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森の獣 3章 諸国動乱の刻。暗躍する者たち編
再出陣(九之池)
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「差し出がましいかとおもいますが、
質問をさせて頂けませんか?」
と懊悩する九之池を尻目にルージェナが発言した。
「罪人、特別に許す、話せ」
シリア卿が鋭く答えた。
「はい、ありがとうございます。
兵員ですが、冒険者を雇うのでしょうか?
それと兵種の指定はありますか?
最後に資金はどのような形になりますか?」
と九之池が尋ねるべきことを代理で尋ねた。
ルージェナの前で九之池はいまだに身体を
丸めて頭を抱えていた。
「ふむ、我が領の精鋭を付ける。
兵種は騎兵とする。
九之池は確か騎乗できぬな。
馬車を戦車に改造しろ。
そこの兵員は冒険者から募れ。
いいな。
資金は我が領から出す。
馬車で先陣とはまた、
面白きことよな、なあ、黒豚なんとか」
と声高らかにシリア卿は笑っていた。
頭が混乱している九之池は何も
言わずに首を垂れて、シリア卿の執務室を出た。
「最悪だ、また、人を差配するのか、無理。どうしよ」
と魂がそのことに囚われてしまった九之池だった。
一か月後、九之池はレズェエフ王国との国境沿いにいた。
レズェエフ王国がバルザース帝国と
ベルトゥル公国と戦端を開いたためだった。
「二面作戦なんて、響きはいいけど、
ゲームじゃないし、無理ゲーのような気がするけど」
と公都からレズェエフ王国に繋がる街道を
移動中の九之池が呟いた。
ルージェナは、ゲームの意味が
何となく理解できたため、九之池の呟きに答えた。
「そもそもレズェエフ王国にそれを
可能とする国力と兵員がいるとは思えないのですが、
それに隣接する国は、二か国だけではないのですけどね。
それらの国と何かしらの取引があったのでしょうか?」
「そだね、無ければ、バルザースかベルトゥルが
牽制のために大いに活動するでしょうね。
それにしても、今回も戦がなければ、いいんだけどね」
とのんびりと答える九之池だった。
「それは、無理ですよ。既に小競り合いは
あったようですし、それなりの数の軍が
展開しているようですよ」
それを聞いた九之池は諦めたように頷いた。
ベルトゥル公国の幾つかの拠点と砦が陥落し、
敗報が本軍にもたらされると大いに軍は動揺した。
心の片隅にはどの将兵も出征だけで戦はまた、
ないだろうと高を括っていたためだだった。
レズェエフ王国の本軍は、街道沿いに
最短距離で公都に迫っていた。
その総数は数万~数十万と非常に
曖昧な情報しか入ってこなかった。
質問をさせて頂けませんか?」
と懊悩する九之池を尻目にルージェナが発言した。
「罪人、特別に許す、話せ」
シリア卿が鋭く答えた。
「はい、ありがとうございます。
兵員ですが、冒険者を雇うのでしょうか?
それと兵種の指定はありますか?
最後に資金はどのような形になりますか?」
と九之池が尋ねるべきことを代理で尋ねた。
ルージェナの前で九之池はいまだに身体を
丸めて頭を抱えていた。
「ふむ、我が領の精鋭を付ける。
兵種は騎兵とする。
九之池は確か騎乗できぬな。
馬車を戦車に改造しろ。
そこの兵員は冒険者から募れ。
いいな。
資金は我が領から出す。
馬車で先陣とはまた、
面白きことよな、なあ、黒豚なんとか」
と声高らかにシリア卿は笑っていた。
頭が混乱している九之池は何も
言わずに首を垂れて、シリア卿の執務室を出た。
「最悪だ、また、人を差配するのか、無理。どうしよ」
と魂がそのことに囚われてしまった九之池だった。
一か月後、九之池はレズェエフ王国との国境沿いにいた。
レズェエフ王国がバルザース帝国と
ベルトゥル公国と戦端を開いたためだった。
「二面作戦なんて、響きはいいけど、
ゲームじゃないし、無理ゲーのような気がするけど」
と公都からレズェエフ王国に繋がる街道を
移動中の九之池が呟いた。
ルージェナは、ゲームの意味が
何となく理解できたため、九之池の呟きに答えた。
「そもそもレズェエフ王国にそれを
可能とする国力と兵員がいるとは思えないのですが、
それに隣接する国は、二か国だけではないのですけどね。
それらの国と何かしらの取引があったのでしょうか?」
「そだね、無ければ、バルザースかベルトゥルが
牽制のために大いに活動するでしょうね。
それにしても、今回も戦がなければ、いいんだけどね」
とのんびりと答える九之池だった。
「それは、無理ですよ。既に小競り合いは
あったようですし、それなりの数の軍が
展開しているようですよ」
それを聞いた九之池は諦めたように頷いた。
ベルトゥル公国の幾つかの拠点と砦が陥落し、
敗報が本軍にもたらされると大いに軍は動揺した。
心の片隅にはどの将兵も出征だけで戦はまた、
ないだろうと高を括っていたためだだった。
レズェエフ王国の本軍は、街道沿いに
最短距離で公都に迫っていた。
その総数は数万~数十万と非常に
曖昧な情報しか入ってこなかった。
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