起きるとそこは、森の中。可愛いトラさんが涎を垂らして、こっちをチラ見!もふもふ生活開始の気配(原題.真説・森の獣

ゆうた

文字の大きさ
上 下
144 / 267
森の獣 2章 召喚されたけど、獣が討伐されていたので、やることないから、気ままに異世界を楽しんでみる

説明会

しおりを挟む
旅が再開して、毎日のように
ルージェナの左肩から上半身の服を脱がして、
薬を塗る九之池だった。

 最初、ルージェナの肌を見て、
薬を塗るだけで、身体中が震えてしまい、
上手く塗ることすら出来なかった。
身体の一部が、膨張してしまい、
固くなり、呼吸が荒れてしまった。

「はあっはあっはあっ、、、はぁ~」
薬を塗って、傷口に布を
巻きなおすだけなのに九之池は、異常に疲れていた。
いい歳をした自分が傷を負った若い娘を
介護して、興奮していることに
自己嫌悪に陥りそうだった。

 3日目、九之池は、耐えられずに夜中、
ルージェナの裸体を懸想して、シコシコしてしまった。

 明朝、ううっ、何とかしないと、犯罪を起こしそうだと、
昨晩の行為を思い出して、考えていた。

 九之池は、20年近くにもおよぶ、
ラインワーカーとして得たスキルを
行使することにした。
彼は、そのスキルをこう呼んでいた「無の境地」と!
この境地に到達するには鋼の心と
その仕事を続ける忍耐が必要であった。

 次から次に来る部品に対して、心を無にして作業を行う。
そして、いつのまにやら時間が過ぎる。
これを応用すれば、欲情も抑えられるのではと考えた。

「くっ九之池さん、九之池さーん」
何かが呼び掛けている。
すりすりと薬を傷口に塗り込む。
そして、綺麗に洗った布を巻きつける。

作業完了。

九之池は、作業完了から少しずつ、意識が戻ってきた。

「ルーたん、今日の薬は完了ね」
と声をかけて、片づけ始めた。

「ちょっと、九之池さん、目が半眼で
今にも死にそうでしたよ。大丈夫ですか?」
とルージェナが心配そうに九之池に声をかけた。

「ふっ、今日は、怖くなかったでしょ!
昨日までとは違いますから」
ちょっと自慢気な九之池。

「昨日まで怖い?今日の方が怖いですっ!
表情が全く変わらないし。
昨日までは、怖いんでなくて、きもいんですっ!」
と力説して、九之池を傷つけるルージェナだった。

「えっ、、、」
九之池はその言葉にぷるぷる震えだして、
小さな声で「すみません、女性に慣れていないもので」
と答えた。

「あっ、いえ、こちらこそ、すみません」

馬車の中をぎこちない雰囲気が包んでいた。

 九之池はこの雰囲気に耐え切れず、話題を変えようと、
バルザース帝国についてルージェナに尋ねた。
ルージェナもほっとした様子で、九之池に
バルザース帝国について説明した。

「強力な兵団を持つ国ですよー以前、
話した通りアンカシオン教が盛んな地域です。
九之池さん、人気者になれるかもしれませんよ。
あくまでも噂ですが、近年、九之池さんと
似たような風貌の方が召喚されたとか。
黒髪で黒い目という珍しい組み合わせなので、
噂になっていました」
とルージェナが説明した。

「どうして、黒髪で黒い目が珍しいの?」
不思議に思い九之池は尋ねた。

「人に内包される魔素が髪や瞳に現れます。
特に髪は顕著に現れます。
生まれ持ったものですから、
これは変えることができません。
瞳は余程のことがない限り、青や緑が
基調とされています。
これは水や緑が人にとって、
貴重なものであるからと言われています。
髪は内包される魔素の濃さが顕著に現れます。
私の場合、炎の魔素が強いので、
髪がこのような色なのです」
一息つき、更にルージェナは説明を続ける。

「瞳と髪が同色の場合、非常に強い力を
秘めていると思っていいでしょう。
そして、黒は闇を連想させるので、
不吉の象徴たる魔素が強いと思われています。
というより、黒髪や黒い瞳の人を
見たことがありません。
闇を内に込めて生まれてくるとか
聞いたことないですから」
と言って、九之池の反応を伺った。

「といことは、僕はこの世界で不吉の象徴!
ダークヒーローってことかな?」
異世界のレアキャラのようで、
少しわくわくする九之池であった。

「いえ、召喚者として、最近、非常に
有能な人物の可能性が高いと目されるように
なっていますよ。数十年前に召喚された老公、
そして、近年、獣を討伐した英雄。
二人とも黒髪に黒い瞳であったと。
九之池さんも同じだから、他国の高官の方々に
初見で見くびられることはないかと思います」
と続けた。

 九之池は、噂の両人について、
余計なことを心の中で罵った。
与り知らぬところで、たかが髪と目の色が同じだけで、
自分への期待度が高くなり、超えるべき
ハードルが上がっていることに憤りを感じた。

「まー二人とも日本人ってことはないだろうなあ。
アジア系かな。変なことを言わなければ、いいけど。
会うのが憂鬱になってきたな」
と独り言をつぶやいていた。

馬車はそんな九之池の気持ちを知ってか知らずか、
軽快に走っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...