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森の獣 1章 稲生編

二日酔いは大変

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「ううっ頭がきりきりする」
久しぶりのお酒のせいで、2日酔いの稲生であった。
よく寝れたせいか、昨日ほどの強烈な望郷の念に
囚われてはいなかった。
ただ、稲生は、お酒の力とはいえ、
心の底にある強烈な思いを十分に認識することはできた。
今日にも王都から、将軍が二人到着するはずであった。
午後から約束のある稲生は、同席を依頼されても
そちらを優先するつもりであった。
現在、3刻の中頃であったため、
稲生は食事にすることにした。
運悪く食堂でドリアムに捕まってしまった。
「稲生さん、食事が済みましたら、すぐに執務室へ。
先行の兵が到着しています。
そこから、推測しますと、
将軍は、5刻には到着するかと思います」
「わかりました。ただし、
午後から予定がありますので、手短にお願いします」

執務室には、既にリン、事務官、
そして見知らぬ男がいた。
多分、先行して来た王都の兵であろう。
直立不動で我々が揃うのを待っていたのだろう。

兵は、全員が揃うのを確認すると、報告を始めた。
「各員に報告します。将軍二名を含む10名が
5刻に到着します。歓待の必要なし。
すぐに会議に入るとのこと。
貴公らを含め10名程度の会議ができる部屋を
用意しておくとのことです。
私は将軍が到着するまで、休息を取らせて頂く。以上」

「はっ、了解いたしました。すぐに準備いたします」
と事務官が答え、その後、兵は、部屋を後にし、
準備のためか事務官も無言で執務室を出て行った。

「ドリアムは、この地の守備隊の責任者として、
稲生は、召喚者のため、会議に参加してもらう。
君らは、心配はいらぬ。
昨日、獣討伐の必勝の策を十分に練り上げたからな」
と自信満々のリンであった。

ドリアムは胡散臭く思ったが、おくびにも出さず、
輜重の件をできるだけすすめると言い残し、退室した。

「すみません、午後から、予定が入っていまして、
午後は、会議を辞退したいのですが?」
と稲生は、念ため、リンに伝えておく。

「おい、こら。それは無理だ。会食後にも会議は続くから。
流石に召喚者が欠席は無理だりょ」
舌を噛むリン。
稲生は、ちょっとその語尾を可愛く感じてしまった。
そう、これは、前世界の萌えゲーの語尾に
ありがちなものだと思い出した。

押し問答をしていると、いつのまにか
5刻となり、将軍が到着した。
「絶対に無理だからな!稲生、あまりに
わがままを言うなら、矯正力を用いるからな」
リンは念を押した。

稲生は、矯正力という言葉に引っかかったが、
とりあえず、リンと共に正門に向かった。
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