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森の獣 2章 召喚されたけど、獣が討伐されていたので、やることないから、気ままに異世界を楽しんでみる

情報収集

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「才藤さん、稲生さんって、どんな方なんですか?」
才籐のあまりにも素っ気ない言い方に
びっくりした九之池は才籐に尋ねた。

「あー奴はすけこまし野郎だからな。
ふん、また、会うことになったとは言え、
積極的には会いたくないね」
とまたも素っ気なく才籐は答えた。

「はあ、そうなんですか。嫌だなぁ、同じ日本出身なのに。
メープル司祭の話しぶりですと、随分と紳士的な方に
感じてたんですけどね」
九之池は会う前から、どうも稲生に対して、
苦手意識を持ってしまったようだった。

「まあ、それはそうと、才籐さん。
ここは初めてではなさそうですね。
すみませんが、冒険者のギルドを教えて貰えませんか?
それと、お薦めの食べ物とか」
九之池なりの関係の修復を図っているのか普段より、
才籐へ積極的に話し掛けていた。
エドゥアールとの間にはお互いの接点が見つからず、
改善のきっかけを掴むのが難しいが、
才籐はどうにかなりそうと、九之池なりに努力してみた。

「まーいいけど、帝都の時みたいに
騒ぎにならない程度に気を付けてくれよ。
ってか、なんでそんなに素材にこだわるかね」
と才籐は皮肉りつつ、了解した。

「実益を兼ねた収集家ってやつですかね。
何となく素材をコンプしたくなったんですよ。
まーやり込み系のゲームのせいですかね」
とのんびりと答えて、ギルドに向かう九之池、才籐、
そしてルージェナだった。

 高級感のある屋敷が並ぶ中の一つを
メープルは訪ねていた。
「将軍、お久しぶりです」
と挨拶をして、軽く会釈をした。
「これは、司祭!ようこそ。
して、司祭が来るということは、目的は奴かな?」
そう答えて、豪快に笑った。

「まあ、そういうところです。
彼は、今、どちらに滞在ですか?
教えて頂けると助かります」
とメープルは、努めて冷静に答えた。

「確かハルバーンにいるはず。
もしいなければ、ノルドとメリアムの家で
何かしているだろうよ。
そうそう、司祭、知っているか?
2人目だそうだ。
奴もよくやるな」
と今度は好色な顔つきで笑った。

「ワイルド将軍、いちいち余計な情報は
伝えなくてもいいです。
将軍には、話しておきますが、
才籐とは別に彼と同じ世界出身の
ベルトゥル公国の召喚者が同行しています」
と内心いらいらしながらも能面のような表情で
メープルは他の随行の人員に関して、伝えた。

「ほう召喚者が同行しているとは、
非公式とは言え、何か起きたら洒落じゃすまんな。
上手く取り計らうだろから、エイヤにでも伝えておく。
ちなみに稲生は、今、リンと一緒に
子育てに大忙しらしいな。
手伝ってやってくれ」
と豪快に笑った。

「ありがとうございます。
それと、一々、彼のプライベートの情報を
伝えなくても結構ですっ」
と顔を真っ赤にして、珍しく動揺していた。

「ふむ、すまんの。ここを訪ねてきたのは、
稲生に関する情報収集が主かと思ってな。
まあ、いい、ところで、その召喚者はどうだ?
稲生や才籐と比べて、秀でているのか?
話せる範囲で教えてくれて」
ワイルドが居住まいを正して、真剣な表情で尋ねた。

「内に潜む何かは、稲生様や才籐と
比較にならないほどのものがあります。
おそらく、ヘーグマンを同行させているのは、
彼が暴走した時に殺すためでしょう。
一度、その力が発現したところを
見たことがありますが、私や才籐では
手に負えないでしょうね。
ただ、それ以外に目を引くものはありません」
とメープルは嘆息した。

「それほどかっ。稲生は、先祖に
妖怪とかなんとか言っていたが。
よほど強い血が混ざっているのか。
まあ、面白そうな奴が増えたということか。
その力、見てみたいな」
とワイルドは、何かしら、問題が起こるのを
楽しみにしているようだった。
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