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森の獣 1章 稲生編
獣討伐2
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「うがっぐぎぃ、、ぐうう」
獣に喰らいつかれたドルグが呻き声を発し、
身体の節々が急速に膨れ上がっていく。
「ぐがぁぁぁー今こそ仲間の無念を!
ぐぎぃ、、召喚者様、、、、稲生様に
ご多幸をお祈りいたします」
そう叫ぶと、口から涎を垂れ流しはじめ、
獣の首へ両腕を回し、締め付け始めた。
目の焦点は、どこにもあっておらず、
狂った戦士さながらであった。
獣は、狂戦士を振り払うことができず、
更に紫色の蛇のようなものが二者に巻き付いた。
ドルグが作った隙にエイヤが獣の腹部へ
先ほどの何倍もの手数で切り刻む。腹部より血が
噴き出すが、獣は、ドルグごとエイヤに
体当たりをし、エイヤを吹き飛ばした。
獣は前脚で強引にドルグを引き千切ると、
ふらつきながら、稲生に向かってきた。
稲生は手持ち投擲武具が尽きる勢いで獣に投げつけるが、
効果はほとんどなかった。
稲生は今日、初めて、1人で獣と対峙した。
右手には獣の目を傷つけたカッターナイフ、
左手には、投擲武具を持ち、獣を見据えた。
歴戦の戦士ですら、避けられぬ獣の一撃を
稲生は避ける自信が全くなかった。
出来ることは、獣の注意を引くことだけであった。
獣はふらつきながら、雄叫びを発し、
両前脚を高く上げ、眼前の餌に喰らい付こうとした。
「稲生、衝撃に耐えろよ」
ドワーフの絶叫と共に獣の背中から
ぼこりと異様な音がして、獣は地面に這いつくばった。
大地は大地震が発生したかのように一瞬、震えた。
そして、ノルドの大槌は粉々に砕け散った。
ドワーフは、先ほどのように無様に転がらず、
一撃を屠ったあと、しっかりと大地を踏みしめていた。
ただし、右眼に獣の尾が深々と突き刺さっていたが。
獣は尾を抜き去り、逃げ出そうとするも
身体が思うように動かず、その場をのたうち回っていた。
「ワイルド、奴を両断しろー。回復しているぞ」
エイヤが絶叫した。
ワイルドの渾身の一撃は、獣を両断し、
大地を深々と割った。
そして、エイヤが獣を正面から頭部を無数に切り刻んだ。
獣は、ぴくぴくしながら、回復していた。
リンとメリアムが同時に詠唱を始め、
彼女たちの周りに描かれた魔法陣が
紫色に彩られると、紫炎が獣を包み込み、
その炎が焼き尽くした部分は、存在そのものが
消え失せていった。
徐々に獣の肉体が消失していき、
最後には完全に消え失せていった。
メープルは、ドワーフが傷ついた直後、
全速で近づき、傷の回復ため、祈りを捧げていた。
「うがっ、こんな時は、ドワーフの頑健さが
憎らしいものよ。司祭殿もうよい、助からぬわ」
メープルはその言葉が聞こえていないのか
一心不乱に祈りを捧げていた。
獣が消え去ると、稲生、リン、メリアムが
ドワーフを囲んだ。エイヤとワイルドは、
後方でいまだ戦っている兵士の指揮と救援に向かった。
獣が消え去ろうともしかるべき立場の者には、
すべきことがあったためだった。
「メリアム、わしはやったぞ!
老公の仇を討ったぞ。奴らのことは任せたぞ。
稲生、リン、工房はくれてやる、自由に使え」
震えながら、そう伝えた。
「ノル爺、やだよぅやだよぅ」
同じことを繰り返して、むせび泣くリン。
「ふん、裏切り者たちの末路は任せておけ。
安心して逝け」
そう言うと、メリアムは、ノルドへ
軽く唇を合わせて、涙を流した。
「ノルドさん、ありがとうございました」
ノルドの目を離さず、稲生は心の底から伝えた。
ノルドの焦点がぼやけてきて、
「ああっ、また、あの頃のようにみなと
面白きものを作り、、、」
最後まで、言い切れずに息を引き取った。
メリアムはノルドの瞳を閉じると、立ち上がり、
「メープル司祭、ありがとう。あなたのおかげで、
ノルドを看取れました。だが。もうよいのです。
ノルドは亡くなりました」
と伝え、祈り続けるメープルの手を取った。
獣に喰らいつかれたドルグが呻き声を発し、
身体の節々が急速に膨れ上がっていく。
「ぐがぁぁぁー今こそ仲間の無念を!
