起きるとそこは、森の中。可愛いトラさんが涎を垂らして、こっちをチラ見!もふもふ生活開始の気配(原題.真説・森の獣

ゆうた

文字の大きさ
上 下
241 / 264
森の獣 1章 稲生編

決戦前の仲間集め

しおりを挟む
「稲生様、討伐に向かわれるのですね」
会議が終わり、メープルを見舞うと
念を押すように聞かれた。

「ええ、明後日には向かいます。
また、お会いできれば、討伐後ということになります」
稲生は、分っている限りで答えた。

メープルは瞳を閉じて、左腕を胸に当てて、尋ねた。
「召喚者、稲生様、どうか私があなたに
仕えることをお許しください。
そして、討伐に参加させて頂けるようお願い致します」

突然の告白に稲生はどう答えて良いのか分からず、
ひとまず、討伐を思い留まらせようとした。
「メープルさん、森の進軍にはまだ、
耐えられないですよ。
まだ、体力が回復することに努めて下さい。
今の状態では、逆に足手まといとみなされます」

「生き残った一人の神官戦士が私をサポートします。
さほど、奥地に進まずとも獣は現れますから、
進軍の足でまといになることはございません。
是非ともお許しを」

メープルからの強烈な意思を感じ、
あきらめさせるには、どうしたものかと思い、
一つの提案をした。

「明日の午前中に練兵場で試験します。
行軍が可能か、戦闘に耐えうるかを。
その結果次第でお答えいたします」

「わかりました。その時、全ての件に関して、
ご回答をいただきます」
微笑みながら、メープルは答えた。
稲生は、うーんうーんと頭を抱えながら、
部屋を後にし、ノーブル会うために正門へ向かった。

正門付近では、揉め事が起きているようだった。
「駄目です。二人の参戦は認めません。
メリアムさん、ノル爺、聞き分けてください」

「いや、なぜじゃ?戦力になるぞ」

「リン、ここの森を案内するのに
私は最適ですよ。理由を話しなさい」

面倒ごとに巻き込まれたくない稲生は
声の主たちに見つからぬように
別のルートから町に出ようとした。

目ざとく稲生を見つけたメリアムは、
「稲生、私を討伐に連れて行ってもらえませんか?」
とお願いした。
ノルドも「わしも連れて行け」と一言、続けた。

稲生は知らんふりをして、逃げ出そうとしたが、
リンに捕まった。
「稲生、何とか言ってくれ。私では無理だ」

先ほどに続き、またかと思い、
メープルと同じように試験で
諦めて貰うように誘導しようと考えた。

「明日の午前中に練兵場で試験します。
行軍が可能か、戦闘に耐えうるかを。
その結果次第でお答えいたします」

二人は、各々、「おう!」「了解しました」
と言って、戻っていた。

リンが心配そうな面持ちでこっちを眺めている。
稲生は一言、「大丈夫ですよ、最後に不合格と
伝えればいいのですから!」
と答えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

初体験が5歳という伝説の「女使い」冒険者の物語 〜 スキル「優しい心」は心の傷ついた女性を虜にしてしまう極悪のモテスキルだった

もぐすけ
ファンタジー
美女を見ると本能で助けてしまう男リンリンに「優しい心」Lv9999のスキルを与えて、異世界に転生させてしまった女神ラクタ。 彼女は責任を取って神界から毎日リンリンを監視するが、規定により監視できるのは1日5分間のみ。 スキル「優しい心」は凶悪で、優しさに飢えている女性は、最短1分でリンリンにメロメロになってしまう。 ラクタが監視で降りてくるたびに、リンリンは5歳で初体験を済ませていたり、毎日違う女の子と寝ていたり、やりたい放題。 もっと、世のため人のためにこのスキルを使ってほしい、と切に願う女神ラクタと本能に負けがちなリンリンの物語。

GLACIER(グレイシア)

弓チョコ
ファンタジー
世界地図がまだできていない時代。 危険な未開の地に踏み込み、古代文明の遺物を持って帰る「トレジャーハンター」全盛期の時代。 クリュー・スタルース。 彼の子供の頃に、広場の見世物としてやってきた「氷漬けの美女」。 1万年前に滅んだ古代文明当時の姿のまま凍ってしまった彼女に、彼は一目惚れをした。 その氷は今の科学では解かせないらしい。 10年後、成長したクリューは彼女の氷を解かし、プロポーズするために動き出す。 その旅は、やがて世界を巻き込む事件へ繋がり、古代文明の謎を解明する大冒険へ発展していく。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

最後に言い残した事は

白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
 どうして、こんな事になったんだろう……  断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。  本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。 「最後に、言い残した事はあるか?」  かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。 ※ファンタジーです。ややグロ表現注意。 ※「小説家になろう」にも掲載。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

処理中です...