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森の獣 2章 召喚されたけど、獣が討伐されていたので、やることないから、気ままに異世界を楽しんでみる
魔術屋にて
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二人が扉を開けて、入店すると、
一旦、舌戦は休止されて、ビルギットが
営業スマイルをお客に送った。
にこやかな笑顔と共に
「いらっしゃいませー今日はどういったご用件で?」
と言った。
才籐は自分への対応の違いに口をパクパクして、
唖然としていた。
「今日は、帰国の挨拶も含めて、
ご挨拶にと伺いました」
と笑顔でかえすルージェナだった。
「そういうことですので、
今日は、才藤さんの借金の肩代わりはできません」
と九之池が続けた。
「ふむ、ベルトゥル公国に帰国か。
じゃ、餞別でも用意しないと。
いつ頃にここをたつのか?」
「予定通りでしたら、6日後でしょうね」
と九之池が伝えた。
「ならば、その日の朝に宿泊している宿に行くかな。
それと、九之池、すまぬが、この男に言ってやってくれ。
一つの戦術・技術に頼るのでなく、幅を広げる様に」
と思いの他、真剣な表情で言うビルギットだった。
「そっそうですね、それ重要ですよ、才籐さん。
ヘーグマンさんくらいに極めれば、別ですけどね。
あのキリアでの手合わせを見たでしょ。
ワイルド将軍と互角にやり合うあの殺気と剣技。
あそこまでなるには僕らじゃ無理ですよ。
それにその魔石が通用しない相手がいたら、
それこそお終いでしょう。
よりどころを持つのはいいのでしょうけど、
常に幾つかの手立ては持っていないとね」
と九之池が才籐にアドバイスを送った。
「けっ、おっさんはなんかあんのかよ?」
と才籐が不機嫌そうに突っ込む。
「あるよ、そりゃあるに決まってるでしょ。
棍棒を振り回すだけじゃしょうがないでしょ」
となぜか挙動不審で答える九之池だった。
「はっ教えてくれよ。それを」
と厳しく追及する才籐だった。
「いやいや、手の内を見せたら、ダメでしょ。
無理無理、パクられると困るから」
と額に汗をかきつつ、答える九之池。
「それより、才籐さん。
今日は、報告会の準備ではなかったですか?」
とルージェナが助け舟を出した。
「ああ、そうだな。まあ、司祭があらかた
終わらすだろうから、問題ないはず」
と才籐は言った。
「才籐、流石に何の準備もなしに
臨むのは得策でない。
価格は再度、検討する故、さっさと戻って、
報告内容をチェックしなさい。
それと、この漆黒の魔晶石の
埋め込まれたブローチは有難く受け取るよ」
とビルギットがにやりと笑い、頭を下げた。
九之池とルージェナは、顔を見合わせてから、
納得したように才籐に微笑んだ。
「ぐぐっぅー誤解すんなよ、二人とも。
そんなんじゃないからな。
たまたま、稲生の嫁さんが
ちょっと変わった魔術の大家だったから、
頼んだだけで、他意はないからな。
くっ、おっさん、帰国前に呑みに行くぞ、じゃあな」
と捨て台詞を残して、慌てて、店を後にした。
九之池とルージェナは、ビルギットと
他愛ない会話を交わして、宿へと戻った。
「さてと、ベルトゥル公国への報告内容を纏めますかな」
と九之池が言うと、ルージェナが頷き、
二人は、ロビーの一角で検討を始めた。
同時刻、バルザース帝国アンカシオン教本部にて、
10人ほどの前でメープルは、才籐を抜きにして
今回の旅の件を報告していた。
高位に位置する者であろう一人が報告を促した
「まず、九之池という召喚者ですが、
普段は、身体能力が若干、優れている程度です。
そして、性格は、至って自己中心的であり、
人を惹きつける魅力はありません」
と言って、一旦、発言を切った。
高位に位置する者であろう一人が報告を促した。
「しかし、何がきっかけとなって
発現するかは不明ですが、内包する能力は特異です。
人知を超えた身体能力の向上といかなる精神干渉も退け、
戦闘に対する異常な高揚が発現されます。
本人にそれは、コントロールは出来ていないかと。
恐らくヘーグマンは、暴走した時に彼を
殺害するために同行させているのでしょう。
普段は、人畜無害であるかと」
メープルは粛々と答えた。
メープルの発言を聴いた面々に若干のざわめきがあった。
「ふん、かの御仁と同郷の召喚者であったな。
