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157.凱旋1
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「ふううぅーやっとテルトリア!
にしてもあなたたち、本当に凄いわね。
魔術院で本当に魔術を学んでるの?」
キャロリーヌの驚きは当然だと思った。
あれ程のハードなトレーニングなどは、
他の魔術院では絶対にないカリキュラムであった。
他校との交流で魔術戦では、補助魔術と
杖による物理攻撃で圧倒するキチガイぷりで
昔は、話題になったほどであった。
近年は他校での接近戦の対策が進み、
昔ほど圧倒できなくなっていた。
魔術界の異端が魔術師たちの接近戦対策を
飛躍的に向上させた結果になっていた。
「姉貴が体力なさすぎだろう。
それじゃ、俺らのチームではついけないな」
ヴェルの余計な一言が感心しているキャロリーヌを
怒らせてしまった。
「ヴェール、良い度胸ね。
体力があるくらいで私にマウントを
取りたいとわねぇ。
うんうん、成長したね」
酷薄な視線がヴェルを襲った。
カタカタと震えるヴェルの身体は、
周囲の寒さと相まって、
縮みあがっていた。
「ヴェル、あんた、最近、調子乗り過ぎよ。
まだまだ、学ぶべきことが沢山あるでしょ」
何故かシエンナも加わったキャロリーヌの説教に
うな垂れるヴェルであった。
「あの視線で貴様も分かっただろう。
あの女の毒が。あめと鞭で男を調教する天性の才だ。
おまえに忠告は無駄のようだな。
享楽に溺れて、死ね。まあいい、それも男のさがだ」
突然、誠一の後方から囁くスターリッジだった。
少しは今回の遠征で態度が軟化したのかな。
シエンナやモリス家にどうこうと
忠告してくることは無かった。
テルトリアの冒険者ギルドの受付では
大騒ぎになっていた。
上位魔人の魔石に頭、そして無数の魔石に多くの素材、
受付嬢は大慌てで責任者を呼びに向かった。
ギルド長自ら、受付で待つ誠一たち一行へ
会いに出向いた。
「ったく何で応接室に招かねーんだよ、ボケが」
「いえ、ここで良いと、交渉役と思われる男が
ごねていますので」
「あっーまったく、冒険者ってのは
どいつもこいつも目立ちたがり屋で困るねー」
受付嬢は、曖昧にうなずいた。
ギルド長も冒険者時代は、良くも悪くも
噂になっていた。
そしてその噂の大半は本人が酒場やギルドで
吹聴していたとの噂だった。
受付の前に立つ誠一たちがギルド長の視界に
入った瞬間、現役時代もかくやとおもえるほどの
速度で受付の前に動いた。
その後、直立不動の態で誠一たちの言葉を待った。
周囲の冒険者たちは、ギルド長の態度に
不快であった。
建て前として、ギルドは権力者から
独立していた。
その地の権力者と折衝し、連携し、
その地で冒険者の活動をサポートしていた。
しかし、現実には、この地を支配する
エスターライヒ家の子たちを前に媚びぬまでも
最上級の礼節をもって接していた。
ギルド長は冒険者たちの侮蔑の視線を集めていた。
それに気づかぬギルド長ではなかったが、
その態度を崩そうとしなかった。
にしてもあなたたち、本当に凄いわね。
魔術院で本当に魔術を学んでるの?」
キャロリーヌの驚きは当然だと思った。
あれ程のハードなトレーニングなどは、
他の魔術院では絶対にないカリキュラムであった。
他校との交流で魔術戦では、補助魔術と
杖による物理攻撃で圧倒するキチガイぷりで
昔は、話題になったほどであった。
近年は他校での接近戦の対策が進み、
昔ほど圧倒できなくなっていた。
魔術界の異端が魔術師たちの接近戦対策を
飛躍的に向上させた結果になっていた。
「姉貴が体力なさすぎだろう。
それじゃ、俺らのチームではついけないな」
ヴェルの余計な一言が感心しているキャロリーヌを
怒らせてしまった。
「ヴェール、良い度胸ね。
体力があるくらいで私にマウントを
取りたいとわねぇ。
うんうん、成長したね」
酷薄な視線がヴェルを襲った。
カタカタと震えるヴェルの身体は、
周囲の寒さと相まって、
縮みあがっていた。
「ヴェル、あんた、最近、調子乗り過ぎよ。
まだまだ、学ぶべきことが沢山あるでしょ」
何故かシエンナも加わったキャロリーヌの説教に
うな垂れるヴェルであった。
「あの視線で貴様も分かっただろう。
あの女の毒が。あめと鞭で男を調教する天性の才だ。
おまえに忠告は無駄のようだな。
享楽に溺れて、死ね。まあいい、それも男のさがだ」
突然、誠一の後方から囁くスターリッジだった。
少しは今回の遠征で態度が軟化したのかな。
シエンナやモリス家にどうこうと
忠告してくることは無かった。
テルトリアの冒険者ギルドの受付では
大騒ぎになっていた。
上位魔人の魔石に頭、そして無数の魔石に多くの素材、
受付嬢は大慌てで責任者を呼びに向かった。
ギルド長自ら、受付で待つ誠一たち一行へ
会いに出向いた。
「ったく何で応接室に招かねーんだよ、ボケが」
「いえ、ここで良いと、交渉役と思われる男が
ごねていますので」
「あっーまったく、冒険者ってのは
どいつもこいつも目立ちたがり屋で困るねー」
受付嬢は、曖昧にうなずいた。
ギルド長も冒険者時代は、良くも悪くも
噂になっていた。
そしてその噂の大半は本人が酒場やギルドで
吹聴していたとの噂だった。
受付の前に立つ誠一たちがギルド長の視界に
入った瞬間、現役時代もかくやとおもえるほどの
速度で受付の前に動いた。
その後、直立不動の態で誠一たちの言葉を待った。
周囲の冒険者たちは、ギルド長の態度に
不快であった。
建て前として、ギルドは権力者から
独立していた。
その地の権力者と折衝し、連携し、
その地で冒険者の活動をサポートしていた。
しかし、現実には、この地を支配する
エスターライヒ家の子たちを前に媚びぬまでも
最上級の礼節をもって接していた。
ギルド長は冒険者たちの侮蔑の視線を集めていた。
それに気づかぬギルド長ではなかったが、
その態度を崩そうとしなかった。
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