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49.チーム戦3
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誠一は全速力で二人に近づいた。
魔術師二人は焦った風もなく、攻撃魔術を紡ぎ出した。
「エアナイフ」
「ファイアボール」
彼等は、攻撃魔術を連続で繰り出した。
誠一は、無数の傷を受けるが、そのまま懐に飛び込み、
一人目の魔術師のみぞおちへ一撃を加えた。
魔術師が倒れ込んだ瞬間、誠一は杖を
剣のように握り直し、構えた。
凝視されているような、纏わりつくような視線を
感じたが、誠一はエスターライヒ家に
伝わる秘剣の一つを繰り出してみた。
所詮は実戦に近い訓練、失敗しても死ぬことはないと
判断して、挑戦した。
「あの攻撃魔術の中を突っこんで、
俺に一撃を加えるとは、無謀なのか根性があるのか。
俺を倒すには、少なくとも経験が足りん。
ここで寝てろ、炎撃」
ぬめり、誠一の周りの空気が一変した。
彼の世界は無音に支配されていた。
纏わりつく不快な空気が倒すべき対象者と
誠一を包んでいた。
対象を覆っているぬめりとした空気の動きが
誠一へ相手の一挙手一投足を伝えていた。
すうっと移動すると、誠一は当たり前のように
魔術師の額へ一撃を加え、昏倒させてしまった。
「しっ師匠!なんだよ、お前は。
エアナイフ、エアカッター、エアパレット」
もう一人の魔術師は錯乱したように
誠一へ魔術を放ったが、地面に着弾して、
小さな砂塵を舞い上げるだけであった。
「ていっ」
力いっぱい、杖で魔術師の右腿を叩きつけると、
「痛いっーなにすんのよ、ばかっ」
と言って、そこへ座り込んでしまった。
歴代のエスターライヒ家の当主でも使い手が
限られていた名もなき秘剣であった。
アルフレート・フォン・エスターライヒの
筋力では到底、扱えない剣技であった。
しかし、アルフレートの毎日の研鑽で身体に
刷り込まれた剣技の型が、日々のトレーニングと
魔術で底上げされた誠一の筋力と体力によって、
僅かであったが、発動を可能とした。
「ふううぅ」
他人の努力の上澄みを掠め取っているような感じで、
気分は良くなかったが、危地を脱したことに
安堵を覚えた。
そして、発動によって失われた体力と魔力に
よってふらついていた。
誠一は、振り返って、リシェーヌを始めとした
他の仲間の状況を確認しようとした。
まず、リシェーヌと視線が交錯した。
こちらを見ている余裕があることに感心してしまった。
バルドロの方へ目を向けると、
目が点になってしまった。
既に二人を気絶させていた。
「小僧、俺と視線を交わしている余裕があるなら、
他の助けにはいらねーかっ。
これはチーム戦のトレーニングだろうが、
気を抜くんじゃねーよ」
それはあんたも一緒だろうと突っ込みを
入れたかったが、誠一は素直な素振りで頷くと、
ふらつきながらもリシェーヌの援護に向かった。
魔術師二人は焦った風もなく、攻撃魔術を紡ぎ出した。
「エアナイフ」
「ファイアボール」
彼等は、攻撃魔術を連続で繰り出した。
誠一は、無数の傷を受けるが、そのまま懐に飛び込み、
一人目の魔術師のみぞおちへ一撃を加えた。
魔術師が倒れ込んだ瞬間、誠一は杖を
剣のように握り直し、構えた。
凝視されているような、纏わりつくような視線を
感じたが、誠一はエスターライヒ家に
伝わる秘剣の一つを繰り出してみた。
所詮は実戦に近い訓練、失敗しても死ぬことはないと
判断して、挑戦した。
「あの攻撃魔術の中を突っこんで、
俺に一撃を加えるとは、無謀なのか根性があるのか。
俺を倒すには、少なくとも経験が足りん。
ここで寝てろ、炎撃」
ぬめり、誠一の周りの空気が一変した。
彼の世界は無音に支配されていた。
纏わりつく不快な空気が倒すべき対象者と
誠一を包んでいた。
対象を覆っているぬめりとした空気の動きが
誠一へ相手の一挙手一投足を伝えていた。
すうっと移動すると、誠一は当たり前のように
魔術師の額へ一撃を加え、昏倒させてしまった。
「しっ師匠!なんだよ、お前は。
エアナイフ、エアカッター、エアパレット」
もう一人の魔術師は錯乱したように
誠一へ魔術を放ったが、地面に着弾して、
小さな砂塵を舞い上げるだけであった。
「ていっ」
力いっぱい、杖で魔術師の右腿を叩きつけると、
「痛いっーなにすんのよ、ばかっ」
と言って、そこへ座り込んでしまった。
歴代のエスターライヒ家の当主でも使い手が
限られていた名もなき秘剣であった。
アルフレート・フォン・エスターライヒの
筋力では到底、扱えない剣技であった。
しかし、アルフレートの毎日の研鑽で身体に
刷り込まれた剣技の型が、日々のトレーニングと
魔術で底上げされた誠一の筋力と体力によって、
僅かであったが、発動を可能とした。
「ふううぅ」
他人の努力の上澄みを掠め取っているような感じで、
気分は良くなかったが、危地を脱したことに
安堵を覚えた。
そして、発動によって失われた体力と魔力に
よってふらついていた。
誠一は、振り返って、リシェーヌを始めとした
他の仲間の状況を確認しようとした。
まず、リシェーヌと視線が交錯した。
こちらを見ている余裕があることに感心してしまった。
バルドロの方へ目を向けると、
目が点になってしまった。
既に二人を気絶させていた。
「小僧、俺と視線を交わしている余裕があるなら、
他の助けにはいらねーかっ。
これはチーム戦のトレーニングだろうが、
気を抜くんじゃねーよ」
それはあんたも一緒だろうと突っ込みを
入れたかったが、誠一は素直な素振りで頷くと、
ふらつきながらもリシェーヌの援護に向かった。
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