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森の獣 2章 召喚されたけど、獣が討伐されていたので、やることないから、気ままに異世界を楽しんでみる
暴徒発生
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「ひとまず、ルナリオン様に手紙で
今の状況を伝えておきます」
とメープルが宿で皆に伝えた。
数日でこの原因が掴めるような感じでもなく、
実害と言えば、売買時にお互いに
不愉快な気分になる程度だった。
「感じ悪いなー。さっさと、次の目的地に進みたいね。
なんかこう居心地が悪いよね」
と九之池は呟いた。
「こんな雰囲気、今までになかったけどな。
何なんだろうな。気になるわ。
ってか一揆とか困るわ」
と才籐が相槌を打った。
「この世界でも一揆って
言うんですかね?」
と九之池が尋ねると、
「さあね。そんなん俺が召喚されてから、
一度も起きたことないから、知らん。
地方領主の討伐やらは
確かにあったけど、領民の反乱ってのはないな。
今の帝政は、酷くないから、
そんなの起こす奴らいないと思うけどね」
と才籐が説明をした。
二人が並んで話しながら、歩いているときに
一人の男と九之池の肩がぶつかり、
その男がよろめいた。
「あっ、すみません」
と即座に九之池が答えたが、
その男は烈火のごとく怒り狂い、
「っざけんじゃねぞ、ぼけがぁ。
ああっん?おい、聞いてんのかよ」
と手が付けられないほど、喚きだした。
そして、その声にイラついた人々が周りに集まり、
口々にその男を罵り、九之池を罵り、
その周辺が狂騒状態になってしまった。
「おっさん、ここを離れた方が
良さそうだな、行くぞ」
と言って、才籐が群衆を
かき分けようとしたとき、誰かにぶつかった。
「こいつ、殴りつけてきたぞー」
誰かが叫び、その周辺でぶつかり合った人々が
殴り合いを始めていた。
「なっなんだこれ、狂ってる」
と九之池は呟き、殴り合いを
している群衆をかき分け、
宿に向かって走り出していた。
宿に到着すると、才籐は、メープルに
「司祭、やばいことになった。
町人たちの不満に火がついちまった。
今、騒ぎになっちまってる」
と伝えると、司祭は、
「すぐに現場に向かいます。
才籐、いいですね」
と決断を下した。
「いやいやいや、司祭、あれは暴徒と化してますよ。
ここの守備隊に任せて方がいいです。
ここで被害を回避して、次の町に向かった方が
良いです」
と九之池が地面を見つめながら、主張した。
そんな九之池の姿を見て、メープルはため息をついて、
「いえ、あなたに来てくれとは言っていません。
あなたはここに閉じこもっていれば良いかと。
才籐、案内しなさい」
と冷たく言い放った。
才籐は、九之池に何かを言おうとしたが、
終始、目を合わせようとしない九之池に
諦めたのか、無言で先ほどの場所に向かった。
そして、メープルが後に続いた。
しばらく九之池は少しの間、
地面を見つめて、ぶるぶると震えながら、
「間違ってない。間違ってない」
と呟いて、その場に留まっていた。
下の騒ぎに気付いたのか、
ルージェナが二階から降りてきた。
「九之池さん、どうしたんですか?」
「えっ、いや、何でもないような。
何にもできないような。無理」
と言った。
ルージェナは九之池の両耳に
手のひらを当てて、顔を持ち上げて、
小首を傾げながら、
「九之池さん、それじゃわからないですよー。
話して下さいね」
と彼の目としっかりと見て、話した。
「ううっ、よくわからないままに
暴動が始まってしまって、
才藤さんと宿に戻ってきたけど、
自分がどうすればいいかわからない。
こんなこと経験したことないし、
誰も教えてくれなかったし」
と九之池は何とか声を絞りだして答えた。
惨めであったが、どんな時でもこの娘は励ましてくれた。
九之池は、その思いだけは裏切りたくなかった。
彼は、なんとか簡単に事情をルージェナに話した。
「暴動は司祭の祈りでなんとかなりそうですが、
どうも不自然な感じがあったならば、
煽った人物がいるかもしれません。
その人達を探して、事情を聴きだしましょう。
まだ、付近にいるかもしれません。
行きましょう!九之池さん」
20歳以上も年下の女性に改めて、
励まされて、なんとか頷き、
暴徒の群れの方に向かって、
九之池とルージェナは走り出した。
今の状況を伝えておきます」
とメープルが宿で皆に伝えた。
数日でこの原因が掴めるような感じでもなく、
実害と言えば、売買時にお互いに
不愉快な気分になる程度だった。
「感じ悪いなー。さっさと、次の目的地に進みたいね。
なんかこう居心地が悪いよね」
と九之池は呟いた。
「こんな雰囲気、今までになかったけどな。
何なんだろうな。気になるわ。
ってか一揆とか困るわ」
と才籐が相槌を打った。
「この世界でも一揆って
言うんですかね?」
と九之池が尋ねると、
「さあね。そんなん俺が召喚されてから、
一度も起きたことないから、知らん。
地方領主の討伐やらは
確かにあったけど、領民の反乱ってのはないな。
今の帝政は、酷くないから、
そんなの起こす奴らいないと思うけどね」
と才籐が説明をした。
二人が並んで話しながら、歩いているときに
一人の男と九之池の肩がぶつかり、
その男がよろめいた。
「あっ、すみません」
と即座に九之池が答えたが、
その男は烈火のごとく怒り狂い、
「っざけんじゃねぞ、ぼけがぁ。
ああっん?おい、聞いてんのかよ」
と手が付けられないほど、喚きだした。
そして、その声にイラついた人々が周りに集まり、
口々にその男を罵り、九之池を罵り、
その周辺が狂騒状態になってしまった。
「おっさん、ここを離れた方が
良さそうだな、行くぞ」
と言って、才籐が群衆を
かき分けようとしたとき、誰かにぶつかった。
「こいつ、殴りつけてきたぞー」
誰かが叫び、その周辺でぶつかり合った人々が
殴り合いを始めていた。
「なっなんだこれ、狂ってる」
と九之池は呟き、殴り合いを
している群衆をかき分け、
宿に向かって走り出していた。
宿に到着すると、才籐は、メープルに
「司祭、やばいことになった。
町人たちの不満に火がついちまった。
今、騒ぎになっちまってる」
と伝えると、司祭は、
「すぐに現場に向かいます。
才籐、いいですね」
と決断を下した。
「いやいやいや、司祭、あれは暴徒と化してますよ。
ここの守備隊に任せて方がいいです。
ここで被害を回避して、次の町に向かった方が
良いです」
と九之池が地面を見つめながら、主張した。
そんな九之池の姿を見て、メープルはため息をついて、
「いえ、あなたに来てくれとは言っていません。
あなたはここに閉じこもっていれば良いかと。
才籐、案内しなさい」
と冷たく言い放った。
才籐は、九之池に何かを言おうとしたが、
終始、目を合わせようとしない九之池に
諦めたのか、無言で先ほどの場所に向かった。
そして、メープルが後に続いた。
しばらく九之池は少しの間、
地面を見つめて、ぶるぶると震えながら、
「間違ってない。間違ってない」
と呟いて、その場に留まっていた。
下の騒ぎに気付いたのか、
ルージェナが二階から降りてきた。
「九之池さん、どうしたんですか?」
「えっ、いや、何でもないような。
何にもできないような。無理」
と言った。
ルージェナは九之池の両耳に
手のひらを当てて、顔を持ち上げて、
小首を傾げながら、
「九之池さん、それじゃわからないですよー。
話して下さいね」
と彼の目としっかりと見て、話した。
「ううっ、よくわからないままに
暴動が始まってしまって、
才藤さんと宿に戻ってきたけど、
自分がどうすればいいかわからない。
こんなこと経験したことないし、
誰も教えてくれなかったし」
と九之池は何とか声を絞りだして答えた。
惨めであったが、どんな時でもこの娘は励ましてくれた。
九之池は、その思いだけは裏切りたくなかった。
彼は、なんとか簡単に事情をルージェナに話した。
「暴動は司祭の祈りでなんとかなりそうですが、
どうも不自然な感じがあったならば、
煽った人物がいるかもしれません。
その人達を探して、事情を聴きだしましょう。
まだ、付近にいるかもしれません。
行きましょう!九之池さん」
20歳以上も年下の女性に改めて、
励まされて、なんとか頷き、
暴徒の群れの方に向かって、
九之池とルージェナは走り出した。
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