起きるとそこは、森の中。可愛いトラさんが涎を垂らして、こっちをチラ見!もふもふ生活開始の気配(原題.真説・森の獣

ゆうた

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森の獣 外伝"才籐さんの何気ない一日"

二日目。日常、崩壊の序曲

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 身体が覚えているのか、才籐は、今日も3刻に起床した。
患部に痛みは残っているが、さほどとは
思わなかったためにベッドで身体を伸ばした。

「ぐうううぅー」
才籐は唸ってしまった。
思いのほか痛みが残っていたようだった。

その痛みに耐えて、3刻半まで教会でお祈り。
その後、教会でただ飯にありつく。

毎度のことながら、4刻に助祭から
本日の奉仕活動について尋ねると、
直ぐにメープル司祭に会うようにとの説明を受けた。
才籐は、昨夜、思いついた案を進めるために丁度、
良いと思い、急ぎメープルに会いに向かった。

「司祭、おはよう。話があるって?
俺も話があるけど、先に司祭からしてくれ」
とメープルに会うや否や言った。

「才籐、勢い込んでどうしました?」
とメープルは才籐のせわしなさに驚き、尋ねた。

「いやなんでもない。早く、そちらの話を終わらせてくれ」
と急かす才籐。

メープルは話し始めた。

「才籐、レズェエフ王国との戦について、
聞き及んでいますね。
局地紛争で終わらず、戦の規模が拡大しています。
帝国騎兵団も出征します。近く大きな会戦が
帝国領であるでしょう。
現在のバルザース帝国軍の象徴たる皇子は無論、
出征しますが、今回、帝国軍に所属して、
あなたも出征することになりました。
ルナリオン様をはじめとして、教会側は反対したのですが、
拒否できませんでした」
メープルは話終えると、申し訳なさそうに才籐を見つめた。
才籐も無言でメープルを見つめた。
一体、どのくらいお互いに沈黙を
続けたのだろうか、才籐が重い口を開いた。

「くそっ、しゃーなしだな。
どうせ逆らえば、隷属の縛りで苦しむんだろうしな。
それに今まで何か発明とかして、違った方面の才能でも
示していれば話は違っただろうし」

才籐は召喚されてからの自分の生きざまを思い返し、
諦めたように呟いた。
そして、柔らか布団の開発は諦めることにした。

「才籐、あなたに戦の経験や人を
殺したことがないことは重々、承知しています。
軍では輜重や後方支援になるように働きかけます。
あなたも生き延びられるように
最大限努力してください」

「ふー、で?いつから軍で行動することになるの?
それとここの教会の神官戦士どもは出征することになるの?」
才籐は嘆息し、従軍の予定について尋ねた。

「10日後に帝都を出発の予定です。
教会の戦士は参加しません。
ただし、帝都の機構に組み込まれている
アンカシオン教の戦士団は、一軍として出征の予定です」
とメープルは説明した。

「ったく、どうも間が悪いよな。
柔らかい布団の開発はまた、いずれにするかな。
できれば、戦なんて参加したくないけど。
くそっ、取り敢えず、魔術屋に行って
魔石や魔晶を準備するわ」
と上手く高ぶった感情をコントロールできたない為か、
上擦った声でメープルに言うと、魔術屋に向かった。

メープルは心配そうに才籐の背中が
見えなくなるまで見つめていた。
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