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森の獣 1章 稲生編
獣討伐1
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「眼光に力がある。あまり、香薬の効果は
期待できそうにないな」
エイヤが呟くと、ワイルドが頷く。
「稲生、後方へ下がってろ。
こいつをおびき出し時点で、お前の仕事は終わりだ。
あとは、俺たちがやる」
ワイルドが稲生に向かって、声をかけた。
稲生も邪魔になることがわかっているため、
ドルグに守られて、ゆっくりと後方へ下がる。
獣は稲生を狙い、前進するもワイルドに阻まれていた。
大斧と前脚の爪がぶつかり合い、押し合いとなっていた。
剣より、軽め、短めのその剣が残像を残しているのか、
数えきれないほどの手数がエイヤによって、放たれていた。
切り刻まれる獣は、意にも介さず、ワイルドとの
押し合いを制しようとしていた。
身体強化された稲生が後方より、
獣に向かって投擲をした。直線的な軌跡を描き、
獣に当たったが、軽い傷をつけて、弾かれた。
獣は一度、後方へ大きく飛び下がり、
将軍たちをひと睨みすると、
全速力で彼らを避け、稲生に肉薄した。
稲生は、2投、3投し、命中させるも
その勢いを削ぐことができなかった。
ドルグの大楯がかろうじて、獣の勢いを一瞬、
止めるが、弾き飛ばされ、稲生は獣と対峙した。
リンの魔術か、紫色の蛇のようなものが、
獣の胴回りに纏わりつき、メリアムの風の精霊が
四肢の周りを浮遊している。
獣が雄叫びをあげると、それらが全て、
一瞬にて消え去り、獣は、自由を回復した。
稲生は、その場を動けず、次の瞬間の攻撃に備えた。
相対して、わずか、3秒間であろう。
その瞬間にノルドが無言で大きく大槌を振りかぶり、
獣に接近して、振り下ろした。
獣は躱しきれず、大槌の一撃を喰らった。
獣の外皮をもってしても緩衝しきれなかったのだろうか。
「グルルルルゥ」呻き声をあげて、右の方へ獣は、よろけた。
あまりの勢いにノルドは、そのまま、後方へ転がっていった。
そして、その獣へ風の戦乙女が切り刻んでいる。
稲生は、この距離で両腕に持つ投擲武具を
同時に全力をもって、獣の鼻へ向けて投げつけた。
獣は、鼻先を傷付けられると、突然、目を充血させて、
凄まじい悲鳴を上げ、転げまわった。
更にそこへ毒々しい液体の入った袋を投げつけた。
液体は、獣の顔へ飛散し、香辛料抽出物の凝縮された
刺激が獣を苦しめた。
そこにワイルドの強烈な一撃が加えられた。
辛うじて、獣は避けたが、右前脚が切断された。
3本の脚で何とかその場から、離れ、獣の目は、
稲生を見据え、残った前脚で鼻をえぐり削いだ。
稲生は、策がはまったことを確信は出来たが、
獣を見ると、脅威に晒されているように感じた。
「あっありえない、脚がと鼻が急速に回復している」
5秒程度であろうか、新しい脚と鼻が生え、
再度、稲生に向かってくる獣。
あまりの光景に声を失い、動けなくなる稲生。
その間にワイルドが割って入り、獣を抑えようとするが、
右爪の一撃を受け、突き飛ばされた。
鎧は、ひしゃげて、吹き飛ばされていた。
また、1人、稲生と獣の間に割って入った。
ドルグが棍棒で攻撃を加えると、棍棒をかみ砕き、
そのまま、右肩へ喰らいついた。
ドルグは、左腕に持つ大楯を大地に落とした。
「司祭、約束の時です。呪いの言葉を!」
ドルグが引き絞るように叫ぶと、
メープルの歌うような祈りの詠唱が止み、
暗く闇へ引き込まれるような呪いの言葉が
ドルグに向かって、紡がれた。
期待できそうにないな」
エイヤが呟くと、ワイルドが頷く。
「稲生、後方へ下がってろ。
こいつをおびき出し時点で、お前の仕事は終わりだ。
あとは、俺たちがやる」
ワイルドが稲生に向かって、声をかけた。
稲生も邪魔になることがわかっているため、
ドルグに守られて、ゆっくりと後方へ下がる。
獣は稲生を狙い、前進するもワイルドに阻まれていた。
大斧と前脚の爪がぶつかり合い、押し合いとなっていた。
剣より、軽め、短めのその剣が残像を残しているのか、
数えきれないほどの手数がエイヤによって、放たれていた。
切り刻まれる獣は、意にも介さず、ワイルドとの
押し合いを制しようとしていた。
身体強化された稲生が後方より、
獣に向かって投擲をした。直線的な軌跡を描き、
獣に当たったが、軽い傷をつけて、弾かれた。
獣は一度、後方へ大きく飛び下がり、
将軍たちをひと睨みすると、
全速力で彼らを避け、稲生に肉薄した。
稲生は、2投、3投し、命中させるも
その勢いを削ぐことができなかった。
ドルグの大楯がかろうじて、獣の勢いを一瞬、
止めるが、弾き飛ばされ、稲生は獣と対峙した。
リンの魔術か、紫色の蛇のようなものが、
獣の胴回りに纏わりつき、メリアムの風の精霊が
四肢の周りを浮遊している。
獣が雄叫びをあげると、それらが全て、
一瞬にて消え去り、獣は、自由を回復した。
稲生は、その場を動けず、次の瞬間の攻撃に備えた。
相対して、わずか、3秒間であろう。
その瞬間にノルドが無言で大きく大槌を振りかぶり、
獣に接近して、振り下ろした。
獣は躱しきれず、大槌の一撃を喰らった。
獣の外皮をもってしても緩衝しきれなかったのだろうか。
「グルルルルゥ」呻き声をあげて、右の方へ獣は、よろけた。
あまりの勢いにノルドは、そのまま、後方へ転がっていった。
そして、その獣へ風の戦乙女が切り刻んでいる。
稲生は、この距離で両腕に持つ投擲武具を
同時に全力をもって、獣の鼻へ向けて投げつけた。
獣は、鼻先を傷付けられると、突然、目を充血させて、
凄まじい悲鳴を上げ、転げまわった。
更にそこへ毒々しい液体の入った袋を投げつけた。
液体は、獣の顔へ飛散し、香辛料抽出物の凝縮された
刺激が獣を苦しめた。
そこにワイルドの強烈な一撃が加えられた。
辛うじて、獣は避けたが、右前脚が切断された。
3本の脚で何とかその場から、離れ、獣の目は、
稲生を見据え、残った前脚で鼻をえぐり削いだ。
稲生は、策がはまったことを確信は出来たが、
獣を見ると、脅威に晒されているように感じた。
「あっありえない、脚がと鼻が急速に回復している」
5秒程度であろうか、新しい脚と鼻が生え、
再度、稲生に向かってくる獣。
あまりの光景に声を失い、動けなくなる稲生。
その間にワイルドが割って入り、獣を抑えようとするが、
右爪の一撃を受け、突き飛ばされた。
鎧は、ひしゃげて、吹き飛ばされていた。
また、1人、稲生と獣の間に割って入った。
ドルグが棍棒で攻撃を加えると、棍棒をかみ砕き、
そのまま、右肩へ喰らいついた。
ドルグは、左腕に持つ大楯を大地に落とした。
「司祭、約束の時です。呪いの言葉を!」
ドルグが引き絞るように叫ぶと、
メープルの歌うような祈りの詠唱が止み、
暗く闇へ引き込まれるような呪いの言葉が
ドルグに向かって、紡がれた。
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