180 / 267
森の獣 2章 召喚されたけど、獣が討伐されていたので、やることないから、気ままに異世界を楽しんでみる
再会
しおりを挟む
翌日、九之池たちは、再び、洞窟へ向かった。
村人たちは、魔犬の討伐が成功したと
思っていたために再び彼らが向かうことに
まだ何かあるのかと不安を感じた。
「みなさん、大丈夫です!何もありませんよ。
昨日、抽出した魔石を置いてきてしまったので、
取りに戻るだけです」
と才籐が彼らの不安をかき消すように
声高らかに言った。
村人たちには、落ち着いたのか、
自分たちの作業に戻った。
洞窟に向かいながら、九之池は
「ふううっ、流石、才籐さん。
上手く収めましたね。
僕には無理でしょうから、助かりますわ」
と言った。
「ん?んんっ?おっさんが最近、おかしいぞ。
どうしたんだ」と才籐が自問自答した。
「まー本音を聞けましたし、
確かに前の世界じゃ才藤さんと
絶対にこうして話すことは
なかったでしょうけどね。
それになんというか、事実ですし、
まあ、吹っ切れましたわ。
それより、この世界での目的なんてないですから、
ちょっと気ままに旅をゲームのように
楽しんでみますよ」
とへらへらと笑いながら、九之池が言った。
「いやその、あの件はすみません。
俺だって、あのすかし野郎以外ではおっさんしか、
過去を話せる人間はいないからさ。
なんていうかさ、そういうことなんだおよ」
と才籐は語彙力が足りないために
上手く表現できないのか、
九之池に察してくれといような感じで話した。
「まあ、それよりあの男だと思いますが、
いるとおもいますか?」
と九之池が話題を転じた。
「いやいや、いないでしょ。
あれは逃げるための時間稼ぎでしょ。
いたら、頭、おかしいでしょ。
あんななんもないところに」
「そうですよね。いたらおかしいですよ。
じゃあ、収穫はおそらくあの魔術陣があれば、
ラッキーてことですかね。
ヘーグマンさんかルージェナはあの陣ってわかる?」
と九之池がルージェナとヘーグマンに話しかけた。
ヘーグマンは、頸を横に振って、
分からないとの意思表示をした。
「私もわからないと思います。
もし、幸運にも陣がのこっていたら、
写生して、ビルギットさんにでも聞くか、
これから、会う予定の稲生さんに
聞いてみるがいいのでは?」
とルージェナがニコニコしながら、言った。
その言葉に才藤がピクリと反応した。
「奴はダメだーぁ。奴に頼るくらいなら、
俺がビルギットに依頼する」
と珍しく息巻いていた。
九之池は、一体、二人の間に
何があったのか興味があったが、
おいおい分かることだろうと思い、
この場で詮索はしなかった。
他愛のない会話をしながら、森を進むと、
昨日の洞窟の前に到着した。
特に変わった点もなく、九之池たちは、
松明を灯して、奥へすすんでいった。
特に障害もなく、最深部に到着した。
「えっ」
「えっ」
お互いに発した言葉がこだまのように聞こえた。
「いやーまさかいるとは、
ちょっと予想外でしたね」
と九之池が他のメンバーを見渡して、言った。
「何ということだ、裏の裏をいかれるとは、
貴様たち何者だ。
おそらく、召喚者が同行しているな。
そいつの特殊なスキルに違いない。
俺様が欺かれるなんて、あってはならないはず。
しかし、この現実にどのように
対処すべきであろうか、昨日の土塊では
どうにもならないし。本格的に撤退すべきか。
ここの魔術陣は、廃棄すべきか、、、、、」
終わることなく、ぶつぶつと呟いていた。
しかし、その紡がれる言葉には、一切、
自分が捕縛されたり、負けたりする予想はなかった。
「あのーすみません、そろそろ、いいでしょうか?」
と九之池が恐る恐る声をかけた。
「ん?今、思索中なのだが、邪魔な奴だな。
方針が決まるまで、待て」
と鋭く答えると、また、ぶつぶつと呟き始めた。
九之池は困ってしまった。
魔犬との関係もわからず、改めて考えると
特に敵対しているわけでもない。
ここにいる事情が集落に被害を
与えるものでなければ、
このまま関りなく、戻る気分になっていた。
「才藤さん、なんかもう会話も成り立たないですし、
問題なさそうなら、集落に事情を話して、
王都に戻りませんか?」
「そっそうだな。なんかめんどくさい奴ぽいし」
と才籐が賛同した。
「ふっ、決まりました。
幾通りものシミュレーションの結果、
殺害して召喚するものの餌にします。
では、死になさい」
と言うと、何かを唱え始めた。
ルージェナとヘーグマンは
シミュレーションという言葉を
理解できずにいたが、殺意には
素早く反応し、応戦を始めた。
「シミュレーション?シミュレーション?
