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森の獣 1章 稲生編
稲生、大人になる(この世界で)
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「ノーブルさん、明日はよろしくお願いします」
と稲生はノーブルに伝えると、
「危険を感知しましたら、荷物を置いて逃げますから。
その点はご了解を」
と笑って返すノーブル。
稲生はあすからの行軍に関する説明と
他のメンバーに関して説明を行った。
「ノーブルさんは、この仕事が一段落したら、
別の町に向かうのですか?」
ふとノーブルに尋ねた。
「そうですね。今回の儲けでここの特産品を
購入して、ハルバーンを超えた先の都市に向かいたいと
考えています。もしくは割の良い仕事が
見つかりましたら、蓄財のため、受けます」
ノーブルはそのように話し、
稲生に討伐後のことを尋ねた。
「私ですか。生き延びてから、考えますかね。
ただ、故郷というか、どうしようもなく
元の世界のことが忘れなくて。
戻る方法を探すかもしれません」
ノーブルが意外なこと言う。
「稲生様は、てっきり、リン様と
良い雰囲気なっているかと思っていましたが。
町の噂では、将軍様を前に愛していると
告白をしたとかなんとか」
「いえ、あれは成り行きです。
そのことには触れないでください」
稲生は、裏返る声を何とか抑えつつ、
努めて冷静に答えた。
「稲生様とリン様、お似合いなんですけどね。
ところで、稲生様、今、獣の件で
巷に面白い噂が溢れていますね。
あの獣が魔術的に生まれたとか。
誰かが飼育していて、人を襲うように調教したとか。
今回も討伐が失敗に終わるだろうとか。
他国の陰謀だとか。色々あります」
稲生は、ノーブルの話を聞いて、
討伐隊が組織され、強力な布陣で臨むため、
人々の興味をひき、ちょっとした噂話から、
話に尾ひれがついたのだろうと感じた。
「みなさんの期待を裏切らぬように
討伐を成功させましょうか」
「是非、お願いします。その雄姿を皆様に
詩歌として、私が伝えますので。
では、稲生様、明日の準備がありますので、
今日はこれで」
ノーブルは、そう伝えると、
一枚のメモを渡して、去った。
稲生は、メモをふむふむと読み、
資金を確認し、にんまりして、
メモに書かれた場所に向かった。
遊郭、妓楼と呼べるほどのしっかりとした造りの
建物ではないが、その建物が醸し出すいかがわしい
雰囲気が男の欲望を満たす場所であることを
稲生に示していた。
稲生は、建物の側に立つ粗暴そうな男に
話しかけた。前世界では、こういったお店に
何度もお世話になったことのある稲生だが、
この世界では初めてであった。
そのため、ちょっと緊張していた。
「空いているか?できれば、20歳くらいで
黒髪の綺麗目の上品そうなのが希望だ。相場より出す」
粗暴そうな男は、
「ふん、黒髪なんて、1人しかいないだろ。誰の紹介だ?」
「ええ、ノーブルさんの紹介です。
この地方では、黒髪は珍しいそうで。
私も黒髪なので、興味を持ちましてね。
銀貨30枚でどうでしょうか?」
と言って、稲生は、33枚を男に渡した。
「ふん、30枚なら、3刻だな、随分と楽しみたいようだな。
妙なまねしたら、殺すぞ」
男は、懐に銀貨3枚をしまし、部屋を指示した。
稲生は、くすんだ不衛生な通路を
指示された部屋に向かって歩いた。
と稲生はノーブルに伝えると、
「危険を感知しましたら、荷物を置いて逃げますから。
その点はご了解を」
と笑って返すノーブル。
稲生はあすからの行軍に関する説明と
他のメンバーに関して説明を行った。
「ノーブルさんは、この仕事が一段落したら、
別の町に向かうのですか?」
ふとノーブルに尋ねた。
「そうですね。今回の儲けでここの特産品を
購入して、ハルバーンを超えた先の都市に向かいたいと
考えています。もしくは割の良い仕事が
見つかりましたら、蓄財のため、受けます」
ノーブルはそのように話し、
稲生に討伐後のことを尋ねた。
「私ですか。生き延びてから、考えますかね。
ただ、故郷というか、どうしようもなく
元の世界のことが忘れなくて。
戻る方法を探すかもしれません」
ノーブルが意外なこと言う。
「稲生様は、てっきり、リン様と
良い雰囲気なっているかと思っていましたが。
町の噂では、将軍様を前に愛していると
告白をしたとかなんとか」
「いえ、あれは成り行きです。
そのことには触れないでください」
稲生は、裏返る声を何とか抑えつつ、
努めて冷静に答えた。
「稲生様とリン様、お似合いなんですけどね。
ところで、稲生様、今、獣の件で
巷に面白い噂が溢れていますね。
あの獣が魔術的に生まれたとか。
誰かが飼育していて、人を襲うように調教したとか。
今回も討伐が失敗に終わるだろうとか。
他国の陰謀だとか。色々あります」
稲生は、ノーブルの話を聞いて、
討伐隊が組織され、強力な布陣で臨むため、
人々の興味をひき、ちょっとした噂話から、
話に尾ひれがついたのだろうと感じた。
「みなさんの期待を裏切らぬように
討伐を成功させましょうか」
「是非、お願いします。その雄姿を皆様に
詩歌として、私が伝えますので。
では、稲生様、明日の準備がありますので、
今日はこれで」
ノーブルは、そう伝えると、
一枚のメモを渡して、去った。
稲生は、メモをふむふむと読み、
資金を確認し、にんまりして、
メモに書かれた場所に向かった。
遊郭、妓楼と呼べるほどのしっかりとした造りの
建物ではないが、その建物が醸し出すいかがわしい
雰囲気が男の欲望を満たす場所であることを
稲生に示していた。
稲生は、建物の側に立つ粗暴そうな男に
話しかけた。前世界では、こういったお店に
何度もお世話になったことのある稲生だが、
この世界では初めてであった。
そのため、ちょっと緊張していた。
「空いているか?できれば、20歳くらいで
黒髪の綺麗目の上品そうなのが希望だ。相場より出す」
粗暴そうな男は、
「ふん、黒髪なんて、1人しかいないだろ。誰の紹介だ?」
「ええ、ノーブルさんの紹介です。
この地方では、黒髪は珍しいそうで。
私も黒髪なので、興味を持ちましてね。
銀貨30枚でどうでしょうか?」
と言って、稲生は、33枚を男に渡した。
「ふん、30枚なら、3刻だな、随分と楽しみたいようだな。
妙なまねしたら、殺すぞ」
男は、懐に銀貨3枚をしまし、部屋を指示した。
稲生は、くすんだ不衛生な通路を
指示された部屋に向かって歩いた。
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