ぐぎぃ、、召喚者様、、、、稲生様に
ご多幸をお祈りいたします」
そう叫ぶと、口から涎を垂れ流しはじめ、
獣の首へ両腕を回し、締め付け始めた。
目の焦点は、どこにもあっておらず、
狂った戦士さながらであった。
獣は、狂戦士を振り払うことができず、
更に紫色の蛇のようなものが二者に巻き付いた。
ドルグが作った隙にエイヤが獣の腹部へ
先ほどの何倍もの手数で切り刻む。腹部より血が
噴き出すが、獣は、ドルグごとエイヤに
体当たりをし、エイヤを吹き飛ばした。
獣は前脚で強引にドルグを引き千切ると、
ふらつきながら、稲生に向かってきた。
稲生は手持ち投擲武具が尽きる勢いで獣に投げつけるが、
効果はほとんどなかった。
稲生は今日、初めて、1人で獣と対峙した。
右手には獣の目を傷つけたカッターナイフ、
左手には、投擲武具を持ち、獣を見据えた。
歴戦の戦士ですら、避けられぬ獣の一撃を
稲生は避ける自信が全くなかった。
出来ることは、獣の注意を引くことだけであった。
獣はふらつきながら、雄叫びを発し、
両前脚を高く上げ、眼前の餌に喰らい付こうとした。
「稲生、衝撃に耐えろよ」
ドワーフの絶叫と共に獣の背中から
ぼこりと異様な音がして、獣は地面に這いつくばった。
大地は大地震が発生したかのように一瞬、震えた。
そして、ノルドの大槌は粉々に砕け散った。
ドワーフは、先ほどのように無様に転がらず、
一撃を屠ったあと、しっかりと大地を踏みしめていた。
ただし、右眼に獣の尾が深々と突き刺さっていたが。
獣は尾を抜き去り、逃げ出そうとするも
身体が思うように動かず、その場をのたうち回っていた。
「ワイルド、奴を両断しろー。回復しているぞ」
エイヤが絶叫した。
ワイルドの渾身の一撃は、獣を両断し、
大地を深々と割った。
そして、エイヤが獣を正面から頭部を無数に切り刻んだ。
獣は、ぴくぴくしながら、回復していた。
リンとメリアムが同時に詠唱を始め、
彼女たちの周りに描かれた魔法陣が
紫色に彩られると、紫炎が獣を包み込み、
その炎が焼き尽くした部分は、存在そのものが
消え失せていった。
徐々に獣の肉体が消失していき、
最後には完全に消え失せていった。
メープルは、ドワーフが傷ついた直後、
全速で近づき、傷の回復ため、祈りを捧げていた。
「うがっ、こんな時は、ドワーフの頑健さが
憎らしいものよ。司祭殿もうよい、助からぬわ」
メープルはその言葉が聞こえていないのか
一心不乱に祈りを捧げていた。
獣が消え去ると、稲生、リン、メリアムが
ドワーフを囲んだ。エイヤとワイルドは、
後方でいまだ戦っている兵士の指揮と救援に向かった。
獣が消え去ろうともしかるべき立場の者には、
すべきことがあったためだった。
「メリアム、わしはやったぞ!
老公の仇を討ったぞ。奴らのことは任せたぞ。
稲生、リン、工房はくれてやる、自由に使え」
震えながら、そう伝えた。
「ノル爺、やだよぅやだよぅ」
同じことを繰り返して、むせび泣くリン。
「ふん、裏切り者たちの末路は任せておけ。
安心して逝け」
そう言うと、メリアムは、ノルドへ
軽く唇を合わせて、涙を流した。
「ノルドさん、ありがとうございました」
ノルドの目を離さず、稲生は心の底から伝えた。
ノルドの焦点がぼやけてきて、
「ああっ、また、あの頃のようにみなと
面白きものを作り、、、」
最後まで、言い切れずに息を引き取った。
メリアムはノルドの瞳を閉じると、立ち上がり、
「メープル司祭、ありがとう。あなたのおかげで、
ノルドを看取れました。だが。もうよいのです。
ノルドは亡くなりました」
と伝え、祈り続けるメープルの手を取った。
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