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森の獣 2章 召喚されたけど、獣が討伐されていたので、やることないから、気ままに異世界を楽しんでみる
初仕事
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二人は、冒険者ギルドに戻ると、
近場の魔獣駆除の斡旋を受けた。
「ここから、半日くらいのところですよ。
うまくいけば、二日を目途に準備して
向かいましょう」
と説明するルージェナに九之池は頷くだけだった。
「九之池さん、最悪、私の魔術で
このくらいはどうにかなりますから、
気軽に構えてください。
まずは、野営に慣れましょう」
とルージェナは九之池を気遣った。
旅路と討伐に必要な物はほぼ揃い、
明日に備えるため、シリア邸に戻った。
シリア卿が不在だったために
エドゥアールにこの件を伝えると、
特に皮肉もなく、承りましたと言った。
九之池は就寝につくが、
なかなか寝付けなかった。
ルージェナの親族を殺し、そのことを
秘密にしていることが心苦しかった。
そして、そのことを話すことで、
今の距離感を壊すことが恐ろしかった。
良案が浮かばず、九之池は、結局、黙っていることにした。
あまりよく寝付けず、九之池は、朝を迎えた。
寝不足が、若干の旅路への不安を感じさせるが、
柔弱なことばかり言っていられないと思い、
討伐に向かうことにした。
「ルーたん、おはよう、調子どう?」
「おはようございます。
ばっちりですが、九之池さんは、大丈夫ですか?」
「うーん、ちょっと眠いかも」
と苦笑した。
「それは、困ります。足を引っ張らないように」
と突然、武装したエドゥアールが
ぶすっとした声で言った。
「シリア卿の指示により、あなた方と行動を共にする。
馬車が用意されているから、さっさと準備しなさい、
目的地に向かいます」
「ちょっと、待ってください。
報酬が1/3になるのは困ります。
馬車だけお貸しして貰えませんか?」
と九之池が慌てて尋ねた。
「はあ?報酬、そんなのおまえと
そこの罪人で分ければ、よかろうよう。
私は単なるお目付け役だ」
「付いて来たければ、まず、ルーたんの
ことを罪人呼ばわりすることを止めてね。
ルーたん、彼女を連れていきますか?」
と九之池が尋ねた。
「私は、いいですよ。エドゥアールさんがいないと、
馬車も借りられないですし、馬車の馭者も
やってくれそうで、助かりますよ」
とにこやかにルージェナが言った。
「おおっ、それは助かりますね。
僕は馬車なんて扱えないですし、
じゃっ、行こうか」
納得顔の九之池だった。
「おい、なんで私が馭者を!待てって!」
と叫ぶ、エドゥアールを置いて、
九之池とルージェナが話しながら、
馬車の方に歩いて行った。
「なんで私が、、、」
とぶつぶつと不満を言いながら、
馬車を操るエドゥアール。
後方で、九之池が
「馬車って意外と揺れないね」
とルージェナに話かけた。
「これは、車輪の付近に老公と
呼ばれた召喚者の発明が施されていますよ。
多分、純正そのものでなく、似せたものに
魔術の付与をしたもの思います」
「ふん、そのとおりだよ。純正品を
他国の商人や使節団が来た時に見せてもらい、
シリア様の一門が開発したんだよ」
とエドゥアールが誇らしげに説明を追加した。
「そろそろ、到着しますね。
まずは、村長さんに詳細を聞きます」
とエドゥアールの説明をスルーして、
ルージェナが話題を変えた。
「馬車で2時間ほどのところなのに
なんで中央から、何かしらの騎士とか兵を
派遣しないのかな」
と不思議そうに九之池が話した。
「たぶん、さほどのことはない内容だからでしょうね。
本来なら、村の狩人がさっさと処置すんでしょうけど。
まあ、魔獣2,3匹でわざわざ、派遣していたら、
いくら兵がいても足りません。
それにまだ、あまり実害もありませんし。
巡検隊でも立ち寄っていたら、別でしょうけど」
