237 / 267
森の獣 1章 稲生編
デート途中
しおりを挟む
「リン、もうすぐですが、大丈夫ですか?」
稲生がリンに声をかけた。
二人は門を出てから、しばらく街道を歩き、
小道に入っていった。
しばらく歩くと、川のせせらぎが聞こえてきた。
「せせらぎの音が気持ちいいな。
もう少し歩くのか?」
「ええ、もう少し歩きますと、川辺に出ます」
稲生は説明しながら、周囲を見渡した。
川辺が見えてきており、目的地についたようだ。
「ここです、気持ち良いでしょう」
その川は、川底が見えるくらい綺麗で、
触れるとひんやりとして、気持ちいい水が流れていた。
時節、魚が泳いでいるのが見えた。
腕を大きく後方に広げて、背筋を伸ばし、
リンは、一言。
「うーん、気持ちいいなー」
「森林浴と言って、森のマイナスイオンによって、
心身をリラックスさせる方法です」
稲生は、ここに来た目的と
その効用について、リンへ説明した。
「マイナスイオン?なんだそれは?
稲生のいた世界の言葉なのか?どんな意味?」
リンは初めて聞く言葉にリラックスした表情で尋ねた。
「すみません。森の清浄な空気を身体に取り入れ、
香気を浴びることで、心身をリラックスさせる方法です」
「まあ、でも場所を選びそうだな。
獣いる森だと、逆につかれそうだな。
ここは明るく、爽やかな感じがするよ。
森林浴とは稲生の世界の人々は、面白いことを
思い付くな」
にこやかに話すリン。
そして、稲生は、こういった場所について、
ドリアムが相談にのってくれたことを感謝した。
遠目から、彼ら二人を観察する邪悪なエルフがいた。
「くっくっくくっ、ここは、二人を後押しせねば」
何事か、唱えると風の精霊がふわりと二人の周りを舞った。
「えっ何、ちょっ、急に風が」
慌てて、スカートの裾を抑えるリン。
「ぐわっ」
稲生は、何故か強風に背中を煽られて、
リンへ思いっきりぶつかってしまった。
そして、リンを押し倒してしまい、
覆いかぶさるようになってしまった。
リンを抱きしめるような感じで地面に
押し倒してしまったためにお互いの耳元に吐息を感じ、
胸の鼓動が重なりあい、しばし、無言になった。
「すみません、リン。怪我はないでしょうか?」
稲生は、名残惜しい気もするが、先に立つと、
リンを助け起こした。
リンは心ここにあらずと言った感じで、
「ありがとう」と一言。
おおっ!予想以上の展開になったのう、大成功じゃ。
と遠くでニンマリするエルフ。
「稲生、楽しいひと時ではあるが、
魔術を行使して、痕跡を探します。
今の風は、明らかに不自然だ。
何かしらの監視か、それとも暗殺か」
リンは、真剣な面持ちで魔術を唱える。
「リン、何か見つかりましたか?」
と尋ねる稲生。
「いえ、何も見つかりません。
もしかして、精霊の加護かもしれません。
それだと、魔術の痕跡が残らないので」
リンは、うーんと考えて答えた。
稲生は大げさなと思い、
「リン、もし、監視ならあのようなことはしないかと。
暗殺にしても自ら、その存在を示すようなことは
しないと思います。多分、風のいたずらですよ」
「そっそうだな。そういうこともあるかもな。
稲生、次はどうするのだ?」
綺麗な女性がそう答えた。
そして、次はどうしてくれようかなと
邪悪なエルフが独り呟いた。
稲生がリンに声をかけた。
二人は門を出てから、しばらく街道を歩き、
小道に入っていった。
しばらく歩くと、川のせせらぎが聞こえてきた。
「せせらぎの音が気持ちいいな。
もう少し歩くのか?」
「ええ、もう少し歩きますと、川辺に出ます」
稲生は説明しながら、周囲を見渡した。
川辺が見えてきており、目的地についたようだ。
「ここです、気持ち良いでしょう」
その川は、川底が見えるくらい綺麗で、
触れるとひんやりとして、気持ちいい水が流れていた。
時節、魚が泳いでいるのが見えた。
腕を大きく後方に広げて、背筋を伸ばし、
リンは、一言。
「うーん、気持ちいいなー」
「森林浴と言って、森のマイナスイオンによって、
心身をリラックスさせる方法です」
稲生は、ここに来た目的と
その効用について、リンへ説明した。
「マイナスイオン?なんだそれは?
稲生のいた世界の言葉なのか?どんな意味?」
リンは初めて聞く言葉にリラックスした表情で尋ねた。
「すみません。森の清浄な空気を身体に取り入れ、
香気を浴びることで、心身をリラックスさせる方法です」
「まあ、でも場所を選びそうだな。
獣いる森だと、逆につかれそうだな。
ここは明るく、爽やかな感じがするよ。
森林浴とは稲生の世界の人々は、面白いことを
思い付くな」
にこやかに話すリン。
そして、稲生は、こういった場所について、
ドリアムが相談にのってくれたことを感謝した。
遠目から、彼ら二人を観察する邪悪なエルフがいた。
「くっくっくくっ、ここは、二人を後押しせねば」
何事か、唱えると風の精霊がふわりと二人の周りを舞った。
「えっ何、ちょっ、急に風が」
慌てて、スカートの裾を抑えるリン。
「ぐわっ」
稲生は、何故か強風に背中を煽られて、
リンへ思いっきりぶつかってしまった。
そして、リンを押し倒してしまい、
覆いかぶさるようになってしまった。
リンを抱きしめるような感じで地面に
押し倒してしまったためにお互いの耳元に吐息を感じ、
胸の鼓動が重なりあい、しばし、無言になった。
「すみません、リン。怪我はないでしょうか?」
稲生は、名残惜しい気もするが、先に立つと、
リンを助け起こした。
リンは心ここにあらずと言った感じで、
「ありがとう」と一言。
おおっ!予想以上の展開になったのう、大成功じゃ。
と遠くでニンマリするエルフ。
「稲生、楽しいひと時ではあるが、
魔術を行使して、痕跡を探します。
今の風は、明らかに不自然だ。
何かしらの監視か、それとも暗殺か」
リンは、真剣な面持ちで魔術を唱える。
「リン、何か見つかりましたか?」
と尋ねる稲生。
「いえ、何も見つかりません。
もしかして、精霊の加護かもしれません。
それだと、魔術の痕跡が残らないので」
リンは、うーんと考えて答えた。
稲生は大げさなと思い、
「リン、もし、監視ならあのようなことはしないかと。
暗殺にしても自ら、その存在を示すようなことは
しないと思います。多分、風のいたずらですよ」
「そっそうだな。そういうこともあるかもな。
稲生、次はどうするのだ?」
綺麗な女性がそう答えた。
そして、次はどうしてくれようかなと
邪悪なエルフが独り呟いた。
0
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します
あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。
異世界パルメディアは、大魔法文明時代。
だが、その時代は崩壊寸前だった。
なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。
マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。
追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。
ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。
世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。
無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。
化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。
そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。
当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。
ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

スローライフとは何なのか? のんびり建国記
久遠 れんり
ファンタジー
突然の異世界転移。
ちょっとした事故により、もう世界の命運は、一緒に来た勇者くんに任せることにして、いきなり告白された彼女と、日本へ帰る事を少し思いながら、どこでもキャンプのできる異世界で、のんびり暮らそうと密かに心に決める。
だけどまあ、そんな事は夢の夢。
現実は、そんな考えを許してくれなかった。
三日と置かず、騒動は降ってくる。
基本は、いちゃこらファンタジーの予定。
そんな感じで、進みます。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる