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森の獣 2章 召喚されたけど、獣が討伐されていたので、やることないから、気ままに異世界を楽しんでみる
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ヘーグマンが九之池の右側から、
無言で斬りつける。
エドゥアールが九之池の左側から、
無言で斬りつける。
彼らの斬撃は何か弾かれて、
妖精もどきを傷つけることはできなかったようだった。
「みなさんの実力は、ある程度、
把握していますから、何の対策もなしに
降りてくる訳ないのになあ。
分からないかなその辺りの機微が」
と心底、失望したかのように言って、ため息をついた。
「結局、どうしたいんだ、おまえは!」
と正面で相対する九之池が尋ねると、
「もう言ってあるでしょう。
僕の実験の邪魔をしなければ、いいんですよう。
まったく、二度も邪魔するとかないわー。
まっ、君は特別だから、生かすけどね。
で?どうしたいの」
「いやいやいや、どうするもなにも
実験の邪魔とか言われても分からないし。
前回も今回も偶然ですから。
ってか、どこで実験してるかなんて、
わからないですから」
と九之池が喚きたてた。
「うーん、それは、そうですね。
じゃー僕の実験に役に立ちそうなのは、
助けますから、他の役に立たないのを
処分してください、どうですか?
召喚者の君と後方の召喚者さんは
他の3人を殺しちゃってください」
とその妖精もどきは説明した。
後方から、才籐が一言、
「無理、お前が死ね」と言うと、
いくつかの魔晶と思わしきものを
それに向かって、放り投げた。
「おっさん、棍棒で思いっきり叩きつけろ」
「おうよー」
ノリよく九之池が答えて、
思い切って、棍棒を振り下げた。
「ぎゃっ」
と叫び声が聞こえると、
地面に叩き付けられた妖精もどきは
ゴムまりのようバウンドして、
上空へ放り出された。
そこへ火球が飛来し、もどきを焼き焦がした。
更にヘーグマンとエドゥアールから
短剣が放たれ、妖精もどきに突き刺さった。
木の枝に引っ掛かり、そこに無言のまま、
四肢をだらりとさせるもどき。
「死んだのかな?」
九之池が恐る恐る見上げて、言った。
「まあ、死んだんじゃね。
ってかその木から落として、
確認した方がよくない?」
と才籐は言った。
太い幹を見て、揺れそうにないと
九之池は思い、無言で、首を横に振った。
「では、この木を伐り倒しましょう」
とヘーグマンが言い、斜め方向に気合一閃、
木を切り倒した。
全身が黒くすすけたもどきは、
木が倒れるとともにことりと地面に落ちた。
九之池は恐る恐る近づき、ぱっと見、
息をしていないように感じたため、
右足で蹴り飛ばした。
「うん、念のため、頸を切り落としましょう。
それが確実です。ヘーグマンさん、お願いします」
と九之池は、いきって言うと、
もう一度、それを蹴り飛ばした。
二度目に蹴った感触に九之池は、
違和感を持った。
卵の殻のような硬質な感触であり、
殻が割れたように感じた。
九之池はそれを凝視した。
黒いすすけた表面にひびが入っていた。
九之池に近づいて来た才籐は、
その変化を見て、咄嗟に剣を振り下ろした。
剣は弾かれ、全く傷をつけることができなかった。
「なんだこれ、まずない?
何か生まれるパターンじゃね、おっさん!」
と才籐。
九之池はこくこくと高速で頷くと、
両手で棍棒を握り、やたらめっぽうに叩きつけた。
ひびが広がるがそこから
何かが生まれてくる気配はなく、
九之池の方が先にばててしまった。
「ゼイゼイ、くそっ。
はた迷惑やつだ、ふぅふぅふぅ」
と言い、その場にへたり込んでしまった。
ヘーグマンが無言で近づき、剣を振り下ろした。
才籐の剣のようにはじき返されてはいないが、
ひびを増やしただけだった。
「これは、ルージェナの蒼白い炎の槍で
試して貰うしかありませんね」
とエドゥアールが言うと、九之池たちは、
急いでそれから、離れて、
念ため、ルージェナを守るように各々、
武器を構えた。
ルージェナは頷くと、詠唱を始めた。
ぱきっ、ぱきぱき、そんな音が聞こえ、
その中から、乳白色のどろどろの液体と共に
妖精もどきが這うように出てきた。
その大きさは、若干小さめのサイズであり、
先ほどのような大きさではなかった。
ルージェナはその現れたものに
向かって、蒼白い炎の槍を放った。
「ったく、本当に君たちは、邪魔ばかりだ。
進化?変化?なんとも言えないけど、
再生の神秘の途中で無理やり、
殻を割るとか。本当に糞ですわ」
クルクルと空中をホバーリングしながら、
悪態をついていた。
地面に残された残骸は、
槍に貫かれて、燃えていた。
ひらりひらりと九之池たちから
投擲されるものを躱しながら、
「覚えておくがいい、君たち全員、
碌な死に方しないよ」
と捨て台詞を吐いて、森の中に消えて行った。
「ってかあの町でなんの実験を
してたんだろうな」
と才籐が言うと、
「あれじゃないかな、まー薬物の補助とか
あったかもしれないけど、
群衆を誘導できるかどうかとか、
そんなところじゃないでしょうか」
と九之池が応じた。
「ったく、手広く色々とやってくれるわ」
と才籐。
「まー奴は、とりあえず、ルーたんの魔術で
最悪、何とかなりそうだし、メープル司祭が
戻ったら、キリアに向かいますかね」
と九之池が言った。
無言で斬りつける。
エドゥアールが九之池の左側から、
無言で斬りつける。
彼らの斬撃は何か弾かれて、
妖精もどきを傷つけることはできなかったようだった。
「みなさんの実力は、ある程度、
把握していますから、何の対策もなしに
降りてくる訳ないのになあ。
分からないかなその辺りの機微が」
と心底、失望したかのように言って、ため息をついた。
「結局、どうしたいんだ、おまえは!」
と正面で相対する九之池が尋ねると、
「もう言ってあるでしょう。
僕の実験の邪魔をしなければ、いいんですよう。
まったく、二度も邪魔するとかないわー。
まっ、君は特別だから、生かすけどね。
で?どうしたいの」
「いやいやいや、どうするもなにも
実験の邪魔とか言われても分からないし。
前回も今回も偶然ですから。
ってか、どこで実験してるかなんて、
わからないですから」
と九之池が喚きたてた。
「うーん、それは、そうですね。
じゃー僕の実験に役に立ちそうなのは、
助けますから、他の役に立たないのを
処分してください、どうですか?
召喚者の君と後方の召喚者さんは
他の3人を殺しちゃってください」
とその妖精もどきは説明した。
後方から、才籐が一言、
「無理、お前が死ね」と言うと、
いくつかの魔晶と思わしきものを
それに向かって、放り投げた。
「おっさん、棍棒で思いっきり叩きつけろ」
「おうよー」
ノリよく九之池が答えて、
思い切って、棍棒を振り下げた。
「ぎゃっ」
と叫び声が聞こえると、
地面に叩き付けられた妖精もどきは
ゴムまりのようバウンドして、
上空へ放り出された。
そこへ火球が飛来し、もどきを焼き焦がした。
更にヘーグマンとエドゥアールから
短剣が放たれ、妖精もどきに突き刺さった。
木の枝に引っ掛かり、そこに無言のまま、
四肢をだらりとさせるもどき。
「死んだのかな?」
九之池が恐る恐る見上げて、言った。
「まあ、死んだんじゃね。
ってかその木から落として、
確認した方がよくない?」
と才籐は言った。
太い幹を見て、揺れそうにないと
九之池は思い、無言で、首を横に振った。
「では、この木を伐り倒しましょう」
とヘーグマンが言い、斜め方向に気合一閃、
木を切り倒した。
全身が黒くすすけたもどきは、
木が倒れるとともにことりと地面に落ちた。
九之池は恐る恐る近づき、ぱっと見、
息をしていないように感じたため、
右足で蹴り飛ばした。
「うん、念のため、頸を切り落としましょう。
それが確実です。ヘーグマンさん、お願いします」
と九之池は、いきって言うと、
もう一度、それを蹴り飛ばした。
二度目に蹴った感触に九之池は、
違和感を持った。
卵の殻のような硬質な感触であり、
殻が割れたように感じた。
九之池はそれを凝視した。
黒いすすけた表面にひびが入っていた。
九之池に近づいて来た才籐は、
その変化を見て、咄嗟に剣を振り下ろした。
剣は弾かれ、全く傷をつけることができなかった。
「なんだこれ、まずない?
何か生まれるパターンじゃね、おっさん!」
と才籐。
九之池はこくこくと高速で頷くと、
両手で棍棒を握り、やたらめっぽうに叩きつけた。
ひびが広がるがそこから
何かが生まれてくる気配はなく、
九之池の方が先にばててしまった。
「ゼイゼイ、くそっ。
はた迷惑やつだ、ふぅふぅふぅ」
と言い、その場にへたり込んでしまった。
ヘーグマンが無言で近づき、剣を振り下ろした。
才籐の剣のようにはじき返されてはいないが、
ひびを増やしただけだった。
「これは、ルージェナの蒼白い炎の槍で
試して貰うしかありませんね」
とエドゥアールが言うと、九之池たちは、
急いでそれから、離れて、
念ため、ルージェナを守るように各々、
武器を構えた。
ルージェナは頷くと、詠唱を始めた。
ぱきっ、ぱきぱき、そんな音が聞こえ、
その中から、乳白色のどろどろの液体と共に
妖精もどきが這うように出てきた。
その大きさは、若干小さめのサイズであり、
先ほどのような大きさではなかった。
ルージェナはその現れたものに
向かって、蒼白い炎の槍を放った。
「ったく、本当に君たちは、邪魔ばかりだ。
進化?変化?なんとも言えないけど、
再生の神秘の途中で無理やり、
殻を割るとか。本当に糞ですわ」
クルクルと空中をホバーリングしながら、
悪態をついていた。
地面に残された残骸は、
槍に貫かれて、燃えていた。
ひらりひらりと九之池たちから
投擲されるものを躱しながら、
「覚えておくがいい、君たち全員、
碌な死に方しないよ」
と捨て台詞を吐いて、森の中に消えて行った。
「ってかあの町でなんの実験を
してたんだろうな」
と才籐が言うと、
「あれじゃないかな、まー薬物の補助とか
あったかもしれないけど、
群衆を誘導できるかどうかとか、
そんなところじゃないでしょうか」
と九之池が応じた。
「ったく、手広く色々とやってくれるわ」
と才籐。
「まー奴は、とりあえず、ルーたんの魔術で
最悪、何とかなりそうだし、メープル司祭が
戻ったら、キリアに向かいますかね」
と九之池が言った。
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