49 / 264
森の獣 3章 諸国動乱の刻。暗躍する者たち編
相談₍才籐)
しおりを挟む
二度ほど、ドアをノックされて、
才籐がどうぞと言うと、失礼しますと
礼儀正しい返答が返ってきた。
「稲生か?どうした?
また、けっ隣のエロエルフの
自慢にでも来たかのかよ」
ぽっちゃり系のメープルと違った美人系の
素晴らしいプロポーションのアデリナを見て、
才籐が言った。
「いえ、そういう訳ではありません。
エルフと言えば、此処に来る途中で
愁いを帯びた美しいエルフが歩いていましたよ」
「ふん、それはビルギットだろう。
昨日、話していた奴だよ」
「そうですか、あの方ですか。
昨日の話もありますし、一応、紹介して
頂いてもいいでしょうか?」
と稲生が何気なく言った。
「稲生、視線がにやけているぞ。
気持ち悪いな、おまえは」
とアデリナが指摘した。
「おまえ、本当に節操がないな」
と才籐が指摘した。
「いや、そういうつもりはないのですが、、、」
ごもごもと弁解する稲生だった。
そんなくだらない話をしながら、
才籐は先ほどのメープルの提案を
稲生に相談した。
なんやかんやで稲生を信頼している才籐だった。
「才藤さん、まず、第一案ですが、論外ですね。
最終的に死にます。
それも拷問まがいの実験の末にです。
第二案ですが、もし、仮に才籐さんが
他国へ行こうと考えたとします。
刺客がバルザースより、プレゼントされます。
それに隷属の縛りが開放されて、
常時、苦痛に悩まされます。
あの苦しみに耐えられますか?」
一度、稲生が言葉を切ると、アデリナが補足した。
「他国は、お前を受け入れないだろうな。
バルザースと好んで事を構えることはしないだろうからな。
おまえが老公なみの才覚を示していれば別だが、
大した才もないことを恐らく
他国は把握しているぞ。
最悪、捕縛して、バルザースに送り返すだろうよ」
「最後の義足が一番、現実的でないでしょうか?
才藤さんもその選択に傾いているのでは
ないでしょうか?
もしくは何かやりたいことがあるのでしょうか?」
と言って、稲生が才籐の言葉を待った。
「ねえよ、この世界でやりたいことなんて、
ねえよ。それに左脚がこれじゃ、
あったとしても無理だしな。
なら、義足を貰うのが一番、現実的だろうな」
と才籐がぶっきらぼうに言った。
「そうだろうな、おまえは調べによると、
巡回先の村人たちにそこそこ慕われているようだから、
義足を使いこなして、また、アンカシオン教の庇護で、
色々とするのがいいだろうよ」
とアデリナが稲生の左腕に絡めながら、言った。
「ふん、敵国の人間に言われてもな。
それより稲生、なんで腕を組んでいるんだ。
しかも胸に腕を挟んでいるんじゃねえ。
ここでそれをやるな、分かっているよな?」
と才籐が少し怯えたように言うと、
稲生も才籐の言わんとしたことが分かったようで、
アデリナに注意した。
当の本人は、そう言われると
うつむいて、泣きそうな表情を敢えて作っていた。
「稲生様、その破廉恥な服装の女狐は、何者ですか?」
と憤怒の形相でアデリナを睨みつける鬼女がいた。
稲生と才籐の二人は、遅かったと後悔していた。
アデリナは怯えた様子で稲生をがっちりと掴んでいた。
メープル司祭の右腕が主の意向を汲んでか、
ゆらゆらと攻撃態勢に入っていた。
「ここには、けが人がいて、
安静にしないといけないと思います。
司祭、お願いですから、鍛練場に行って
頂けないでしょうか?」
と才籐が懇切丁寧な言葉で懇願した。
「ふん、それは、この女狐次第です、ねえ、稲生様」
とにこやかにメープルが言った。
目が笑っていない、稲生は怖いと思った。
「お互いの自己紹介は、鍛練場でしますか、
私は構いませんよ」
と稲生の後方に隠れるようにして、
アデリナはメープルにか細い声で伝えた。
しっかと後方から稲生に身体を密着させていた。
「ぎぎっっ、キサマ、コロス。
イキて、コノタテモノから
デラレルトオモウナヨ、コイ」
言葉を発するごとに凄まじい
歯ぎしりがメープルから、聞こえた。
左でアデリナ、右でメープルが腕を
組んでいるが、稲生は生きた心地がしなかった。
才籐は稲生の後ろ姿に
「いってらっしゃーい」
と高らかな声で嬉しそうに言った。
才籐がどうぞと言うと、失礼しますと
礼儀正しい返答が返ってきた。
「稲生か?どうした?