「ふーん、そう言うもんなんだ」
なんとなく、実害なくは動かぬ精神は、
前の世界のお役人と同じなんだなぁと
思う九之池だった。
近場の魔獣駆除の斡旋を受けた。
「ここから、半日くらいのところですよ。
うまくいけば、二日を目途に準備して
向かいましょう」
と説明するルージェナに九之池は頷くだけだった。
「九之池さん、最悪、私の魔術で
このくらいはどうにかなりますから、
気軽に構えてください。
まずは、野営に慣れましょう」
とルージェナは九之池を気遣った。
旅路と討伐に必要な物はほぼ揃い、
明日に備えるため、シリア邸に戻った。
シリア卿が不在だったために
エドゥアールにこの件を伝えると、
特に皮肉もなく、承りましたと言った。
九之池は就寝につくが、
なかなか寝付けなかった。
ルージェナの親族を殺し、そのことを
秘密にしていることが心苦しかった。
そして、そのことを話すことで、
今の距離感を壊すことが恐ろしかった。
良案が浮かばず、九之池は、結局、黙っていることにした。
あまりよく寝付けず、九之池は、朝を迎えた。
寝不足が、若干の旅路への不安を感じさせるが、
柔弱なことばかり言っていられないと思い、
討伐に向かうことにした。
「ルーたん、おはよう、調子どう?」
「おはようございます。
ばっちりですが、九之池さんは、大丈夫ですか?」
「うーん、ちょっと眠いかも」
と苦笑した。
「それは、困ります。足を引っ張らないように」
と突然、武装したエドゥアールが
ぶすっとした声で言った。
「シリア卿の指示により、あなた方と行動を共にする。
馬車が用意されているから、さっさと準備しなさい、
目的地に向かいます」
「ちょっと、待ってください。
報酬が1/3になるのは困ります。
馬車だけお貸しして貰えませんか?」
と九之池が慌てて尋ねた。
「はあ?報酬、そんなのおまえと
そこの罪人で分ければ、よかろうよう。
私は単なるお目付け役だ」
「付いて来たければ、まず、ルーたんの
ことを罪人呼ばわりすることを止めてね。
ルーたん、彼女を連れていきますか?」
と九之池が尋ねた。
「私は、いいですよ。エドゥアールさんがいないと、
馬車も借りられないですし、馬車の馭者も
やってくれそうで、助かりますよ」
とにこやかにルージェナが言った。
「おおっ、それは助かりますね。
僕は馬車なんて扱えないですし、
じゃっ、行こうか」
納得顔の九之池だった。
「おい、なんで私が馭者を!待てって!」
と叫ぶ、エドゥアールを置いて、
九之池とルージェナが話しながら、
馬車の方に歩いて行った。
「なんで私が、、、」
とぶつぶつと不満を言いながら、
馬車を操るエドゥアール。
後方で、九之池が
「馬車って意外と揺れないね」
とルージェナに話かけた。
「これは、車輪の付近に老公と
呼ばれた召喚者の発明が施されていますよ。
多分、純正そのものでなく、似せたものに
魔術の付与をしたもの思います」
「ふん、そのとおりだよ。純正品を
他国の商人や使節団が来た時に見せてもらい、
シリア様の一門が開発したんだよ」
とエドゥアールが誇らしげに説明を追加した。
「そろそろ、到着しますね。
まずは、村長さんに詳細を聞きます」
とエドゥアールの説明をスルーして、
ルージェナが話題を変えた。
「馬車で2時間ほどのところなのに
なんで中央から、何かしらの騎士とか兵を
派遣しないのかな」
と不思議そうに九之池が話した。
「たぶん、さほどのことはない内容だからでしょうね。
本来なら、村の狩人がさっさと処置すんでしょうけど。
まあ、魔獣2,3匹でわざわざ、派遣していたら、
いくら兵がいても足りません。
それにまだ、あまり実害もありませんし。
巡検隊でも立ち寄っていたら、別でしょうけど」
「ふーん、そう言うもんなんだ」
なんとなく、実害なくは動かぬ精神は、
前の世界のお役人と同じなんだなぁと
思う九之池だった。
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