転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組！だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業？それとも社畜？誰か助けて

111.帰郷3

「おいおい、男二人でいつまで
見つめ合ってるんだよ。
アル、決まったなら、さっさと、宿に行くぞ」
ヴェルは興味なさそうに誠一を急かした。

「ロジェ様、キャロリーヌ様、
申し訳ございませんが、宿にシエンナお嬢様を
ご同行させて頂けないでしょうか？
少々、商館で質の悪い者たちに見つかると
困りますので、お願い致します」
スターリッジが丁寧な態度、言葉使いで
そう言うと、頭を下げた。

「噂が本当なら、確かにそうだな。
目立たないようにしておくに
越したことはないな。了解した」
ロジェは了解した。

「んーいいけど、私といると
目立っちゃうと思うけど」

「おまえも目立たないようにしておけ。
いいな！いつものような服装は駄目だ。
ローブでも羽織っておけよ」
ロジェが真剣な表情で答えた。
そして、意外なことにキャロリーヌも
それに同意した。

誠一が驚いた表情でキャロリーヌを見ていた。
その視線に気づいたキャロリーヌは
珍しく真面目な表情で答えた。
「アル君、これは依頼だから、
当然、依頼主を危険に晒すようなことはしない。
冒険者として依頼を受ける以上、
当たり前のことだから。
私自身の美貌で危険に晒される恐れがあるから、
当然のことだけどね。
まっ今が寒い時期で良かったわ。
ローブを羽織っていてもおかしくないしね」
当たり前のように自分の美貌を誇るキャロリーヌに
誠一は苦笑するしかなかった。

しかし、なんだろう、今日はスターリッジの
まともな態度やキャロリーヌの真面目な態度と
珍しいものを多く見られたような気がした誠一であった。

エスターライヒ領テルトリアで
ひときわ大きく目立つ邸宅が中央部にあった。
そこは、エスターライヒ家の邸宅であった。
当主のアーロンが在宅の時は、
左程、騒がしい雰囲気はないが、
ここ半年ほど、当主不在時、人々が眉を
顰める程の騒がしさであった。
それも昼夜問わずのため、近隣の住民を悩ませいた。

「リゲル坊ちゃま、ミシャの報告通り
どうやらアルフレート様がテルトリアに
到着したようです。
探し出して、監視を付けますか？」

その言葉に反応して、ソファーに
座っているリゲルは眠そうな目を擦りながら、
たるんだ身体を震わせた。

「くわわぁー。昼か。奴は女連れか？
いい女なら、献上させろ。
それと、父が不在の時は、当主は俺だ。
いいな、次はないぞ」
リゲルは立ち上がった。
リゲルの左右に傅く若い女性も立ち上がり、
ふらつく彼を補助した。

「あー王都に行きてーな。
こんな田舎で毎日、くだらない座学と古びた剣術を
学んでもしょうがないだろう。
なあおい、そう思うだろう。
俺にはもっと洗練された女が似あうだろ」
左に控えていた女性の髪を掴み、
振り回して床に叩きつけた。

「おい、アルフレートの女を見に行くぞ。
馬車を出せ」