また、けっ隣のエロエルフの
自慢にでも来たかのかよ」
ぽっちゃり系のメープルと違った美人系の
素晴らしいプロポーションのアデリナを見て、
才籐が言った。
「いえ、そういう訳ではありません。
エルフと言えば、此処に来る途中で
愁いを帯びた美しいエルフが歩いていましたよ」
「ふん、それはビルギットだろう。
昨日、話していた奴だよ」
「そうですか、あの方ですか。
昨日の話もありますし、一応、紹介して
頂いてもいいでしょうか?」
と稲生が何気なく言った。
「稲生、視線がにやけているぞ。
気持ち悪いな、おまえは」
とアデリナが指摘した。
「おまえ、本当に節操がないな」
と才籐が指摘した。
「いや、そういうつもりはないのですが、、、」
ごもごもと弁解する稲生だった。
そんなくだらない話をしながら、
才籐は先ほどのメープルの提案を
稲生に相談した。
なんやかんやで稲生を信頼している才籐だった。
「才藤さん、まず、第一案ですが、論外ですね。
最終的に死にます。
それも拷問まがいの実験の末にです。
第二案ですが、もし、仮に才籐さんが
他国へ行こうと考えたとします。
刺客がバルザースより、プレゼントされます。
それに隷属の縛りが開放されて、
常時、苦痛に悩まされます。
あの苦しみに耐えられますか?」
一度、稲生が言葉を切ると、アデリナが補足した。
「他国は、お前を受け入れないだろうな。
バルザースと好んで事を構えることはしないだろうからな。
おまえが老公なみの才覚を示していれば別だが、
大した才もないことを恐らく
他国は把握しているぞ。
最悪、捕縛して、バルザースに送り返すだろうよ」
「最後の義足が一番、現実的でないでしょうか?
才藤さんもその選択に傾いているのでは
ないでしょうか?
もしくは何かやりたいことがあるのでしょうか?」
と言って、稲生が才籐の言葉を待った。
「ねえよ、この世界でやりたいことなんて、
ねえよ。それに左脚がこれじゃ、
あったとしても無理だしな。
なら、義足を貰うのが一番、現実的だろうな」
と才籐がぶっきらぼうに言った。
「そうだろうな、おまえは調べによると、
巡回先の村人たちにそこそこ慕われているようだから、
義足を使いこなして、また、アンカシオン教の庇護で、
色々とするのがいいだろうよ」
とアデリナが稲生の左腕に絡めながら、言った。
「ふん、敵国の人間に言われてもな。
それより稲生、なんで腕を組んでいるんだ。
しかも胸に腕を挟んでいるんじゃねえ。
ここでそれをやるな、分かっているよな?」
と才籐が少し怯えたように言うと、
稲生も才籐の言わんとしたことが分かったようで、
アデリナに注意した。
当の本人は、そう言われると
うつむいて、泣きそうな表情を敢えて作っていた。
「稲生様、その破廉恥な服装の女狐は、何者ですか?」
と憤怒の形相でアデリナを睨みつける鬼女がいた。
稲生と才籐の二人は、遅かったと後悔していた。
アデリナは怯えた様子で稲生をがっちりと掴んでいた。
メープル司祭の右腕が主の意向を汲んでか、
ゆらゆらと攻撃態勢に入っていた。
「ここには、けが人がいて、
安静にしないといけないと思います。
司祭、お願いですから、鍛練場に行って
頂けないでしょうか?」
と才籐が懇切丁寧な言葉で懇願した。
「ふん、それは、この女狐次第です、ねえ、稲生様」
とにこやかにメープルが言った。
目が笑っていない、稲生は怖いと思った。
「お互いの自己紹介は、鍛練場でしますか、
私は構いませんよ」
と稲生の後方に隠れるようにして、
アデリナはメープルにか細い声で伝えた。
しっかと後方から稲生に身体を密着させていた。
