起きるとそこは、森の中。可愛いトラさんが涎を垂らして、こっちをチラ見!もふもふ生活開始の気配(原題.真説・森の獣

ゆうた

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森の獣 2章 召喚されたけど、獣が討伐されていたので、やることないから、気ままに異世界を楽しんでみる

紹介2

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「九之池、そんな話はいいから、
お前がまず、挨拶をしろ」
と言って、エドゥアールが冷たい目線で睨みつけてきた。
そして、場の視線が九之池に集まった。

「えええっと、、、九之池です。
そのおぅ、冒険者ギルドに所属しています。
幾つかのミッションをこなしています。
特技は棍棒です。
えっう、あ、工場のラインワークで主に
働いていました。以上です」
稲生との会話から打って変わって、動悸が激しく、
身体を左右にふらふらさせながら、
何とか自己紹介を終わらせた。

「才藤だ。ここにいるメンバーは、
以前、会っているから、知っているな」
と才籐が言った。

その後、何故か苦痛に顔を歪めていたために
九之池はぎょっとしたが、その後に
メープルがすぐさま挨拶を続けた

「バルザース帝国にてアンカシオン教の普及に
努めております、メープルと言います。
先ほどは、我が協会に所属する才籐の失礼な態度、
平にご容赦ください」
と言うと、キリア王朝の面々は、笑いながら、頷いた。

「ベルトゥル公国、シリア卿麾下
アルナルディ・エドゥアールです。
今は、九之池殿の旅に同行しております。
旅先での渉外が主となります」
ときりりとした表情で答えた。
 
先ほどの失態が考えられないような態度であった。
エドゥアールの態度に九之池は感心していたが、
他の面々は軽く頷くだけだった。

「ベルトゥル公国、シリア卿麾下
ビョルン・ヘーグマンと申します。
同じく、九之池殿の旅に同行しております。
旅先の安全のためですかねぇ」
とヘーグマンがとぼけた表情で答えると、
シリア王朝の二人の武人が鋭い視線を送った。

「ヘーグマン殿、失礼を承知で伺うが、
魔人殺しの異名を持つ御仁であろうか?」
とエイヤが尋ねた。

「ふむ、遥か昔にそう呼ばれたことがありましたな。
今、その名にふさわしいのは、この席にいる
九之池殿、才籐殿であろう」
と飄々として、答えた。

「それは、面白い!のちほど、ヘーグマン殿、
そして、そのお二人と是非、手合わせをしようぞ」
と今度は、ワイルドが答えた。

 是とも否ともとれる曖昧な笑いで
ヘーグマンが返していたが、ワイルドは、
了解の旨と受け取ったのか、目の前に置かれたお酒を
一気にあおり、稲生、さっさと話を
終わらせろと注文を付けた。

「ベルトゥル公国、九之池様付きのルージェナと
言います。九之池様のお世話を主として、
この旅にご一緒さえて頂いております」
とルージェナが話した。
 彼女の立ち振る舞いから、元貴族であろうことは
キリア王朝の面々は想像できたが、家名を名乗らぬことから、
何かしらの事情があるのだろうと想像した。

 一通りの紹介が済むと、軽い軽食が振舞われて、
各々、気ままに雑談が始まっていた。

 時節、質問が九之池にもあったが、当たり障りのない
内容であったため、気ままに答えていた。

「ふうううううぅぅぅ、想像していたのと随分と違う」
とかなりリラックスしている状態の九之池であった。

「九之池さん、少しは緊張してくださいっ。
さっきから、稲生さんとリンさんが
こちらを伺っていますよ」
とのんびり構える九之池にルージェナが
こっそりと釘を差した。

 九之池は、テーブルに置いてある軽食を
食べながら、余裕の表情をしつつ、キリリと答えた。
「ルーたん、いや、ルージェナ、ダイジョブだよ」
と言って、ルージェナの左手を握った。

 その言葉と行動の後、稲生と九之池の視線が交錯した。
そして、勝ち誇ったような表情で九之池が
ルージェナの左手を握りながら、
にんまりと稲生に視線を送り、逆に稲生は、
その視線を受けて目を伏せた。

『我、勝ち組なり。この歳で初の勝ち組となる。
フハハハハハ』
と心の中で叫び、椅子にふんぞり返っていた。

「ルーたん、、、もしやそれは、
美少女戦隊エイトシックス(活動8時から18時まで♡)の
『メーたん』からでしょうか?」
と稲生が考え深げな表情で九之池に話しかけた。

 才籐には何のことか分からなかったが、
何かのアニメーションだろうということは想像がついた。

「いやいやいや、稲生さん、、、いや、稲生様、
いったい何を根拠に言っているのかわからぬでござる。
あれは、確かに大人の戦隊シリーズでしたが、
決して、わたくしは、興味がないような。
あくまで深夜帯に起きていることが多かったので、
観ていて、、、他意はござらんのです」
 九之池は、図星をつかれ、挙動不審なゼスチャーと共に
怪しげな口語で弁解を始めた。
 
 予想外の個所からの切り口に先ほど余裕は
消し飛んでしまった。

 晴天のせいなのか汗で背中が妙に湿っぽい九之池であった。
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