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森の獣 3章 諸国動乱の刻。暗躍する者たち編
冒険に出る(稲生)
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才籐がバルザースとレズェエフの国境線で
苦労を強いられている頃、稲生と九之池は、
そこそこにまったりとシリア卿の邸宅で過ごしていた。
「ヘーグマン、奴らは一体、
我が邸宅で何をしているのだ?
毎日毎日、ダラダラと過ごしているようにか、見えぬぞ」
シリア卿は、イライラした表情でヘーグマンに愚痴をこぼした。
「一応、アデリナ殿を相手に鍛練のようなことは
しているようですが。
稲生殿一行は、我がベルトゥルとレズェエフの
国境線での戦が落ち着くまでは、ここに居候しそうですな」
ベルトゥル公国軍が乱入して来たレズェエフ王国軍を
追い返したとは言え、戦は、続いていた。
「なっ、奴らは、それまで居座るつもりか!
節操が無さすぎではないか。
九之池より質が悪いではないか」
シリア卿がヘーグマンの発言に過剰に反応した。
「しかしです、シリア卿がいつまでも
ゆっくりしていってくださいと伝えた以上、
その約束を反故にするのは、甚だ体裁が悪いかと」
ヘーグマンは笑いを堪える表情でシリア卿に伝えた。
苦虫を噛み潰したよう表情でシリア卿は、
愚痴を更に続け、エドゥアールを呼ぶように言った。
「なんて無節操な奴だ。
社交辞令が理解できんのか、屑が!
遊ばせておくのも向かっ腹が立つな。
そうだ、ヘーグマン、エドゥアールを呼べ。
奴らに例の遺跡探索でもやらせる」
屑が誰を指すのか難しい命題であったが、
ヘーグマンは余計なことは言わずにうやうやしく、
一礼をして、エドゥアールを呼びに向かった。
3日後、慌ただしく、稲生たちは、
エドゥアールに勧められて、遺跡の探索に向かっていた。
体よく厄介払いされたことを稲生は、
理解していたが、この提案を大人しく受け入れた。
ここで心証を悪くしても意味が無いし、
九之池とルージェナに迷惑をかけることを
回避する為であった。
そんな思惑もあったが、何故かシリア卿の命令で
九之池とルージェナも同行することになり、
更にお目付け役として、ヘーグマンまでもが同行していた。
稲生は、戦線が膠着状態にあるとは言え、
戦時の状況で将軍クラスの人材が遺跡探索に
同行することに不信を感じざるを得なかった。
道中、そんな思いからか、無意識にヘーグマンを
見る目が厳しくなっていたのだろうか、
ヘーグマンが話かけてきた。
「稲生殿、そう警戒なさるな。
左程、戦線は動きませぬし、
私が指揮せずとも何かあれば、
エドゥアールが代行するでしょうな。
個人としての武勇は別として、指揮・運営ならば、
エドゥアールの方が適任でしょう」
そう言うとにょほほと笑った。
稲生は無意識のうちに厳しい視線を
送っていたと気づき、頭を下げた。
「すみません。ヘーグマンさんほどの方が、
この戦時に遺跡探索とは、ついつい、何かあるのではと
疑ってしまいました」
「そうですな、それよりあるとすれば、
稲生殿や九之池殿が非常に珍しい宝物を
持ち逃げすることを阻止するくらいですかな」
「そっそれは否定できませんね。
この世界で神や精霊の力を模した武具や防具は、
非常に高い価値がありますから」
と稲生も表情を和らげて、答えた。
そんな二人の会話を聞きながら、
馬車を操作するアルバンは、心の中で毒づいた。
「けっ、厄介払いされた報復に持ち逃げする気、
満々だったじゃねーか、ゴミが!
そもそも嫌がらせに長逗留していた癖に」
苦労を強いられている頃、稲生と九之池は、
そこそこにまったりとシリア卿の邸宅で過ごしていた。
「ヘーグマン、奴らは一体、
我が邸宅で何をしているのだ?
毎日毎日、ダラダラと過ごしているようにか、見えぬぞ」
シリア卿は、イライラした表情でヘーグマンに愚痴をこぼした。
「一応、アデリナ殿を相手に鍛練のようなことは
しているようですが。
稲生殿一行は、我がベルトゥルとレズェエフの
国境線での戦が落ち着くまでは、ここに居候しそうですな」
ベルトゥル公国軍が乱入して来たレズェエフ王国軍を
追い返したとは言え、戦は、続いていた。
「なっ、奴らは、それまで居座るつもりか!
節操が無さすぎではないか。
九之池より質が悪いではないか」
シリア卿がヘーグマンの発言に過剰に反応した。
「しかしです、シリア卿がいつまでも
ゆっくりしていってくださいと伝えた以上、
その約束を反故にするのは、甚だ体裁が悪いかと」
ヘーグマンは笑いを堪える表情でシリア卿に伝えた。
苦虫を噛み潰したよう表情でシリア卿は、
愚痴を更に続け、エドゥアールを呼ぶように言った。
「なんて無節操な奴だ。
社交辞令が理解できんのか、屑が!
遊ばせておくのも向かっ腹が立つな。
そうだ、ヘーグマン、エドゥアールを呼べ。
奴らに例の遺跡探索でもやらせる」
屑が誰を指すのか難しい命題であったが、
ヘーグマンは余計なことは言わずにうやうやしく、
一礼をして、エドゥアールを呼びに向かった。
3日後、慌ただしく、稲生たちは、
エドゥアールに勧められて、遺跡の探索に向かっていた。
体よく厄介払いされたことを稲生は、
理解していたが、この提案を大人しく受け入れた。
ここで心証を悪くしても意味が無いし、
九之池とルージェナに迷惑をかけることを
回避する為であった。
そんな思惑もあったが、何故かシリア卿の命令で
九之池とルージェナも同行することになり、
更にお目付け役として、ヘーグマンまでもが同行していた。
稲生は、戦線が膠着状態にあるとは言え、
戦時の状況で将軍クラスの人材が遺跡探索に
同行することに不信を感じざるを得なかった。
道中、そんな思いからか、無意識にヘーグマンを
見る目が厳しくなっていたのだろうか、
ヘーグマンが話かけてきた。
「稲生殿、そう警戒なさるな。
左程、戦線は動きませぬし、
私が指揮せずとも何かあれば、
エドゥアールが代行するでしょうな。
個人としての武勇は別として、指揮・運営ならば、
エドゥアールの方が適任でしょう」
そう言うとにょほほと笑った。
稲生は無意識のうちに厳しい視線を
送っていたと気づき、頭を下げた。
「すみません。ヘーグマンさんほどの方が、
この戦時に遺跡探索とは、ついつい、何かあるのではと
疑ってしまいました」
「そうですな、それよりあるとすれば、
稲生殿や九之池殿が非常に珍しい宝物を
持ち逃げすることを阻止するくらいですかな」
「そっそれは否定できませんね。
この世界で神や精霊の力を模した武具や防具は、
非常に高い価値がありますから」
と稲生も表情を和らげて、答えた。
そんな二人の会話を聞きながら、
馬車を操作するアルバンは、心の中で毒づいた。
「けっ、厄介払いされた報復に持ち逃げする気、
満々だったじゃねーか、ゴミが!
そもそも嫌がらせに長逗留していた癖に」
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