上がっていた。
馬は嘶き、ベルスターを振り落とすと、
どこかへ走り去ってしまった。

騎士団は大混乱に陥っていた。
そして、再び前進をはじめた魔物たちの群れに
一人また一人と確実に飲み込まれていった。

マルーガとベルスターを倒した蛮族の男は、
両手の手斧を近くの騎士に向けて投擲して、倒した。
そして、両手で胸を打ち付けて、ドラミングを始めた。
その音に恐慌をきたした騎士たちは、動きが鈍くなり、
蛮族や魔物に討ち取られ、数を急速に減らしていった。

アーロンの元には、次々と前線の状況が伝えられた。

「マルーガ卿、討ち死」

「ベルスター卿、一騎打ちの末に
討ち取られました」

「騎士団が魔物と蛮族に囲まれつつあります。
退却は困難」

アーロンは心の中で舌打ちをした。
魔術による攻撃で敵の足を鈍らせて、
足の遅い魔術師たちを先に撤退させたかった。

「魔術師たちに伝えろ。
攻撃魔術から補助魔術に切り替えるようにと。
魔力を使い切ったら、本陣に急ぎ撤退するようにと」

アーロンは、麾下の精鋭たちに補助魔術が
展開されるのを確認すると、全軍に向かった伝達した。
「俺がショックブームで突撃する。
そしたら、その後を二突チャージで突撃しろ。
雑魚にかまうな、蛮族どもを一撃で屠れ。
撃ちきりを狙われるなよ。
撃ち切ったら、戦場を離脱して、退却しろ。
行くぞ。全軍、突撃」

最前線の魔物の群れを一度の突撃で
大混乱に陥れて、出来る限りの騎士を救助すると、
一気に戦線離脱をアーロンは計った。

 撤退する最後尾のアーロンの一団へ魔物たちは、
喰いつこうとせず、地に転がる騎士たちの鎧を
剥ぎ取り、咀嚼していた。

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