とりあえず、午前の報告会は、ここまで。
一旦、解散とする」
中央に鎮座するルナリオンが言うと、各々、席を立った。
一旦、舌戦は休止されて、ビルギットが
営業スマイルをお客に送った。
にこやかな笑顔と共に
「いらっしゃいませー今日はどういったご用件で?」
と言った。
才籐は自分への対応の違いに口をパクパクして、
唖然としていた。
「今日は、帰国の挨拶も含めて、
ご挨拶にと伺いました」
と笑顔でかえすルージェナだった。
「そういうことですので、
今日は、才藤さんの借金の肩代わりはできません」
と九之池が続けた。
「ふむ、ベルトゥル公国に帰国か。
じゃ、餞別でも用意しないと。
いつ頃にここをたつのか?」
「予定通りでしたら、6日後でしょうね」
と九之池が伝えた。
「ならば、その日の朝に宿泊している宿に行くかな。
それと、九之池、すまぬが、この男に言ってやってくれ。
一つの戦術・技術に頼るのでなく、幅を広げる様に」
と思いの他、真剣な表情で言うビルギットだった。
「そっそうですね、それ重要ですよ、才籐さん。
ヘーグマンさんくらいに極めれば、別ですけどね。
あのキリアでの手合わせを見たでしょ。
ワイルド将軍と互角にやり合うあの殺気と剣技。
あそこまでなるには僕らじゃ無理ですよ。
それにその魔石が通用しない相手がいたら、
それこそお終いでしょう。
よりどころを持つのはいいのでしょうけど、
常に幾つかの手立ては持っていないとね」
と九之池が才籐にアドバイスを送った。
「けっ、おっさんはなんかあんのかよ?」
と才籐が不機嫌そうに突っ込む。
「あるよ、そりゃあるに決まってるでしょ。
棍棒を振り回すだけじゃしょうがないでしょ」
となぜか挙動不審で答える九之池だった。
「はっ教えてくれよ。それを」
と厳しく追及する才籐だった。
「いやいや、手の内を見せたら、ダメでしょ。
無理無理、パクられると困るから」
と額に汗をかきつつ、答える九之池。
「それより、才籐さん。
今日は、報告会の準備ではなかったですか?」
とルージェナが助け舟を出した。
「ああ、そうだな。まあ、司祭があらかた
終わらすだろうから、問題ないはず」
と才籐は言った。
「才籐、流石に何の準備もなしに
臨むのは得策でない。
価格は再度、検討する故、さっさと戻って、
報告内容をチェックしなさい。
それと、この漆黒の魔晶石の
埋め込まれたブローチは有難く受け取るよ」
とビルギットがにやりと笑い、頭を下げた。
九之池とルージェナは、顔を見合わせてから、
納得したように才籐に微笑んだ。
「ぐぐっぅー誤解すんなよ、二人とも。
そんなんじゃないからな。
たまたま、稲生の嫁さんが
ちょっと変わった魔術の大家だったから、
頼んだだけで、他意はないからな。
くっ、おっさん、帰国前に呑みに行くぞ、じゃあな」
と捨て台詞を残して、慌てて、店を後にした。
九之池とルージェナは、ビルギットと
他愛ない会話を交わして、宿へと戻った。
「さてと、ベルトゥル公国への報告内容を纏めますかな」
と九之池が言うと、ルージェナが頷き、
二人は、ロビーの一角で検討を始めた。
同時刻、バルザース帝国アンカシオン教本部にて、
10人ほどの前でメープルは、才籐を抜きにして
今回の旅の件を報告していた。
高位に位置する者であろう一人が報告を促した
「まず、九之池という召喚者ですが、
普段は、身体能力が若干、優れている程度です。
そして、性格は、至って自己中心的であり、
人を惹きつける魅力はありません」
と言って、一旦、発言を切った。
高位に位置する者であろう一人が報告を促した。
「しかし、何がきっかけとなって
発現するかは不明ですが、内包する能力は特異です。
人知を超えた身体能力の向上といかなる精神干渉も退け、
戦闘に対する異常な高揚が発現されます。
本人にそれは、コントロールは出来ていないかと。
恐らくヘーグマンは、暴走した時に彼を
殺害するために同行させているのでしょう。
普段は、人畜無害であるかと」
メープルは粛々と答えた。
メープルの発言を聴いた面々に若干のざわめきがあった。
「ふん、かの御仁と同郷の召喚者であったな。
とりあえず、午前の報告会は、ここまで。
一旦、解散とする」
中央に鎮座するルナリオンが言うと、各々、席を立った。
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