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森の獣 2章 召喚されたけど、獣が討伐されていたので、やることないから、気ままに異世界を楽しんでみる
殺害
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九之池たちが与えた魔人の傷が
みるみる治っていくが、炭化された
右腿の穴のみがそのままだった。
「ぐっ、欠損部分は治らないな。
そこの娘、この代償は大きいぞ」
魔人がゆらりと動き始めた。
周囲に圧倒的な雰囲気が漂うが、
九之池を除くメンバーがその雰囲気に
飲み込まれることはなかった。
九之池は少し、ちびってしまった。
魔人の視点は定まらず、ふらふらと、
近づいて来た。
才籐の投じた魔石は全て粉々に砕けていた。
「エドゥアール、シリア卿より
渡された魔石を九之池さんに投じなさい」
とヘーグマンが指示をすると、
「こんな早くにこれを使うのですか!」
と言って、全力投球で九之池の下腹部に投げつけた。
「ぐっええーーーー」
と潰された蛙のような呻き声を九之池が出した。
「おい、おっさん、大丈夫か?」
と才籐が心配そうに声をかけ、
ルージェナが
「くっ九之池さん、今、回復の魔術を」
とふらつきながら立ち上がった。
メープルは慌てて、ヘーグマンの方を向くと、
「心配無用です。みなさん、九之池さんから、
離れてください。巻き込まれます。
そして、戦闘に集中して下さい」
と言った。
魔人はうめき声をだしている九之池の方を
凝視すると、最初の獲物と定めたのか
ふらふらと向かい始めた。
九之池は、潰れた蛙のように大地に蹲り、
うめき声をあげている。
うめき声が小さくなるにつれ、彼の身体が
赤銅色に染まり始め、額に角が生え始めていた。
魔人は無言のまま、右腕を九之池へ振り下ろした。
振り切った後に大地は、切り裂かれていた。
「まじかよ」
と才籐がつぶやいた。
はたして、それは魔人に対してか
それとも人間離れした九之池に対してか
誰にも判断つかなかった。
九之池は、魔人の一撃を跳ね起きて、
かわしていた。そして、右手に持つ棍棒で
魔人の腹部を叩きつけていた。
棍棒は一撃で粉砕してしまった。
「ゲヒげひひひィ、ぐげぇうううぅ」
何かを呻きつつ、魔人と対峙する九之池。
「これはこれは、なんとも楽しめそうですねぇ」
一撃二撃と連続で大気を切り裂くほどの攻撃を
繰り出すが、九之池を捉えることはなかった。
九之池は魔人の後方に回り込み、
背中から魔人を抑え込み締め上げた。
魔人ははじめて、呻き声を発し、
九之池に肘で何度も攻撃を加えた。
都度、鮮血が九之池の頭部から、噴き出すが、
尚も締め上げた。
すると、魔人の背中から異様な音が聞こえ、
突然、支えのなくなった人形のように
カクンと頭が下がり、腕や足がだらりとなった。
九之池は魔人をそこらへんに放り投げると、
才籐たちの方を向き、にやりと笑った。
才籐は、恐怖で顔が引きつり、その場で
固まってしまった。
エドゥアールがルージェナの首元に
短剣を当て、一筋の血を流し、
「九之池、戻れ。でなければ、殺す」
と鋭く殺気を込めて言った。
九之池はその声に反応したかのように
その場で動きを止め、気持ち悪いくらいの
直立不動となり、しばらくすると、その場に倒れた。
すでに角はなくなり、身体の色も元に戻っていた。
放り投げられた魔人は、まだ、生きているようだった。
みるみる治っていくが、炭化された
右腿の穴のみがそのままだった。
「ぐっ、欠損部分は治らないな。
そこの娘、この代償は大きいぞ」
魔人がゆらりと動き始めた。
周囲に圧倒的な雰囲気が漂うが、
九之池を除くメンバーがその雰囲気に
飲み込まれることはなかった。
九之池は少し、ちびってしまった。
魔人の視点は定まらず、ふらふらと、
近づいて来た。
才籐の投じた魔石は全て粉々に砕けていた。
「エドゥアール、シリア卿より
渡された魔石を九之池さんに投じなさい」
とヘーグマンが指示をすると、
「こんな早くにこれを使うのですか!」
と言って、全力投球で九之池の下腹部に投げつけた。
「ぐっええーーーー」
と潰された蛙のような呻き声を九之池が出した。
「おい、おっさん、大丈夫か?」
と才籐が心配そうに声をかけ、
ルージェナが
「くっ九之池さん、今、回復の魔術を」
とふらつきながら立ち上がった。
メープルは慌てて、ヘーグマンの方を向くと、
「心配無用です。みなさん、九之池さんから、
離れてください。巻き込まれます。
そして、戦闘に集中して下さい」
と言った。
魔人はうめき声をだしている九之池の方を
凝視すると、最初の獲物と定めたのか
ふらふらと向かい始めた。
九之池は、潰れた蛙のように大地に蹲り、
うめき声をあげている。
うめき声が小さくなるにつれ、彼の身体が
赤銅色に染まり始め、額に角が生え始めていた。
魔人は無言のまま、右腕を九之池へ振り下ろした。
振り切った後に大地は、切り裂かれていた。
「まじかよ」
と才籐がつぶやいた。
はたして、それは魔人に対してか
それとも人間離れした九之池に対してか
誰にも判断つかなかった。
九之池は、魔人の一撃を跳ね起きて、
かわしていた。そして、右手に持つ棍棒で
魔人の腹部を叩きつけていた。
棍棒は一撃で粉砕してしまった。
「ゲヒげひひひィ、ぐげぇうううぅ」
何かを呻きつつ、魔人と対峙する九之池。
「これはこれは、なんとも楽しめそうですねぇ」
一撃二撃と連続で大気を切り裂くほどの攻撃を
繰り出すが、九之池を捉えることはなかった。
九之池は魔人の後方に回り込み、
背中から魔人を抑え込み締め上げた。
魔人ははじめて、呻き声を発し、
九之池に肘で何度も攻撃を加えた。
都度、鮮血が九之池の頭部から、噴き出すが、
尚も締め上げた。
すると、魔人の背中から異様な音が聞こえ、
突然、支えのなくなった人形のように
カクンと頭が下がり、腕や足がだらりとなった。
九之池は魔人をそこらへんに放り投げると、
才籐たちの方を向き、にやりと笑った。
才籐は、恐怖で顔が引きつり、その場で
固まってしまった。
エドゥアールがルージェナの首元に
短剣を当て、一筋の血を流し、
「九之池、戻れ。でなければ、殺す」
と鋭く殺気を込めて言った。
九之池はその声に反応したかのように
その場で動きを止め、気持ち悪いくらいの
直立不動となり、しばらくすると、その場に倒れた。
すでに角はなくなり、身体の色も元に戻っていた。
放り投げられた魔人は、まだ、生きているようだった。
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