230 / 255
森の獣 1章 稲生編
血流増大
しおりを挟む
「なんとか助かった」
うまくリンを言いくるめて、
執務室から生還した稲生は、
ノルドの店に向かっていた。
「これはこれは、偶然でしょうか?
それとも運命でしょうか?
稲生様ではありませんか。
どちらにお出かけでしょうか?」
道中で巨乳神官が稲生に声をかけてきた。
稲生は、先ほどの忠告が頭をよぎるが、
視線の先には豊かな胸があった。
「改め、ご挨拶させていただきますわ。
アルカシオン教、司祭の任に
ありますメープルと言います。
召喚者様を等しく神に近し方々として
崇めております。召喚者さまがお望みなら、
我が身を捧げることも厭いません」
その言葉にごくりと唾を飲み込む稲生であった。
この言葉がハニートラップに違いないと思うも
抗しがたい魅力を如何ともできなかった。
メープルが豊かな胸を強く稲生の右腕に
絡めてくると、どうしようもないくらい、
身体中の血流が早くなり、全てがどうでも
よくなりつつあった。
メープルが身体を稲生に密着させて、
耳元でささやく。
「稲生様が望まれるなら、、、」
最早、稲生はうなずくしか選択肢が
思い浮かばなかった。
そして、逆の耳元に大音量の叱責が伝えられた。
「ばかもの、道中で、何をしておるのか!恥をしれっ!」
その言葉と同時に紺のローブが
ふわりと舞い上がり、稲生の左腿に
強烈な蹴りが炸裂した。
「きゅっうぅー」
稲生は謎の言葉を残して、
あまりの痛さに地面に膝をつく。
「はぁ、宿舎を出て、20mと
離れずにもうこれかぁ。
稲生、どういうことか教えて貰おうか?
ノル爺に用事があったのではないのか?」
鉄面皮リンが現れた。
「召喚者様、大丈夫でしょうか?」
とメープルが膝をつく稲生の顔を
胸に納めて、尋ねる。
そして、その稲生の首根っこを引っ張るリン。
「ふん、獣を討伐する前だというのに
男にちょっかいを出すとは、随分と余裕だな」
とリンがメープルを嘲る。
「召喚者様は、神に近し方々。
等しく尊敬に値する召喚者様なら、
なお更、お声をかけて当たり前でしょう」
メープルは臆面もなく答える。
「むぐむぐ、もぎゅもぎゅ」
メープルの胸から離れて何か言っているが、
無視して続けるリン。
「あなたは、召喚者を二名も
連れているじゃないですか!
当国の召喚者にちょっかいを
出すことはやめて頂きたい」
「召喚者様を獣の餌にするような
国の方々にそのようなことを
言われたくありませんわ。
不幸な稲生様をお助けするのは、
我らが教義に合致いたします」
さらりと言ってのけるメープル。
「うるさいっ。獣を討伐してきてから、
そのようなことは言え。話はそれからだっ」
理屈では敵わないと思ったのか、
暴論をリンが言い放った。
メープルはその言質、取ったりと
にんまりして、宿に戻っていった。
稲生は、他人事ながら、思った。
なぜ、リンは、自ら地雷をふむのだろか。
リンは暇なのか、ノルドの店に行くと宣言した。
それから、ひたすらお説教が到着するまで続いた。
稲生は美人の説教に興奮するタイプではなかったが、
前世界では有り得ないほどの美人の女性たちが
身近にいることに正直、戸惑っていた。
色々な思惑が飛び交うなか、
とりあえず、バルザース帝国の傭兵たちが
近日中に獣と相見えることになった。
うまくリンを言いくるめて、
執務室から生還した稲生は、
ノルドの店に向かっていた。
「これはこれは、偶然でしょうか?
それとも運命でしょうか?
稲生様ではありませんか。
どちらにお出かけでしょうか?」
道中で巨乳神官が稲生に声をかけてきた。
稲生は、先ほどの忠告が頭をよぎるが、
視線の先には豊かな胸があった。
「改め、ご挨拶させていただきますわ。
アルカシオン教、司祭の任に
ありますメープルと言います。
召喚者様を等しく神に近し方々として
崇めております。召喚者さまがお望みなら、
我が身を捧げることも厭いません」
その言葉にごくりと唾を飲み込む稲生であった。
この言葉がハニートラップに違いないと思うも
抗しがたい魅力を如何ともできなかった。
メープルが豊かな胸を強く稲生の右腕に
絡めてくると、どうしようもないくらい、
身体中の血流が早くなり、全てがどうでも
よくなりつつあった。
メープルが身体を稲生に密着させて、
耳元でささやく。
「稲生様が望まれるなら、、、」
最早、稲生はうなずくしか選択肢が
思い浮かばなかった。
そして、逆の耳元に大音量の叱責が伝えられた。
「ばかもの、道中で、何をしておるのか!恥をしれっ!」
その言葉と同時に紺のローブが
ふわりと舞い上がり、稲生の左腿に
強烈な蹴りが炸裂した。
「きゅっうぅー」
稲生は謎の言葉を残して、
あまりの痛さに地面に膝をつく。
「はぁ、宿舎を出て、20mと
離れずにもうこれかぁ。
稲生、どういうことか教えて貰おうか?
ノル爺に用事があったのではないのか?」
鉄面皮リンが現れた。
「召喚者様、大丈夫でしょうか?」
とメープルが膝をつく稲生の顔を
胸に納めて、尋ねる。
そして、その稲生の首根っこを引っ張るリン。
「ふん、獣を討伐する前だというのに
男にちょっかいを出すとは、随分と余裕だな」
とリンがメープルを嘲る。
「召喚者様は、神に近し方々。
等しく尊敬に値する召喚者様なら、
なお更、お声をかけて当たり前でしょう」
メープルは臆面もなく答える。
「むぐむぐ、もぎゅもぎゅ」
メープルの胸から離れて何か言っているが、
無視して続けるリン。
「あなたは、召喚者を二名も
連れているじゃないですか!
当国の召喚者にちょっかいを
出すことはやめて頂きたい」
「召喚者様を獣の餌にするような
国の方々にそのようなことを
言われたくありませんわ。
不幸な稲生様をお助けするのは、
我らが教義に合致いたします」
さらりと言ってのけるメープル。
「うるさいっ。獣を討伐してきてから、
そのようなことは言え。話はそれからだっ」
理屈では敵わないと思ったのか、
暴論をリンが言い放った。
メープルはその言質、取ったりと
にんまりして、宿に戻っていった。
稲生は、他人事ながら、思った。
なぜ、リンは、自ら地雷をふむのだろか。
リンは暇なのか、ノルドの店に行くと宣言した。
それから、ひたすらお説教が到着するまで続いた。
稲生は美人の説教に興奮するタイプではなかったが、
前世界では有り得ないほどの美人の女性たちが
身近にいることに正直、戸惑っていた。
色々な思惑が飛び交うなか、
とりあえず、バルザース帝国の傭兵たちが
近日中に獣と相見えることになった。
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~
仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。
祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。
試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。
拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。
さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが……
暫くするとこの世界には異変が起きていた。
謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。
謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。
そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。
その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。
その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。
様々な登場人物が織りなす群像劇です。
主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。
その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。
ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。
タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。
その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。
ハズレギフト『キノコマスター』は実は最強のギフトでした~これって聖剣ですか? いえ、これは聖剣ではありません。キノコです~
びーぜろ@転移世界のアウトサイダー発売中
ファンタジー
孤児院生まれのノースは、十歳の時、教会でハズレギフト『キノコマスター』を授かってしまう。
他の孤児院生まれのルームメイトたちは『剣聖』や『魔法士』『鍛冶師』といった優遇スキルを授かったのに、なんで僕だけ……。
孤児院のルームメイトが国に士官されていくのを横目に、僕は冒険者として生きていく事を決意した。
しかし、冒険者ギルドに向かおうとするも、孤児院生活が長く、どこにあるのかわからない。とりあえず街に向かって出発するも街に行くどころか森で迷う始末。仕方がなく野宿することにした。
それにしてもお腹がすいたと、森の中を探し、偶々見つけたキノコを手に取った時『キノコマスター』のギフトが発動。
ギフトのレベルが上る度に、作る事のできるキノコが増えていって……。
気付けば、ステータス上昇効果のあるキノコや不老長寿の効果のあるキノコまで……。
「こ、これは聖剣……なんでこんな所に……」
「いえ、違います。それは聖剣っぽい形のキノコです」
ハズレギフト『キノコマスター』を駆使して、主人公ノースが成り上がる異世界ファンタジーが今始まる。
毎日朝7時更新となります!
よろしくお願い致します。
物語としては、次の通り進んでいきます。
1話~19話 ノース自分の能力を知る。
20話~31話 辺境の街「アベコベ」
32話~ ようやく辺境の街に主人公が向かう
無能と蔑まれた七男、前世は史上最強の魔法使いだった!?
青空一夏
ファンタジー
ケアニー辺境伯爵家の七男カイルは、生まれつき魔法を使えず、家族から蔑まれて育った。しかし、ある日彼の前世の記憶が蘇る――その正体は、かつて世界を支配した史上最強の大魔法使いアーサー。戸惑いながらも、カイルはアーサーの知識と力を身につけていき、次第に自らの道を切り拓く。
魔法を操れぬはずの少年が最強の魔法を駆使し、自分を信じてくれる商店街の仲間のために立ち上げる。やがてそれは貴族社会すら揺るがす存在へと成長していくのだった。こちらは無自覚モテモテの最強青年になっていく、ケアニー辺境伯爵家の七男カイルの物語。
※こちらは「異世界ファンタジー × ラブコメ」要素を兼ね備えた作品です。メインは「異世界ファンタジー」ですが、恋愛要素やコメディ要素も兼ねた「ラブコメ寄りの異世界ファンタジー」になっています。カイルは複数の女性にもてますが、主人公が最終的には選ぶのは一人の女性です。一夫多妻のようなハーレム系の結末ではありませんので、女性の方にも共感できる内容になっています。異世界ファンタジーで男性主人公なので男性向けとしましたが、男女関係なく楽しめる内容を心がけて書いていきたいです。よろしくお願いします。
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~
雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる