起きるとそこは、森の中。可愛いトラさんが涎を垂らして、こっちをチラ見!もふもふ生活開始の気配(原題.真説・森の獣

ゆうた

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森の獣 2章 召喚されたけど、獣が討伐されていたので、やることないから、気ままに異世界を楽しんでみる

お調子者

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 翌朝、九之池は、村長と事の次第を話した。

「子供ですか、そのくらいなら、
私たちでも何とかなりそうですかな。
依頼は完了ということでお願います」
と村長は言った。

「子供とはいえ、魔獣ですから、
あまり欲をかかずしたほうがいいでしょう。
奴らの牙や爪で引き裂かれるのは
苦しいでしょうね」
とエドゥアールが言った。

村長は強張った顔で、なんとか微笑みながら、
報酬を渡し、改めて依頼の完了を伝えた。

「さてと、帰ろう。公都に戻って、
剥ぎ取った物を売りましょう、
ささっエドゥアールさん、
早く馬車を出してください」
九之池はゲームや小説に近し状況のためか、
元気よく言った。

「馬鹿が!素材としては子供の方が価値は高いんだぞ。
まあ、いいか、早く戻れるし」
とぶつぶつと独り言をエドゥアールは言った。

冒険者ギルドで依頼の完了を伝えるとともに
魔獣の素材を買い取ってもらった。

それから九之池は、ルージェナとエドゥアールと
何度か魔獣の討伐の依頼をこなしながら、
野営や旅路に慣れていった。

 九之池はルージェナの一族の件が
気になっていたが、毎日のように
依頼をこなしているために思い悩むことが少なった。
そんな生活を続けて、40日ほどが過ぎていた。
九之池はこの世界で生活をしていくことに
少し自信が持てたような気がした。
そんなとき、シリア卿が面談を希望してきた。

執務室で、久々にシリア卿に九之池は会った。
「おひさしぶりです、シリア卿」

「これは、なかなか。まあ、市中の噂になっていますよ。
討伐の依頼があれば、すぐに向かう
高名な冒険者が現れたと」
シリア卿は、体型自体は変わらないが、
精悍そうな顔つき、がっちりした体格の九之池に
少し驚いていた。

「ん?どうしましたか?」
と不思議そうに尋ねる九之池。

「いえいえ、まあ、かなりこちらの生活にも
慣れたようでなにより。そこでです。
そろそろ、キリア王朝を訪問してみてはどうでしょうか?」
とシリア卿は提案してきた。

「うーん、公国の街を巡って、特殊な素材を
集めたいのですが、無理でしょうか」
と九之池は主張してみた。
ゲームはやりこみ派であった九之池は、
この国の魔獣や魔物の素材をコンプリートしたい野望が
芽生えていた。

「いえ、だめです。キリアに行って、
なんらかの成果を持ち帰ってきてください。
あなたのわがままは、それからです」
とにべもない返事を返された。

「ふーん、そうなんだ。まっいいけどね。
道中でも珍しい素材は集められそうだしね」
と討伐の回数をこなして自信がついたのか、
少しぞんざいな口ぶりで九之池は言った。

「おい、あんまり調子にのるなよ」
とシリア卿が言って、なにやら真剣につぶやきだした。

なにこの人、ぶつぶつ、つぶやいてると
九之池は、突然の行動を気味悪がったが、
その直後、「ぎゃぁぁぁあっつ」と悲鳴をあげた。

「おい、人や魔獣を殺したくらいで、
調子に乗るなよ。くだらないことを考えないで、
さっさと大公に会って、キリアに行ってこい。
そして、お前が生み出せないような技術を盗んで来い。
その痛みを忘れるなよ、逆らうなら、
死ぬまでその苦痛をくれてやるよ」
貴族とは思えぬその言葉使いと身体中を
巡る苦痛に九ノ池は苦しみ、恐怖した。

「すみません、大公にすぐ、向かうことを伝えますので、
取り計らってもらえないですか?よろしくお願いします」
と九之池は懇願した。
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