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森の獣 2章 召喚されたけど、獣が討伐されていたので、やることないから、気ままに異世界を楽しんでみる

まったり生活

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バルザース帝国の国境線に最も近い検問所のため、
規模はそれなりに大きく、周りには一通りの店が
揃っており、そこそこに町は賑わっていた。

薬師の話では、ルージェナの受けた麻痺毒は、
薬師の煎じた薬湯を飲めば、明日にも
回復するとのことであった。
槍の傷は化膿止めの薬を毎日、塗り、清
潔に保てば、治るとのことであった。

「九之池さん、あなたが今後のルージェナの
介護をしてください。エドゥアールは、
馭者の方をいままで通りお願いします」
とヘーグマンは、言った。
九之池は、頷いて、何かを言おうとしたが、
エドゥアールに遮られた。

「九之池、おまえのせいで、
ルージェナは傷ついたんだ。
四五の言う前にやるべきことをやれ。
薬師の説明は聞いただろう。ったく」
と吐き捨てるように言った。

「明日には、バルザース帝国の帝都に
向かって出発するので、そちらの準備も
忘れずにお願います」
とヘーグマンは、付け加えた。

九之池は、この旅に出る前に
魔獣討伐や素材売却でそこそこに稼いでいた。
そして、この世界での売買も十分に経験したため、
ルージェナの好みそうな食材を探しに
市場に向かった。
九之池なりに何か話のネタに
なりそうな物を考えての行動だった。

市場で果物を物色していると、
林檎や梨のような果物もいくつか見つけたが、
ナイフで皮を剥くということが九之池には
難度が高く、躊躇してしまった。

「うーんうーん、カットフルーツが
見つからない。見切り品がない」
思い悩む九之池だった。

ふと、野菜を中心に売っている店に
目を向けると、黒玉と書かれた
大きなスイカらしきものが山のように積まれていた。
「すみません、これは、果物ですか?」
と尋ねると、
「こりゃ、瓜やど。確かに食事には
この黒い皮を炒めて食べるな。
中身は甘いから、おやつになるけど、
黒いから、あまりうけはよくないな」

「中身の赤いのや黄色のはないんですか?」

「なんや、黒玉やど、そんなんある訳ないだろう。
聞いたこともないわ」
と店のおっちゃんは言った。

「これ、冷やしたのを頂けませんか?
それと、塩を少し売ってください」
と九之池は、黒玉西瓜と
同じようなものだろうと判断して、購入を決めた。

「???冷やすって、これをか!
そんなことする訳ないやろ。
どうしてもって言うんなら、
近くの川で冷やしたらどうや?」
と話してくれた。

「ありがとうございます、
では、一玉とお塩を頂きます」
と言って、九之池は代金を払った。

近くの川は川底が見えるくらいに
透明度が高く、ひんやりとしていた。
九之池は何とか、黒玉が流されないように
石で堤防を作り、半刻ほど、川に黒玉を浸した。

何年振りだろうか、まったりした気分で
自然に触れるのは、、、子供の頃は、自然と
過ごすのが当たり前だったのにいつの頃か、
自然との接点はなくなっていた。

「ふぁああー眠い」
と言って、満足そうにあくびをする九之池。
半刻のつもりが一刻も過ごしてしまった。
急いで九之池は検問所に戻った。
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