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94.策謀の果てに9
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ダンブルの屋敷から主城の一角が派手に
崩壊するのがフリッツの目に入った。
瞬間、彼はキレた。
往年の恐れを知らず、がむしゃらに難敵に
向かっていた頃の彼のようであった。
「おっと、そう簡単には行かせんよ」
ナサレノがフリッツの前に立ちはだかった。
「邪魔するな、どけっ」
瞬殺一文字が炸裂した。
並みの戦士であれば、何が起きたかもわからずに
死んでいただろう。
しかし、ナサレノも高みを目指し、
高みにいる戦士であった。
「おまえ、舐めてんのか」
彼の一撃を防ぎ、返す剣で必殺の一撃を繰り出した。
「鮮紅乱撃」
真紅の鎧、剣、そしてマントを身に付ける者のみが
発現できる必殺の一撃であった。
先ほど、バルフォードにより破壊された死人の血が
剣の形を作り、フリッツへ襲いかかった。
「うおおっー」
気合と共にフリッツは剣舞踊を繰り出した。
「限界を超えろっーここで超えろー」
四肢の血管が浮き上がり、筋肉は隆起していた。
踊る剣は、実に50本を超えていた。
あり得ない本数であった。
血により形作られた剣、幻想により形作られた剣、
異質な剣が空中で乱舞し、交錯しあう。
無論、フリッツとナサレノも斬り合っていた。
時間にして30秒にも満たなかったが、
両者、片膝をつくほどに消耗していた。
「遅れてすまないねぇ。
だが、フリッツ、その程度で片膝を
つくとは、まだまだだね」
司祭のローブを纏っていたが、両手に
はめたグローブには各々の指に違う輝きを放つ
宝石が1個ずつ付いていた。
「おせーぞ。歳取って、歩くのも遅くなったか」
フリッツは、余裕がないにも関わらず、
悪態をついた。
「ふん、ご丁寧に教会にもそれなりの数の冒険者を
送ってくれたからねぇ。回復は必要かい?」
司祭はまるで目の前に敵がいないかのように
振舞っていた。
「糞がっ!そんな必要あるか。
おい、ここは任せていいんだろうな。
俺は行くぞ」
そう言うや否やフリッツは全速力で主城に
向かって走り出した。
「モンクと武道家。
どちらが最強か試してみたい。
いざ、拳を交えよ!」
バルフォードは標的を司祭に変えて、
中段蹴りを放った。
司祭は軽くいなし、手刀を放った。
バルフォードの眉間を薄く切り裂いた。
「仕方ないのう、かつての生徒を教育し直すかのう。
デルガド、反省する気はないかのう」
ファウスティノは、天体球戯の杖を召喚した。
「貴様に垂れる頭はない。
永久の闇に消えろ、ダークホール」
ファウスティノを漆黒の闇が包んだ。
彼を包み込むように闇は次第に
小さくなっていった。
「筋肉、筋肉、体力とアホウな事ばかり、
ほざきやがって。
己の不明を恥じて死んでしまえ」
デルガドは己の魔術が成立し、
術がファウスティノを捉えた事を確信した。
そして、それが意味することは、すなわち死で
あることを知っていた。
崩壊するのがフリッツの目に入った。
瞬間、彼はキレた。
往年の恐れを知らず、がむしゃらに難敵に
向かっていた頃の彼のようであった。
「おっと、そう簡単には行かせんよ」
ナサレノがフリッツの前に立ちはだかった。
「邪魔するな、どけっ」
瞬殺一文字が炸裂した。
並みの戦士であれば、何が起きたかもわからずに
死んでいただろう。
しかし、ナサレノも高みを目指し、
高みにいる戦士であった。
「おまえ、舐めてんのか」
彼の一撃を防ぎ、返す剣で必殺の一撃を繰り出した。
「鮮紅乱撃」
真紅の鎧、剣、そしてマントを身に付ける者のみが
発現できる必殺の一撃であった。
先ほど、バルフォードにより破壊された死人の血が
剣の形を作り、フリッツへ襲いかかった。
「うおおっー」
気合と共にフリッツは剣舞踊を繰り出した。
「限界を超えろっーここで超えろー」
四肢の血管が浮き上がり、筋肉は隆起していた。
踊る剣は、実に50本を超えていた。
あり得ない本数であった。
血により形作られた剣、幻想により形作られた剣、
異質な剣が空中で乱舞し、交錯しあう。
無論、フリッツとナサレノも斬り合っていた。
時間にして30秒にも満たなかったが、
両者、片膝をつくほどに消耗していた。
「遅れてすまないねぇ。
だが、フリッツ、その程度で片膝を
つくとは、まだまだだね」
司祭のローブを纏っていたが、両手に
はめたグローブには各々の指に違う輝きを放つ
宝石が1個ずつ付いていた。
「おせーぞ。歳取って、歩くのも遅くなったか」
フリッツは、余裕がないにも関わらず、
悪態をついた。
「ふん、ご丁寧に教会にもそれなりの数の冒険者を
送ってくれたからねぇ。回復は必要かい?」
司祭はまるで目の前に敵がいないかのように
振舞っていた。
「糞がっ!そんな必要あるか。
おい、ここは任せていいんだろうな。
俺は行くぞ」
そう言うや否やフリッツは全速力で主城に
向かって走り出した。
「モンクと武道家。
どちらが最強か試してみたい。
いざ、拳を交えよ!」
バルフォードは標的を司祭に変えて、
中段蹴りを放った。
司祭は軽くいなし、手刀を放った。
バルフォードの眉間を薄く切り裂いた。
「仕方ないのう、かつての生徒を教育し直すかのう。
デルガド、反省する気はないかのう」
ファウスティノは、天体球戯の杖を召喚した。
「貴様に垂れる頭はない。
永久の闇に消えろ、ダークホール」
ファウスティノを漆黒の闇が包んだ。
彼を包み込むように闇は次第に
小さくなっていった。
「筋肉、筋肉、体力とアホウな事ばかり、
ほざきやがって。
己の不明を恥じて死んでしまえ」
デルガドは己の魔術が成立し、
術がファウスティノを捉えた事を確信した。
そして、それが意味することは、すなわち死で
あることを知っていた。
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