49 / 267
森の獣 3章 諸国動乱の刻。暗躍する者たち編
相談₍才籐)
しおりを挟む
二度ほど、ドアをノックされて、
才籐がどうぞと言うと、失礼しますと
礼儀正しい返答が返ってきた。
「稲生か?どうした?
また、けっ隣のエロエルフの
自慢にでも来たかのかよ」
ぽっちゃり系のメープルと違った美人系の
素晴らしいプロポーションのアデリナを見て、
才籐が言った。
「いえ、そういう訳ではありません。
エルフと言えば、此処に来る途中で
愁いを帯びた美しいエルフが歩いていましたよ」
「ふん、それはビルギットだろう。
昨日、話していた奴だよ」
「そうですか、あの方ですか。
昨日の話もありますし、一応、紹介して
頂いてもいいでしょうか?」
と稲生が何気なく言った。
「稲生、視線がにやけているぞ。
気持ち悪いな、おまえは」
とアデリナが指摘した。
「おまえ、本当に節操がないな」
と才籐が指摘した。
「いや、そういうつもりはないのですが、、、」
ごもごもと弁解する稲生だった。
そんなくだらない話をしながら、
才籐は先ほどのメープルの提案を
稲生に相談した。
なんやかんやで稲生を信頼している才籐だった。
「才藤さん、まず、第一案ですが、論外ですね。
最終的に死にます。
それも拷問まがいの実験の末にです。
第二案ですが、もし、仮に才籐さんが
他国へ行こうと考えたとします。
刺客がバルザースより、プレゼントされます。
それに隷属の縛りが開放されて、
常時、苦痛に悩まされます。
あの苦しみに耐えられますか?」
一度、稲生が言葉を切ると、アデリナが補足した。
「他国は、お前を受け入れないだろうな。
バルザースと好んで事を構えることはしないだろうからな。
おまえが老公なみの才覚を示していれば別だが、
大した才もないことを恐らく
他国は把握しているぞ。
最悪、捕縛して、バルザースに送り返すだろうよ」
「最後の義足が一番、現実的でないでしょうか?
才藤さんもその選択に傾いているのでは
ないでしょうか?
もしくは何かやりたいことがあるのでしょうか?」
と言って、稲生が才籐の言葉を待った。
「ねえよ、この世界でやりたいことなんて、
ねえよ。それに左脚がこれじゃ、
あったとしても無理だしな。
なら、義足を貰うのが一番、現実的だろうな」
と才籐がぶっきらぼうに言った。
「そうだろうな、おまえは調べによると、
巡回先の村人たちにそこそこ慕われているようだから、
義足を使いこなして、また、アンカシオン教の庇護で、
色々とするのがいいだろうよ」
とアデリナが稲生の左腕に絡めながら、言った。
「ふん、敵国の人間に言われてもな。
それより稲生、なんで腕を組んでいるんだ。
しかも胸に腕を挟んでいるんじゃねえ。
ここでそれをやるな、分かっているよな?」
と才籐が少し怯えたように言うと、
稲生も才籐の言わんとしたことが分かったようで、
アデリナに注意した。
当の本人は、そう言われると
うつむいて、泣きそうな表情を敢えて作っていた。
「稲生様、その破廉恥な服装の女狐は、何者ですか?」
と憤怒の形相でアデリナを睨みつける鬼女がいた。
稲生と才籐の二人は、遅かったと後悔していた。
アデリナは怯えた様子で稲生をがっちりと掴んでいた。
メープル司祭の右腕が主の意向を汲んでか、
ゆらゆらと攻撃態勢に入っていた。
「ここには、けが人がいて、
安静にしないといけないと思います。
司祭、お願いですから、鍛練場に行って
頂けないでしょうか?」
と才籐が懇切丁寧な言葉で懇願した。
「ふん、それは、この女狐次第です、ねえ、稲生様」
とにこやかにメープルが言った。
目が笑っていない、稲生は怖いと思った。
「お互いの自己紹介は、鍛練場でしますか、
私は構いませんよ」
と稲生の後方に隠れるようにして、
アデリナはメープルにか細い声で伝えた。
しっかと後方から稲生に身体を密着させていた。
「ぎぎっっ、キサマ、コロス。
イキて、コノタテモノから
デラレルトオモウナヨ、コイ」
言葉を発するごとに凄まじい
歯ぎしりがメープルから、聞こえた。
左でアデリナ、右でメープルが腕を
組んでいるが、稲生は生きた心地がしなかった。
才籐は稲生の後ろ姿に
「いってらっしゃーい」
と高らかな声で嬉しそうに言った。
才籐がどうぞと言うと、失礼しますと
礼儀正しい返答が返ってきた。
「稲生か?どうした?
