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96.とある居酒屋での情景3
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花の金曜日、土日が休みの会社員にとって、
永遠に変わらない言葉なのだろう。
千晴にとってもそれは同じであった。
明日は休みのため、浴びるほど酒を呑もうが、
徹夜で遊ぼうが何をしようとも問題なかった。
千晴は、居酒屋のビールで喉を潤しながら、
清涼、莉々子とパッドを片手に
ヴェルトゥール王国戦記について、話していた。
「千晴も一人のキャラクターに拘るよね。
確かにスタンピード討伐の途中で
アルフレートと接触したけど、
そこまで拘るスペックじゃないよ。
別にキャラクターを作っちゃいないよ」
と莉々子が酔っ払いながら、絡んできた。
「しかし、周りのメンバーはそれなりに
揃ってるから、考えどころだよ」
と清涼が焼き鳥を食べながら、言った。
「ちょっと、清涼、食べるか
話すかどっちかにして。行儀が悪いわよ」
莉々子がパッドに何かを書き込みながら、注意した。
「まあ、気にするな。
それはそうと、スタンピード討伐は、あれだったな。
ハズレイベントだよ。
王都での侯爵反乱がメインイベントだった。
運営に上手く騙されたよ、今回は!
佐藤さん、どっちに参加した?」
莉々子は自分には聞かれなかったために
少し不満顔だった。
「何よ。私には聞かないの?」
「はっ、スタンピード討伐に主力を
投入してたじゃねーか。
討伐数上位にランクされてただろう」
清涼に突っ込みを受けると、
莉々子は満足げな表情になった。
「そう言えば、そうだったかな。
千晴はどっちー」
千晴は何て答えるべきか迷っていた。
見ている方が恥ずかしくなるような
リシェーヌとの別れから、アルフレートは
気絶をして、そのまま、イベントが終わるまで
眠り続けていた。
「そのう、フリッツとかいう人の手刀を
くらってから、そのまま、屋敷で昏倒してた。
だから、どっちにも参加してないの」
清涼と莉々子は、酔いが一気に醒めたような表情で
騒ぎ立てた。
「なにその状況。
ってかフリッツってあれでしょ。
勇者でしょ。一体、どうなってるの」
「あり得ない。一体、どうやって
彼と接点を持ったのか謎だ。
絶対にあり得ない。別の人物じゃね」
二人同時に全否定。
しかし、千晴はさほどの知識が
ないために説明のしようがなかった。
「まっ、そういうこともあるのなか」
清涼が自分を納得させるように呟いた。
千晴は二人が相当に知識と経験があると判断し、
アルフレートのことで気になっていることを質問した。
「そのゲーム中、リシェーヌがアルフレートに
別れを告げる時に彼のことを誠一と呼んだんだけど、
これってどういうこと?
ステータスにもそんな名前ないし」
清涼と莉々子は、真剣な表情で
お互いの顔を見合わせた。
何かを言おうとしているが、
お互いに遠慮しているようだった。
「ちょっ、どうしたのよ、二人とも」
ヴェルトゥール王国戦記の話になると、
饒舌になる二人が押し黙っているために
千晴は何事かと不安になってしまった。
永遠に変わらない言葉なのだろう。
千晴にとってもそれは同じであった。
明日は休みのため、浴びるほど酒を呑もうが、
徹夜で遊ぼうが何をしようとも問題なかった。
千晴は、居酒屋のビールで喉を潤しながら、
清涼、莉々子とパッドを片手に
ヴェルトゥール王国戦記について、話していた。
「千晴も一人のキャラクターに拘るよね。
確かにスタンピード討伐の途中で
アルフレートと接触したけど、
そこまで拘るスペックじゃないよ。
別にキャラクターを作っちゃいないよ」
と莉々子が酔っ払いながら、絡んできた。
「しかし、周りのメンバーはそれなりに
揃ってるから、考えどころだよ」
と清涼が焼き鳥を食べながら、言った。
「ちょっと、清涼、食べるか
話すかどっちかにして。行儀が悪いわよ」
莉々子がパッドに何かを書き込みながら、注意した。
「まあ、気にするな。
それはそうと、スタンピード討伐は、あれだったな。
ハズレイベントだよ。
王都での侯爵反乱がメインイベントだった。
運営に上手く騙されたよ、今回は!
佐藤さん、どっちに参加した?」
莉々子は自分には聞かれなかったために
少し不満顔だった。
「何よ。私には聞かないの?」
「はっ、スタンピード討伐に主力を
投入してたじゃねーか。
討伐数上位にランクされてただろう」
清涼に突っ込みを受けると、
莉々子は満足げな表情になった。
「そう言えば、そうだったかな。
千晴はどっちー」
千晴は何て答えるべきか迷っていた。
見ている方が恥ずかしくなるような
リシェーヌとの別れから、アルフレートは
気絶をして、そのまま、イベントが終わるまで
眠り続けていた。
「そのう、フリッツとかいう人の手刀を
くらってから、そのまま、屋敷で昏倒してた。
だから、どっちにも参加してないの」
清涼と莉々子は、酔いが一気に醒めたような表情で
騒ぎ立てた。
「なにその状況。
ってかフリッツってあれでしょ。
勇者でしょ。一体、どうなってるの」
「あり得ない。一体、どうやって
彼と接点を持ったのか謎だ。
絶対にあり得ない。別の人物じゃね」
二人同時に全否定。
しかし、千晴はさほどの知識が
ないために説明のしようがなかった。
「まっ、そういうこともあるのなか」
清涼が自分を納得させるように呟いた。
千晴は二人が相当に知識と経験があると判断し、
アルフレートのことで気になっていることを質問した。
「そのゲーム中、リシェーヌがアルフレートに
別れを告げる時に彼のことを誠一と呼んだんだけど、
これってどういうこと?
ステータスにもそんな名前ないし」
清涼と莉々子は、真剣な表情で
お互いの顔を見合わせた。
何かを言おうとしているが、
お互いに遠慮しているようだった。
「ちょっ、どうしたのよ、二人とも」
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饒舌になる二人が押し黙っているために
千晴は何事かと不安になってしまった。
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