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144.遠征3

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彼等が見えなくなると、ラムデールが口火を切った。
「おい、アルフレート。どうするんだよ?」

「そうだよ、アル。行くだろ!
周りを固めている魔物くらいは倒せるだろ」

「絶対に駄目だよ、アル!
いい、いままでと全く違うことは、
ここにいても分かるでしょ」

「シエンナ、黙れよ。
また、遺跡と同じことを繰り返す気かよ。
アルもそう思うだろ」

「それとは違うでしょ!
キャロリーヌさんの判断に従うだけでしょ!
ヴェル、あんたの方があの時のアルや
リシェーヌのようなことをしようとしてるじゃん。
アルなら分かるでしょ」

「あーったく!
アルフレート、何かあるだろ、妙案が!
早くまとめろ」


三者三様の意見が誠一に聞えた。
言うだけ言って、3人とも最終的な判断を
誠一にゆだねていた。
ってか誰か一人の意見に与しても
残りの二人が騒ぎ出すのは明白だった。
全く最適解を選択する自信のない誠一であった。
眼前の喧騒を忘れようと思い、
空を見上げると、誠一は妙案を思いついた。
こんな時こそ、あれを利用しようと思った。
誠一は両膝を地につけて、大袈裟に天に向かって
祈りを捧げた。

「おっおい、アル?」

「馬鹿、静かにしなさい。
今、アルは神様から神言を承っているのよ」
シエンナの言葉にヴェルもうろたえ、
誠一と同様に天に向かって祈りを捧げた。

「啓示を賜っているのか。
なら、それに従うしかないな」
ラムデールもヴェルと同様、
天に向かって祈りを捧げた。

誠一は、薄めを開けてから、
彼等を観察すると、上手くいったと
ほそく微笑んだ。
これで自分の意見に疑いもなく
従うだろうと思った。
尋常ならざる雰囲気を感じている誠一は、
先生やキャロリーヌに任せて、
ここから退避するその一択を選択しようと考えていた。

何のアクションもなく、今、プレーヤーは、
恐らく不在なのだろうと誠一は判断した。
ならば、形だけと思い、一応、プレーヤーに
向かって、伝えた。
『この状況に迷える我々に助力と助言を与えたまえ』

すると、誠一の心に神の言葉が伝わって来た。
『えっと、つまり戦うってことね。
良いわよ。従うも抗うもどちらにしても
啓示の恩恵を受けられるように指示を書いておくね。
それとなんか強敵そうだから、アイテムも送るわ』

誠一はその言葉にあせってしまった。
3人にプレーヤーの言葉は聞こえないはずだが、
ここに武器や防具、その他諸々のアイテムが
下賜されたら、妙な方向へ話が進む恐れがあった。

何かを誠一がプレーヤーに伝えようとした瞬間、
漆黒のマントと幾つかの回復薬が送られて来た。
そして、ひらりひらりと宙を舞う一枚の紙切れに
戦えと書いてあった。
シエンナが誰よりも早くその紙を受けると、
誠一に差し出した。
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