また、けっ隣のエロエルフの
自慢にでも来たかのかよ」
ぽっちゃり系のメープルと違った美人系の
素晴らしいプロポーションのアデリナを見て、
才籐が言った。
「いえ、そういう訳ではありません。
エルフと言えば、此処に来る途中で
愁いを帯びた美しいエルフが歩いていましたよ」
「ふん、それはビルギットだろう。
昨日、話していた奴だよ」
「そうですか、あの方ですか。
昨日の話もありますし、一応、紹介して
頂いてもいいでしょうか?」
と稲生が何気なく言った。
「稲生、視線がにやけているぞ。
気持ち悪いな、おまえは」
とアデリナが指摘した。
「おまえ、本当に節操がないな」
と才籐が指摘した。
「いや、そういうつもりはないのですが、、、」
ごもごもと弁解する稲生だった。
そんなくだらない話をしながら、
才籐は先ほどのメープルの提案を
稲生に相談した。
なんやかんやで稲生を信頼している才籐だった。
「才藤さん、まず、第一案ですが、論外ですね。
最終的に死にます。
それも拷問まがいの実験の末にです。
第二案ですが、もし、仮に才籐さんが
他国へ行こうと考えたとします。
刺客がバルザースより、プレゼントされます。
それに隷属の縛りが開放されて、
常時、苦痛に悩まされます。
あの苦しみに耐えられますか?」
一度、稲生が言葉を切ると、アデリナが補足した。
「他国は、お前を受け入れないだろうな。
バルザースと好んで事を構えることはしないだろうからな。
おまえが老公なみの才覚を示していれば別だが、
大した才もないことを恐らく
他国は把握しているぞ。
最悪、捕縛して、バルザースに送り返すだろうよ」
「最後の義足が一番、現実的でないでしょうか?
才藤さんもその選択に傾いているのでは
ないでしょうか?
もしくは何かやりたいことがあるのでしょうか?」
と言って、稲生が才籐の言葉を待った。
「ねえよ、この世界でやりたいことなんて、
ねえよ。それに左脚がこれじゃ、
あったとしても無理だしな。
なら、義足を貰うのが一番、現実的だろうな」
と才籐がぶっきらぼうに言った。
「そうだろうな、おまえは調べによると、
巡回先の村人たちにそこそこ慕われているようだから、
義足を使いこなして、また、アンカシオン教の庇護で、
色々とするのがいいだろうよ」
とアデリナが稲生の左腕に絡めながら、言った。
「ふん、敵国の人間に言われてもな。
それより稲生、なんで腕を組んでいるんだ。
しかも胸に腕を挟んでいるんじゃねえ。
ここでそれをやるな、分かっているよな?」
と才籐が少し怯えたように言うと、
稲生も才籐の言わんとしたことが分かったようで、
アデリナに注意した。
当の本人は、そう言われると
うつむいて、泣きそうな表情を敢えて作っていた。
「稲生様、その破廉恥な服装の女狐は、何者ですか?」
と憤怒の形相でアデリナを睨みつける鬼女がいた。
稲生と才籐の二人は、遅かったと後悔していた。
アデリナは怯えた様子で稲生をがっちりと掴んでいた。
メープル司祭の右腕が主の意向を汲んでか、
ゆらゆらと攻撃態勢に入っていた。
「ここには、けが人がいて、
安静にしないといけないと思います。
司祭、お願いですから、鍛練場に行って
頂けないでしょうか?」
と才籐が懇切丁寧な言葉で懇願した。
「ふん、それは、この女狐次第です、ねえ、稲生様」
とにこやかにメープルが言った。
目が笑っていない、稲生は怖いと思った。
「お互いの自己紹介は、鍛練場でしますか、
私は構いませんよ」
と稲生の後方に隠れるようにして、
アデリナはメープルにか細い声で伝えた。
しっかと後方から稲生に身体を密着させていた。
「ぎぎっっ、キサマ、コロス。
イキて、コノタテモノから
デラレルトオモウナヨ、コイ」
言葉を発するごとに凄まじい
歯ぎしりがメープルから、聞こえた。
左でアデリナ、右でメープルが腕を
組んでいるが、稲生は生きた心地がしなかった。
才籐は稲生の後ろ姿に
「いってらっしゃーい」
と高らかな声で嬉しそうに言った。
0
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる