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森の獣 3章 諸国動乱の刻。暗躍する者たち編
予定(才籐)
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「それとビルギット、老公はどこまで予見していたのだ?」
とルナリオンが低い声で尋ねた。
「何を?」
とビルギットも答えずにルナリオンの返答を待った。
「あまりにも都合が良すぎるであろう。
あの遺品に残っていたのは、右腕と左脚、
取扱説明書は、老公の世界の文字、
まるで、同じ世界から召喚されて使用されることが
前提であったかのようであろう。
符号する点が多いと思わぬか?
それに魔術に長けた者、魔術の使えぬ者での接合の実験。
如何にも老公が好みそうな研究であろうよ」
「さあな、少なくとも刻を扱う魔術など
使えたとは思わないがな。
それは魔法の範疇になるだろう。
となると老公の魔力では不可能だよ。
メリアムに辺りに聞けば、答えが
返って来るかもしれないな」
とビルギットが淡々と答えた。
メープルは突然の話題にただ聞くだけだった。
「そうだな。次にメリアムがここを訪ねてきたら、
聞いてみることにするかな」
とルナリオンは言って、
話題を才籐の左脚の接合に戻した。
3人は具体的な作業の打ち合わせと
費用に関して、話を続けた。
最後にメープルは重要なことを二人に確認をした。
「あの盛り上がっているところすみませんが、
才籐の意思を確認しませんと。
それはいつ、だれがいたしましょうか?」
「ん?そんなのいいよ。
奴にはこれ以外の選択肢がないし。
それより、この件をメープル、おまえが伝えておけ」
と異議を認めるという断固たる表情で言ったルナリオン。
「そうだな。日程は、皇子の予定次第だが、
一先ず、施術の内容説明はそれを
実際に取り扱っているメープル司祭がいいだろう。
よくよく接合後の注意点も説明しとかないとな。
よろしくー」
と軽いノリで伝えるビルギット。
メープルは、少しだけお断りの雰囲気を
醸し出したが、二人の圧力に負けてしまい、
ついつい、了解の返事をしてしまった。
「どうしてこうなった」
一人、部屋でどのように才籐へ伝えようか
懊悩するメープルであった。
後の世に「光銀の右腕を持つ大司教」と謳われる
メープルの生涯を彩る数多き試練というか悩み事
のうちの一つであった。
とルナリオンが低い声で尋ねた。
「何を?」
とビルギットも答えずにルナリオンの返答を待った。
「あまりにも都合が良すぎるであろう。
あの遺品に残っていたのは、右腕と左脚、
取扱説明書は、老公の世界の文字、
まるで、同じ世界から召喚されて使用されることが
前提であったかのようであろう。
符号する点が多いと思わぬか?
それに魔術に長けた者、魔術の使えぬ者での接合の実験。
如何にも老公が好みそうな研究であろうよ」
「さあな、少なくとも刻を扱う魔術など
使えたとは思わないがな。
それは魔法の範疇になるだろう。
となると老公の魔力では不可能だよ。
メリアムに辺りに聞けば、答えが
返って来るかもしれないな」
とビルギットが淡々と答えた。
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「そうだな。次にメリアムがここを訪ねてきたら、
聞いてみることにするかな」
とルナリオンは言って、
話題を才籐の左脚の接合に戻した。
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費用に関して、話を続けた。
最後にメープルは重要なことを二人に確認をした。
「あの盛り上がっているところすみませんが、
才籐の意思を確認しませんと。
それはいつ、だれがいたしましょうか?」
「ん?そんなのいいよ。
奴にはこれ以外の選択肢がないし。
それより、この件をメープル、おまえが伝えておけ」
と異議を認めるという断固たる表情で言ったルナリオン。
「そうだな。日程は、皇子の予定次第だが、
一先ず、施術の内容説明はそれを
実際に取り扱っているメープル司祭がいいだろう。
よくよく接合後の注意点も説明しとかないとな。
よろしくー」
と軽いノリで伝えるビルギット。
メープルは、少しだけお断りの雰囲気を
醸し出したが、二人の圧力に負けてしまい、
ついつい、了解の返事をしてしまった。
「どうしてこうなった」
一人、部屋でどのように才籐へ伝えようか
懊悩するメープルであった。
後の世に「光銀の右腕を持つ大司教」と謳われる
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