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任務の進捗

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 ロベリオは、順調に溶断を進めていた。
後方でその作業状況の安全を加賀見は
確保する作業に従事していた。

「ふっ、かがみぃー、少し休憩しようか?」
ロベリオが一息、ついた。

「了解しました。では、電源を一旦、切ります」
と言うと、加賀見は安全のために装置の機能を停止させて、
電源をoffにした。

「熱いねー、サバイバルスーツを着ていても熱いよ」
とロベリオが水分を補給しながら、加賀見に話かけた。

 ロベリオは、上半身のサバイバルスーツを
腰まで下ろしていた。
 白いTシャツが汗で彼女の肢体に貼りついており、
身体ラインを浮き上がらせていた。
ロベリオはシャツを脱いで、汗を拭い始めた。

「かがみぃー、この武器は、ワンダーランド社でなく、
かがみぃーの希望で準備したんでしょ?
ねえねえ、どこまで予想してたの?」

 上半身、下着のままで、見せつける様に
加賀見の前でリラックスしながら、ロベリオは尋ねた。
 加賀見はロベリオの肢体に釘付けになっているせいか、
彼女の質問に上の空だった。

「予想ですか?一体、なんの予想ですか?」

「あーもう」
ロベリオは新しいTシャツを着て、
質問の内容をより具体的に話した。

「これってさぁ、調整すれば、元の状態でも
母船の外壁に穴を開けられるよね?
短い時間だけど、青白い炎を直径1㎜程度で
1メートル位に伸ばせるよね?
それで30000℃くらいまで出力できるなら、
母船に開口できるじゃん。
武器としてはそこまで必要なくない?」

「いえ、そのようなことは考えたことも
ありませんでした。
未知の鉱物が発見できたときに加工して
持ち帰ろうとして、準備しただけですよ。
外敵なら、威嚇や攻撃にも使用できますしね。
銃器ですと高々半年程度でしたら、
動いているものに当てるのは難しいとの
社内のプロジェクトチームの判断でした。
その点、放射器なら、広範囲に攻撃できますのでね。
たまたま、異形種にはこれが有効でしたけど」
と加賀見は答えた。

「ふーん、まあ、いいけど。
こちらとしては、この忌々しい歪みの部分を
容易に切り離せるからね。でっ?
かがみぃーはこの貢献に対して、
どんな報酬がほしいの?
どうせ、異形種も液体が感知できなければ、
現れないでしょ。時間はあるしぃ。
監視モニターも故障中、おりたは、
あの糞野郎と警備中だけど、どうしたい?」
と言って、加賀見の腕を取り、
自分の胸の辺りに引き寄せた。

 加賀見はごくりと唾を飲み込んだ。
ロベリオが素晴らしい身体つきをしていることは、
十分に知っていたが、どうも気が進まなかった。

 そんな加賀見の気分を知ってか知らずか、
ロベリオは加賀見の後方に回り、
加賀見のサバイバルスーツを脱がせ、
豊かな胸を背中に押し付け、両手で彼の胸を刺激した。

「実はね、副船長から、今回の件に関して、
作業が遅れてもいいから、かがみぃーにご褒美を
与えてなさいと言われている」
と耳たぶを舐めながら、囁いた。

「それはどの件について?」
加賀見は、興奮していることを悟らないように短く答えた。

「さあ?それはご想像に任せるよ」
片手で加賀見のアレを掴み、ゆっくりとしごきだした。

 はぁはぁはぁ、加賀見は我慢できずに
振り向きロベリオのシャツと下着を脱がし、
裸にした上半身にむしゃぶりついた。
 ロベリオは甘い吐息をあげながらも
しっかりと片手で加賀見のアレをしごいた。

 ロベリアの舌と激しく交わし両肩をつかみ、
ロベリアと密着して、腰を振るう加賀見は、
我慢できなくなり、ロベリアの手に欲望をぶちまけた。

 加賀見は昨日の不完全燃焼もあり、
普段以上にぶちまけたせいか、放心状態となっていた。

「くすっ、昨晩、おりたは相手をしてくれなかったんだね」
と言って、サバイバルスーツを着込み、作業を開始した。

 管理者専用会議室では、副船長を含む6人の管理者たちが
日程の調整をしていた。

「予定より随分と遅れていますね。
みなさん、どういうことでしょうか?」
と先日の会議で改めて、存在感を示した副船長が言った。

 他の5人は、工程表を作成したが、敢えて、
責任の所在をぼかしていたため、口々に適当な理由を述べていた。

「ふむ、遅れの理由がこれでは判断つきませんね。
各部門毎に問題点を抽出して貰いましょう。
滞っている箇所が対応できない内容であったら、
地球への帰還も困難になりますし。
それでは、みなさんも困るでしょう」
とにやにやとしながら、言った。
そして、続けた。

「まあ、最悪、データだけでも送れれば、
最悪、我々と船の損失だけで、最低限の任務は
果たしたことになりますから、その辺りの準備も
カーリンに申し付けておきましょうかね」
と事も無げに言った。

 他の5人は、その言葉に真っ青になり、
言葉を失った。
 もとより、此処で死ぬ覚悟などないし、
探索に対する使命感など一片もない連中だった。

 口々に現状の確認を進めると言って、
部屋を出て行った。

一人残った副船長は、満面の笑みだった。
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