転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組！だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業？それとも社畜？誰か助けて

79.温泉まったり物語3

　温泉二日目には、キャロリーヌもリシェーヌも
浴衣を着こなし、誠一にとってのお楽しみは潰えていた。
2泊3日を十分に満喫して、帰途についた。
あれ以来、スターリッジが絡んでくることはなかったが、
遠巻きに常に観察されているようであった。
モリス商会も積み荷の入れ替えから、準備等も
滞りなく終わったようで、予定通りの出発となった。

　帰途の途中、王都で超有名なSランク冒険者兼商人の
一団にアルフレートが絡まれ、無駄に時間を
費やした程度でつつがなく到着した。

「あれは一体、何なんだったんだ？
おまえ、凄く光栄なことだぞ」
ヴェルの感動は最もなことであった。
彼らに声をかけらたら、感動で人が倒れるとまで
言われていた。誠一自身は、そのカリスマに
関して全く知らぬために答えようがなかった。

「アル、本当なの？冒険者ギルドで
実は二言三言、言葉を交わしたことがあるとか、
覚えてないの？リシェーヌも覚えてない？」
シエンナは興奮気味であった。
興奮するのもの当然であった。
酒場で唄う吟遊詩人の題材になるほどの
武勇伝と物語を紡ぐメンバーであった。
誠一自身は、そのことすら知らなかったため、
いまいち、その興奮が理解できなかった。

「あのメンバーに知られているって。
アル、一体、何者なの？」
リシェーヌは、訝し気であった。
本来、学生と接点などないほどに
世界を飛び回っては、大きな事件の解決に
寄与していた。
誠一自身は、その実力の一端すら知らぬため、
何のことか全く分からなかった。

「というか根掘り葉掘り聞かれたところを
見ると、恐らく何かしらの噂を聞いて、
たまたま、会ったから、君の事を
知ろうしていのではないかな？」
とのロジェの弁。

「まーリーダーの女性は美人過ぎですよねー。
あり得ない造形美。アル君、緩みぱなしだったよ」
ろキャロリーヌの弁。
その言葉にアイドルに出会ったように
興奮していた二人の美少女は、少しムッとした表情をした。

「僕自身、全く彼らのことを知らないですから、
何とも言えません。
まあ、光栄なこととして捉えておきます」
その程度にお茶を濁しておいたが、
3人の仲間は、そもそも彼らを知らないこと自体が
どうも信じられないようで色々と話しながら、
王都に到着した。

　各々、挨拶を済まし、帰途に就いた。
誠一だけは、ボーリスに引き留められた。
「ふーむ、君の話は娘から毎日のように
聞かされている。
そして、スターリッジからも報告を受けている。
どちらも君のはずだが、随分と違うね」

「はっはあ」
誠一は間抜けな反応をしてしまった。

「うん、今の君の方が人間味あって、良い。
娘を娶って、婿入りしてモリス商会を継ぐなら、
今のほうのが良い。
どうも昔の君は悪いことではないんだけど、
出来過ぎている。人を見る目を磨きなさい。
さすれば、自然と道は開ける。いいね」
どうもボーリスの言わんとしていることを
把握できずに再度、間抜けな反応をしてしまった。

「はっはあ」

「んんん？シエンナでは不満かな。
身内贔屓と言われるかもしれないが、
器量良し、容姿良し、スタイル良しだよ。
何が不満なのかね？」
不機嫌そうに呻るボーリスであった。

流石に誠一も理解したが、どう答えるべきか
整理できず、はぐらかすことにした。
「ボーリスさん、いまだに志半ばです。
その問いへの答えはまたいずれ名を
成した時にお願いいたします」

「うむ、学生には急ぎ過ぎた話だったかな。
よろしい答えは決まっているようだな。
娘を頼む。
君が自分に自信が持てた時を楽しみにているよ」

ボーリスがどう解釈をしたのか聞くのが恐ろしく、
誠一は曖昧に笑って、屋敷に戻った。