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森の獣 3章 諸国動乱の刻。暗躍する者たち編

討伐しまくり(九之池)

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ていてい、九之池は、掛け声と共に魔犬を
叩き潰して、駆除していた。
九之池の少し後方でルージェナが炎の魔術で
魔犬を燃やしていた。
ヘーグマンやエドゥアールがお目付け役として
同行していないために二人で依頼を受注していた。
前回の討伐の件で懲りたのか、九之池は、チームを
組むことに気が進まなかった。
夜営での警備にリスクはあったが、前回の討伐の褒美として、
シリア卿が渡した警戒型の魔道具が
二人の警備の負担を軽減していた。

殲滅して、完了証明のサインを村長に貰い、
次の村へ移動、そして、依頼を完遂。
兎に角、雑魚狩りの依頼をこなす九之池だった。

「ルージェナ、殲滅依頼が続いているけど、大丈夫?」
と九之池が馬車を拙いながらも操作しながら、尋ねた。

「だっ大丈夫ですけど、九之池さん、手綱、手綱」
とルージェナが九之池の手綱さばきを慌てて、指摘する。
九之池の手綱さばきでは、
まだ、リラックスできないルージェナであった。

「ルージェナ、一つ聞いてもいい?」
と前方を真剣な表情で見る九之池が
ルージェナに話した。

ルージェナは九之池の真剣な表情が
話の内容なのか馬車の操作のためか
よく判断つかなかったが、頷いた。

「魔獣とか魔物ってさ、あんなに討伐されているのに
どうして減らないのかな。
僕ら以外にも相当な数の冒険者が討伐をしているのに。
これって、昔からなの?」

「うーんうーん、すみません、
考えたことありませんでした。
このことを当たり前のように
受け入れていましたので」
とルージェナが言った。

村を脅かす魔獣の類は村人でも
何とか追い払うことができるし、依頼するなりすれば、
何とかなるためにあまり考えられて
こなかったのだろうと九之池は思った。
 しかし、九之池には、ギルドに依頼される件数を
見ると、異常な繁殖力としか思えなかった。
前世界でいうならば、ゴキブリ並みの繁殖力であった。

「九之池さんは、どうしてそんな疑問をもったんですか?」

「それは、まあ、気のせいなのかなあー。
魔犬にしろ、小鬼にしろ、僕が召喚された頃より
強くなってきてない?
それで、もどきとはいわないけど、
魔術的な何かが影響しているのかなぁと思ってさ。
それに抽出している石も微妙に大きくない?」

「確かに言われてみれば、今日の魔犬は
焼け具合が鮮やかでなく、にぶかったですよね」
と恐ろしいことを何気なく言うルージェナだった。

「まっ気のせいなのかな。
公都に戻ったら、しばらくはまったりとするかな」
ルージェナも賛成し、公都への帰途を急いだ。

公都の冒険者ギルドに完了証明書の
提出に九之池は来ていた。
気のせいか、普段よりざわついているように感じた。
 窓口で報酬を受け取ると、九之池は依頼の掲示板を
眺めていた。
前回、雇った面々もギルドにいたが、
特にお互い挨拶もせずであった。

ルージェナは、ギルドで知り合った冒険者たちに
挨拶をしていた。
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