こいつも同じ世界からの召喚者なのか?」
と九之池と才籐が応戦するよりも
その言葉に囚われてしまった。
そんな九之池にルージェナが叫んだ。
「九之池さん、今、それよりも戦いです。
後で、その謎の言葉については考えましょう」
その叫びに九之池と才籐も遅まきながら、
武器を構えて、攻撃する体制を整えた。
九之池たちの前には、一匹の魔人が立っていた。
恐らく、目の前の人間のようなものに
召喚されたのだろう。
「以前の気のせいか、森に出た奴に似てない?」
と九之池が言うと、ヘーグマンがそれに答えた。
「以前、現れた魔人ほどの脅威は感じませんな。
魔人のみでしたら、このメンバーで
なんとかなりますが、後方に控えている者が
如何ほどものか次第でしょう」
九之池には、魔人の脅威が同じように
感じられたが、ヘーグマンが言うなら、
そうなのだろうと、額に滴る汗を拭いながら、
落ち着きを取り戻した。
魔人は、直立不動の姿勢を崩さずに無言で、
そして、生気の感じられない目で、九之池たちを見つめていた。
村人たちは、魔犬の討伐が成功したと
思っていたために再び彼らが向かうことに
まだ何かあるのかと不安を感じた。
「みなさん、大丈夫です!何もありませんよ。
昨日、抽出した魔石を置いてきてしまったので、
取りに戻るだけです」
と才籐が彼らの不安をかき消すように
声高らかに言った。
村人たちには、落ち着いたのか、
自分たちの作業に戻った。
洞窟に向かいながら、九之池は
「ふううっ、流石、才籐さん。
上手く収めましたね。
僕には無理でしょうから、助かりますわ」
と言った。
「ん?んんっ?おっさんが最近、おかしいぞ。
どうしたんだ」と才籐が自問自答した。
「まー本音を聞けましたし、
確かに前の世界じゃ才藤さんと
絶対にこうして話すことは
なかったでしょうけどね。
それになんというか、事実ですし、
まあ、吹っ切れましたわ。
それより、この世界での目的なんてないですから、
ちょっと気ままに旅をゲームのように
楽しんでみますよ」
とへらへらと笑いながら、九之池が言った。
「いやその、あの件はすみません。
俺だって、あのすかし野郎以外ではおっさんしか、
過去を話せる人間はいないからさ。
なんていうかさ、そういうことなんだおよ」
と才籐は語彙力が足りないために
上手く表現できないのか、
九之池に察してくれといような感じで話した。
「まあ、それよりあの男だと思いますが、
いるとおもいますか?」
と九之池が話題を転じた。
「いやいや、いないでしょ。
あれは逃げるための時間稼ぎでしょ。
いたら、頭、おかしいでしょ。
あんななんもないところに」
「そうですよね。いたらおかしいですよ。
じゃあ、収穫はおそらくあの魔術陣があれば、
ラッキーてことですかね。
ヘーグマンさんかルージェナはあの陣ってわかる?」
と九之池がルージェナとヘーグマンに話しかけた。
ヘーグマンは、頸を横に振って、
分からないとの意思表示をした。
「私もわからないと思います。
もし、幸運にも陣がのこっていたら、
写生して、ビルギットさんにでも聞くか、
これから、会う予定の稲生さんに
聞いてみるがいいのでは?」
とルージェナがニコニコしながら、言った。
その言葉に才藤がピクリと反応した。
「奴はダメだーぁ。奴に頼るくらいなら、
俺がビルギットに依頼する」
と珍しく息巻いていた。
九之池は、一体、二人の間に
何があったのか興味があったが、
おいおい分かることだろうと思い、
この場で詮索はしなかった。
他愛のない会話をしながら、森を進むと、
昨日の洞窟の前に到着した。