「ぎぎっっ、キサマ、コロス。
イキて、コノタテモノから
デラレルトオモウナヨ、コイ」
言葉を発するごとに凄まじい
歯ぎしりがメープルから、聞こえた。
左でアデリナ、右でメープルが腕を
組んでいるが、稲生は生きた心地がしなかった。
才籐は稲生の後ろ姿に
「いってらっしゃーい」
と高らかな声で嬉しそうに言った。
0
お気に入りに追加
65
あなたにおすすめの小説

GLACIER(グレイシア)
弓チョコ
ファンタジー
世界地図がまだできていない時代。
危険な未開の地に踏み込み、古代文明の遺物を持って帰る「トレジャーハンター」全盛期の時代。
クリュー・スタルース。
彼の子供の頃に、広場の見世物としてやってきた「氷漬けの美女」。
1万年前に滅んだ古代文明当時の姿のまま凍ってしまった彼女に、彼は一目惚れをした。
その氷は今の科学では解かせないらしい。
10年後、成長したクリューは彼女の氷を解かし、プロポーズするために動き出す。
その旅は、やがて世界を巻き込む事件へ繋がり、古代文明の謎を解明する大冒険へ発展していく。

初体験が5歳という伝説の「女使い」冒険者の物語 〜 スキル「優しい心」は心の傷ついた女性を虜にしてしまう極悪のモテスキルだった
もぐすけ
ファンタジー
美女を見ると本能で助けてしまう男リンリンに「優しい心」Lv9999のスキルを与えて、異世界に転生させてしまった女神ラクタ。
彼女は責任を取って神界から毎日リンリンを監視するが、規定により監視できるのは1日5分間のみ。
スキル「優しい心」は凶悪で、優しさに飢えている女性は、最短1分でリンリンにメロメロになってしまう。
ラクタが監視で降りてくるたびに、リンリンは5歳で初体験を済ませていたり、毎日違う女の子と寝ていたり、やりたい放題。
もっと、世のため人のためにこのスキルを使ってほしい、と切に願う女神ラクタと本能に負けがちなリンリンの物語。

俺だけ2つスキルを持っていたので異端認定されました
七鳳
ファンタジー
いいね&お気に入り登録&感想頂けると励みになります。
世界には生まれた瞬間に 「1人1つのオリジナルスキル」 が与えられる。
それが、この世界の 絶対のルール だった。
そんな中で主人公だけがスキルを2つ持ってしまっていた。
異端認定された主人公は様々な苦難を乗り越えながら、世界に復讐を決意する。
※1話毎の文字数少なめで、不定期で更新の予定です。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
ボッチはハズレスキル『状態異常倍加』の使い手
Outlook!
ファンタジー
経緯は朝活動始まる一分前、それは突然起こった。床が突如、眩い光が輝き始め、輝きが膨大になった瞬間、俺を含めて30人のクラスメイト達がどこか知らない所に寝かされていた。
俺達はその後、いかにも王様っぽいひとに出会い、「七つの剣を探してほしい」と言われた。皆最初は否定してたが、俺はこの世界に残りたいがために今まで閉じていた口を開いた。
そしてステータスを確認するときに、俺は驚愕する他なかった。
理由は簡単、皆の授かった固有スキルには強スキルがあるのに対して、俺が授かったのはバットスキルにも程がある、状態異常倍加だったからだ。
※不定期更新です。ゆっくりと投稿していこうと思いますので、どうかよろしくお願いします。
カクヨム、小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。


クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる