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森の獣 外伝"才籐さんの何気ない一日"
夜
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2刻ほど昼寝をした才籐は、起きて、
患部の痛みを軽く触ってチェックした。
ビルギットの薬草の効果だろう
痛みをあまり感じないが、患部に触れている感覚が
あまりなかった。
元の世界でいう部分麻酔のような効果も
あるのだろうと才籐は思っていた。
そして、毎度のことながら、彼女の技術には感心していた。
才籐は、水時計を見ると9刻付近を差ししていた。
代り映えのない飯とは言え、ただ飯が
保証されていることはありがたかった。
遅れないように食堂に向かい、いつもの席につき、
有難い説教の言葉を司祭様より頂く。
できれば、今日は説教の短い司祭様で
ありますようにとしょうもない願いを祈る才籐だった。
隣に座っている助祭が耳打ちした。
「あの爺さんじゃ、料理が冷めちゃいますよね」
才籐もここで過ごして、5年になり、
ある程度、ここのお偉い方ことは知っていた。
確かに今日は、料理が冷たくなることに賛同した。
「しゃーないな。あの爺さんじゃな」
と合図地を打った。
才籐にとって、長く有難くもないお話が終わり、
黙祷を捧げ、食事を始める。
多少の会話はあるが、基本的に静かに食事を取っていた。
食後、助祭や侍祭はまだ、仕事があるため、
急いで食堂を去るが、才籐は特に何もないために
ゆっくりと部屋に戻った。
魔灯を灯せば、十分な明かりが確保でき、
読書すら可能であった。
蝋燭のようなものあるが、基本、火災の危険性と
明りの問題からあまり流通していないようだった。
固い布団に寝転がりながら、改めて、
自分の境遇について思いを巡らせた。
変態導師に尻を狙われたとは言え、
才籐は、英雄と持て囃された稲生や
国の意向に振り回される九之池に比べれば、
遥かに恵まれていた。
稲生は獣に襲われ、森で失禁、
九之池は精神崩壊寸前まで圧迫、
それらに比べ、才籐は運よくアンカシオン教に早々に
保護されたため、殴られて気絶した程度であった。
あの二人からは能動的、受動的な違いはあれど、
世界に関わる意思が感じられた。
それに比べ、才籐はアンカシオン教の保護と
支給される給金に甘え、何となく過ごしていた。
過去の召喚者たちの偉業にぶら下がっているだけだった。
先祖の功績ぶら下がる無能な貴族どもとなんら違いがなかった。
「俺も何か考えるかな。
とりあえず、この布団がもうちょっと柔らかくなるように
何か考えてみるかな。
あのおっさんでも西瓜に似せた新料理を
既に開発しているし。今なら金もあることだし、
何かしてみるか」
と才籐は思い、消灯して眠りに落ちた。
患部の痛みを軽く触ってチェックした。
ビルギットの薬草の効果だろう
痛みをあまり感じないが、患部に触れている感覚が
あまりなかった。
元の世界でいう部分麻酔のような効果も
あるのだろうと才籐は思っていた。
そして、毎度のことながら、彼女の技術には感心していた。
才籐は、水時計を見ると9刻付近を差ししていた。
代り映えのない飯とは言え、ただ飯が
保証されていることはありがたかった。
遅れないように食堂に向かい、いつもの席につき、
有難い説教の言葉を司祭様より頂く。
できれば、今日は説教の短い司祭様で
ありますようにとしょうもない願いを祈る才籐だった。
隣に座っている助祭が耳打ちした。
「あの爺さんじゃ、料理が冷めちゃいますよね」
才籐もここで過ごして、5年になり、
ある程度、ここのお偉い方ことは知っていた。
確かに今日は、料理が冷たくなることに賛同した。
「しゃーないな。あの爺さんじゃな」
と合図地を打った。
才籐にとって、長く有難くもないお話が終わり、
黙祷を捧げ、食事を始める。
多少の会話はあるが、基本的に静かに食事を取っていた。
食後、助祭や侍祭はまだ、仕事があるため、
急いで食堂を去るが、才籐は特に何もないために
ゆっくりと部屋に戻った。
魔灯を灯せば、十分な明かりが確保でき、
読書すら可能であった。
蝋燭のようなものあるが、基本、火災の危険性と
明りの問題からあまり流通していないようだった。
固い布団に寝転がりながら、改めて、
自分の境遇について思いを巡らせた。
変態導師に尻を狙われたとは言え、
才籐は、英雄と持て囃された稲生や
国の意向に振り回される九之池に比べれば、
遥かに恵まれていた。
稲生は獣に襲われ、森で失禁、
九之池は精神崩壊寸前まで圧迫、
それらに比べ、才籐は運よくアンカシオン教に早々に
保護されたため、殴られて気絶した程度であった。
あの二人からは能動的、受動的な違いはあれど、
世界に関わる意思が感じられた。
それに比べ、才籐はアンカシオン教の保護と
支給される給金に甘え、何となく過ごしていた。
過去の召喚者たちの偉業にぶら下がっているだけだった。
先祖の功績ぶら下がる無能な貴族どもとなんら違いがなかった。
「俺も何か考えるかな。
とりあえず、この布団がもうちょっと柔らかくなるように
何か考えてみるかな。
あのおっさんでも西瓜に似せた新料理を
既に開発しているし。今なら金もあることだし、
何かしてみるか」
と才籐は思い、消灯して眠りに落ちた。
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