特に変わった点もなく、九之池たちは、
松明を灯して、奥へすすんでいった。
特に障害もなく、最深部に到着した。
「えっ」
「えっ」
お互いに発した言葉がこだまのように聞こえた。
「いやーまさかいるとは、
ちょっと予想外でしたね」
と九之池が他のメンバーを見渡して、言った。
「何ということだ、裏の裏をいかれるとは、
貴様たち何者だ。
おそらく、召喚者が同行しているな。
そいつの特殊なスキルに違いない。
俺様が欺かれるなんて、あってはならないはず。
しかし、この現実にどのように
対処すべきであろうか、昨日の土塊では
どうにもならないし。本格的に撤退すべきか。
ここの魔術陣は、廃棄すべきか、、、、、」
終わることなく、ぶつぶつと呟いていた。
しかし、その紡がれる言葉には、一切、
自分が捕縛されたり、負けたりする予想はなかった。
「あのーすみません、そろそろ、いいでしょうか?」
と九之池が恐る恐る声をかけた。
「ん?今、思索中なのだが、邪魔な奴だな。
方針が決まるまで、待て」
と鋭く答えると、また、ぶつぶつと呟き始めた。
九之池は困ってしまった。
魔犬との関係もわからず、改めて考えると
特に敵対しているわけでもない。
ここにいる事情が集落に被害を
与えるものでなければ、
このまま関りなく、戻る気分になっていた。
「才藤さん、なんかもう会話も成り立たないですし、
問題なさそうなら、集落に事情を話して、
王都に戻りませんか?」
「そっそうだな。なんかめんどくさい奴ぽいし」
と才籐が賛同した。
「ふっ、決まりました。
幾通りものシミュレーションの結果、
殺害して召喚するものの餌にします。
では、死になさい」
と言うと、何かを唱え始めた。
ルージェナとヘーグマンは
シミュレーションという言葉を
理解できずにいたが、殺意には
素早く反応し、応戦を始めた。
「シミュレーション?シミュレーション?
こいつも同じ世界からの召喚者なのか?」
と九之池と才籐が応戦するよりも
その言葉に囚われてしまった。
そんな九之池にルージェナが叫んだ。
「九之池さん、今、それよりも戦いです。
後で、その謎の言葉については考えましょう」
その叫びに九之池と才籐も遅まきながら、
武器を構えて、攻撃する体制を整えた。
九之池たちの前には、一匹の魔人が立っていた。
恐らく、目の前の人間のようなものに
召喚されたのだろう。
「以前の気のせいか、森に出た奴に似てない?」
と九之池が言うと、ヘーグマンがそれに答えた。
「以前、現れた魔人ほどの脅威は感じませんな。
魔人のみでしたら、このメンバーで
なんとかなりますが、後方に控えている者が
如何ほどものか次第でしょう」
九之池には、魔人の脅威が同じように
感じられたが、ヘーグマンが言うなら、
そうなのだろうと、額に滴る汗を拭いながら、
落ち着きを取り戻した。
魔人は、直立不動の姿勢を崩さずに無言で、
そして、生気の感じられない目で、九之池たちを見つめていた。
0
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

巻き込まれた薬師の日常
白髭
ファンタジー
商人見習いの少年に憑依した薬師の研究・開発日誌です。自分の居場所を見つけたい、認められたい。その心が原動力となり、工夫を凝らしながら商品開発をしていきます。巻き込まれた薬師は、いつの間にか周りを巻き込み、人脈と産業の輪を広げていく。現在3章継続中です。【カクヨムでも掲載しています】レイティングは念の為です。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる