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森の獣 2章 召喚されたけど、獣が討伐されていたので、やることないから、気ままに異世界を楽しんでみる
暴走する男
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一先ず、適当な棍棒を二本、購入し、
九之池たちは、魔術屋に向かった。
店の外観から九之池のイメージ通りであった。
暗い雰囲気に来訪者を拒絶するかのようなドア。
店内は多分、希少な標本や魔石、そしてかび臭いのだろう。
九之池の期待は高まるばかりだった。
多少、内側から言い争いのような声が聞こえるが、
あまり気にしないようにして、ドアを開けた。
「おいおいおい、価格が上がってるじゃねーかよ。
あのアイディアは俺が出したんだぞ。
話が違うだろうがぁぁ」
とチンピラのような脅し文句を
魔術師風のローブを羽織った店員か
店主に浴びせる男がいた。
「言うは易しです。
私が付与しなければ、これはあなたにとって、
単なる換金できる石ころですよ。
まあ、帝都に訴えるなら、どうぞどうぞ」
と余裕綽々で言い返す。
「くっそ。これだから、この世界は!」
いらいらが頂点に達したのか男は、
地団駄を踏んでいた。
九之池は思った。
実際に地団駄って踏む人いるんだなぁと!
「才籐さん。どうされたんですか?」
と隣にいるルージェナがその男に話しかけた。
才籐さん?えっ才藤さんだったのか。
と九之池は驚き、まじまじと見つめてしまった。
「ん?おっさんとルージェナか。
ったく、みっともないとこ見やがって。
そこの婆がとんでもない詐欺師で騙されたんだよ」
と吐き捨てるようにいった。
「ふん、婆呼ばわりされるほど、
歳ではないでしょうよ」
と言って、二人は罵り合いながら、事の次第を説明した。
どうやら先日の魔人との争いで才籐が
使用した魔石を制作したのがこの女性で、
魔石に込める魔術のアイディアを才籐が
出したようだった。
そして、約束の価格より世間の魔晶相場が
上がったために値上げをしたとのことだった。
才籐はその価格が相場以上であるとの
主張で両者の話が平行線になって、
罵り合いが始まったとのことだった。
「あれには重力系の魔術が
練り込まれていたんですか?」
と九之池は仲裁をせずに質問した。
「あなたも才籐と同じことを言いますね。
残念ながら違います。私にはどうもその概念が
理解できなくて」
と言った。
「ぷぷっ、おっさん、ゲームとか影響受けすぎ。
そんな高度なことはなかなかお目にかかれないよ。
あれは単に対象者の周りの空気の動きを
極端に遅くして対象に押し当てているだけさ。
まあ、一度に使った数が半端なかったけどね」
と才籐が言って、魔術師風の女性がそれに補足した
「あれは中々に秀逸なアイディアであったな。
動きを抑制するように風を起こすとは
思いもしなかったから。
風なら、どのように切り刻む、吹き飛ばすが
攻撃の基本となるからね」
「ほう、それは!なかなか。
ところで、店主は、エルフなのでしょうかな」
と九之池は興味津々でその美貌と
とんがった耳を無遠慮に凝視した。
「ふん、まあ、そんなところですが、
世間一般にはハーフエルフと言われる種になります」
「そうそう、だから、おっさん、
見た目以上に歳をくってるんだよ」
と才籐が追記情報を九之池に伝えた。
「ほほう、才籐。なかなか、言うねぇ。
その婆が初めての相手とは、どうかと思うがのう。
どうなんだろうね」
と才籐を見て、にやりとした。
「ええええええええええええ、うやらま」
と一言、九之池。
そして、そんな九之池をジト目で見るルージェナ。
「ぐっ、それ以上はお願いです。
言わないでください」
と言って、ぷるぷるし出す才籐だった。
九之池は他人の色事にはあまり興味がないためか、
それ以上のつっこみはしなかった。
九之池たちは、魔術屋に向かった。
店の外観から九之池のイメージ通りであった。
暗い雰囲気に来訪者を拒絶するかのようなドア。
店内は多分、希少な標本や魔石、そしてかび臭いのだろう。
九之池の期待は高まるばかりだった。
多少、内側から言い争いのような声が聞こえるが、
あまり気にしないようにして、ドアを開けた。
「おいおいおい、価格が上がってるじゃねーかよ。
あのアイディアは俺が出したんだぞ。
話が違うだろうがぁぁ」
とチンピラのような脅し文句を
魔術師風のローブを羽織った店員か
店主に浴びせる男がいた。
「言うは易しです。
私が付与しなければ、これはあなたにとって、
単なる換金できる石ころですよ。
まあ、帝都に訴えるなら、どうぞどうぞ」
と余裕綽々で言い返す。
「くっそ。これだから、この世界は!」
いらいらが頂点に達したのか男は、
地団駄を踏んでいた。
九之池は思った。
実際に地団駄って踏む人いるんだなぁと!
「才籐さん。どうされたんですか?」
と隣にいるルージェナがその男に話しかけた。
才籐さん?えっ才藤さんだったのか。
と九之池は驚き、まじまじと見つめてしまった。
「ん?おっさんとルージェナか。
ったく、みっともないとこ見やがって。
そこの婆がとんでもない詐欺師で騙されたんだよ」
と吐き捨てるようにいった。
「ふん、婆呼ばわりされるほど、
歳ではないでしょうよ」
と言って、二人は罵り合いながら、事の次第を説明した。
どうやら先日の魔人との争いで才籐が
使用した魔石を制作したのがこの女性で、
魔石に込める魔術のアイディアを才籐が
出したようだった。
そして、約束の価格より世間の魔晶相場が
上がったために値上げをしたとのことだった。
才籐はその価格が相場以上であるとの
主張で両者の話が平行線になって、
罵り合いが始まったとのことだった。
「あれには重力系の魔術が
練り込まれていたんですか?」
と九之池は仲裁をせずに質問した。
「あなたも才籐と同じことを言いますね。
残念ながら違います。私にはどうもその概念が
理解できなくて」
と言った。
「ぷぷっ、おっさん、ゲームとか影響受けすぎ。
そんな高度なことはなかなかお目にかかれないよ。
あれは単に対象者の周りの空気の動きを
極端に遅くして対象に押し当てているだけさ。
まあ、一度に使った数が半端なかったけどね」
と才籐が言って、魔術師風の女性がそれに補足した
「あれは中々に秀逸なアイディアであったな。
動きを抑制するように風を起こすとは
思いもしなかったから。
風なら、どのように切り刻む、吹き飛ばすが
攻撃の基本となるからね」
「ほう、それは!なかなか。
ところで、店主は、エルフなのでしょうかな」
と九之池は興味津々でその美貌と
とんがった耳を無遠慮に凝視した。
「ふん、まあ、そんなところですが、
世間一般にはハーフエルフと言われる種になります」
「そうそう、だから、おっさん、
見た目以上に歳をくってるんだよ」
と才籐が追記情報を九之池に伝えた。
「ほほう、才籐。なかなか、言うねぇ。
その婆が初めての相手とは、どうかと思うがのう。
どうなんだろうね」
と才籐を見て、にやりとした。
「ええええええええええええ、うやらま」
と一言、九之池。
そして、そんな九之池をジト目で見るルージェナ。
「ぐっ、それ以上はお願いです。
言わないでください」
と言って、ぷるぷるし出す才籐だった。
九之池は他人の色事にはあまり興味がないためか、
それ以上のつっこみはしなかった。
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