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125.探索訓練4

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「おい、休憩は終了だ。
くだらない話をしていないで、出発するぞ」
ロジェが皆に出発の準備を促した。

先頭はラムデールであった。次をシエンナ。
その後に誠一とヴェルが並んで、最深部に
向かって移動を始めた。

少し距離を置いて、ロジェとキャロリーヌが
最後尾よりついて行った。
先ほどから、誠一とヴェルは、言葉も交わさず、
視線も合わせなかった。

気まずい、非常にきまずい。
二人の微妙な雰囲気を前衛の二人も察して、
軽口の一つも叩かずに黙々と進んでいた。

「あれは、迷宮内でパーティの雰囲気が
悪くなったときの対処の訓練でしょ。
まったく、上手いねー。
でもあれで拗れたままだったら、
兄さん、最悪な人になる訳だけど、いいのかなー」
キャロリーヌが前を歩くメンバーへ聴こえないように
ロジェにひそひそと話した。

「ぐっ、それならばそれまでだろう。
パーティ内での揉め事なんぞ、あるあるな話だろうし。
ヴェルがもっと努力しなければならないのは事実だしな」
暗がりの中で二人は珍しく肩をすぼめて
歩く弟の方を見ていた。

最深部に到達すると、先頭を歩くラムデールが
立ち止まり、後方へ待機するように指示を出した。

「ラムデール、どうしたの?」

宝箱の安置されている広場は暗がりで視界が悪かった。
何度も攻略しているためにラムデールたちは
出現する魔物、広間の大きさ等々を把握していた。

「シエンナ、前方に光が欲しい。
魔物の気配が今まで違うような気がする」
ラムデールは松明を翳しながら、
広間の様子を窺うが、特に何も見受けられなかった。

「うーん、特に何も感じないけど。
念には念を入れた方が良いってことね。
光よ、光。暗闇を駆逐し、この地を明るくともしたまえ」
シエンナの魔術により、薄暗い広間に光が灯った。
そして、光の下に晒された広場の風景は、
過去の探索と変わらぬ風景であった。

「気のせいだったかな」
ラムデールが一歩を踏み出そうとした瞬間、
服を思いっきり引っ張られた。
「ぐえっ」

「上を見ろ、ラムデール」
誠一の視線は倒れて、咳き込むラムデールでなく、
天井に向かっていた。
そこには、一体のスライムらしきものが
所狭しと天井に張り付いていた。
そして、液体のようなものがぽたりぽたりと
零れ落ちていた。
地面にぶつかり破裂した雫は、
地面を焼く様な音と白い煙を噴き上がらせていた。

怪訝な表情でラムデールが天井を
見つめていると、シエンナが説明をした。
「迷宮の最後かな。
最後の魔力を絞って、生み出された魔物でしょうね。
これで私たちが迷宮に取り込まれなければ、
恐らく、ここの迷宮は終わるわ」

「終わると?」

ラムデールの質問に誠一が答えた。
「洞窟はただの洞窟になり。
遺跡はただの遺跡になるだけさ。
余程のことがない限り再び迷宮化することはないよ」

誠一やシエンナの説明に耳を傾けていたヴェルは、
苛正しそうであった。
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