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再び休憩中の会話
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重苦しい雰囲気の中、無言で歩く二人。
その先には、一台の探索車両が見えてきた。
肉眼でやっと見えるくらいの大きさであったが、
車両の周りの何かが這いずっているように見えた。
異形種であろうと二人は思った。
「ふう、織多さん、どうしますか?
遠目からでも異形種であろうものたちが
群がっていますよ」
と珍しく加賀見が開口一番に織多さんへ質問をした。
普段と違って、意見を求められた織多さんは、
若干の戸惑いを感じながらも答えた。
「いつもと逆ですねー。まあ、いいでしょう。
私は、遠目で異形種が去るのを確認してから、
進むのがいいかと思いますよ。
あの二人は、多分、もう駄目でしょうから」
「そうですね、もし、生きているとしたら、
徒歩でかなり進んでいるでしょう。
あれは恐らく、我々に対する罠のつもりでしょうね」
と加賀見も織多さんに賛成した。
「加賀見さんが上手く、休憩時間を
調整したおかげで、異形種に遭遇せずに済みましたね。
偶然ですか?それとも予想通りですか?」
と織多さんが加賀見を挑発するように言った。
しかし、加賀見は挑発にのるようなこともなく、
普通に答えた。
「いえ、偶然ですよ。
外部に放置された時点で、
幾つかの予想はたてましたけどね。
ここまで、露骨に罠を仕掛けるとは
思いませんでした。
ひとまず、ここで異形種が去るまで
待ちましょう。2~3時間程度ですかね」
織多さんも概ね加賀見の意見に賛成であったが、
加賀見への疑惑が晴れることは無かった。
しかし、ここで加賀見と別れ、
一人で行動するのも心細く、結局のところ、
加賀見と一緒に腰を下ろした。
ゴロゴロと転がる織多さん。
異形種が去るの待っている間の休憩であったが、
あれを見て、寝られるほどの胆力はなかった。
奴らが来ないと分かっていても
気になって寝付けなかった。
一方で加賀見は、ぐっすりと寝ているようだった。
バイザーのマイク越しにいびきや
寝言らしきものまで織多さんには聞こえてきた。
「加賀見さんがねぇ。
寝ているとそんな感じには見えませんけどね。
まあ、警戒するに越したことはないのかなあ」
と加賀見を見つめながら、呟くた。
「いえ、警戒することは必要なことだと思います」
と突然、むくりと起きた加賀見が答えた。
「ひえっ、加賀見さん、起きていたのですか?」
と突然の加賀見の言葉と行動に驚く織多さんだった。
「流石にアレを見て、熟睡するほどの
度胸はありませんよ。
消音モードにするのも恐ろしかったので、
織多さんの独り言が呪詛のように
流れて来ていましたしね」
と言って、加賀見は笑った。
「あっあれはーってか、
女性に向かって、呪詛とかいうなー」
とぷんすかする織多さんだった。
二人は、少しの間をおいて、大笑いした。
その先には、一台の探索車両が見えてきた。
肉眼でやっと見えるくらいの大きさであったが、
車両の周りの何かが這いずっているように見えた。
異形種であろうと二人は思った。
「ふう、織多さん、どうしますか?
遠目からでも異形種であろうものたちが
群がっていますよ」
と珍しく加賀見が開口一番に織多さんへ質問をした。
普段と違って、意見を求められた織多さんは、
若干の戸惑いを感じながらも答えた。
「いつもと逆ですねー。まあ、いいでしょう。
私は、遠目で異形種が去るのを確認してから、
進むのがいいかと思いますよ。
あの二人は、多分、もう駄目でしょうから」
「そうですね、もし、生きているとしたら、
徒歩でかなり進んでいるでしょう。
あれは恐らく、我々に対する罠のつもりでしょうね」
と加賀見も織多さんに賛成した。
「加賀見さんが上手く、休憩時間を
調整したおかげで、異形種に遭遇せずに済みましたね。
偶然ですか?それとも予想通りですか?」
と織多さんが加賀見を挑発するように言った。
しかし、加賀見は挑発にのるようなこともなく、
普通に答えた。
「いえ、偶然ですよ。
外部に放置された時点で、
幾つかの予想はたてましたけどね。
ここまで、露骨に罠を仕掛けるとは
思いませんでした。
ひとまず、ここで異形種が去るまで
待ちましょう。2~3時間程度ですかね」
織多さんも概ね加賀見の意見に賛成であったが、
加賀見への疑惑が晴れることは無かった。
しかし、ここで加賀見と別れ、
一人で行動するのも心細く、結局のところ、
加賀見と一緒に腰を下ろした。
ゴロゴロと転がる織多さん。
異形種が去るの待っている間の休憩であったが、
あれを見て、寝られるほどの胆力はなかった。
奴らが来ないと分かっていても
気になって寝付けなかった。
一方で加賀見は、ぐっすりと寝ているようだった。
バイザーのマイク越しにいびきや
寝言らしきものまで織多さんには聞こえてきた。
「加賀見さんがねぇ。
寝ているとそんな感じには見えませんけどね。
まあ、警戒するに越したことはないのかなあ」
と加賀見を見つめながら、呟くた。
「いえ、警戒することは必要なことだと思います」
と突然、むくりと起きた加賀見が答えた。
「ひえっ、加賀見さん、起きていたのですか?」
と突然の加賀見の言葉と行動に驚く織多さんだった。
「流石にアレを見て、熟睡するほどの
度胸はありませんよ。
消音モードにするのも恐ろしかったので、
織多さんの独り言が呪詛のように
流れて来ていましたしね」
と言って、加賀見は笑った。
「あっあれはーってか、
女性に向かって、呪詛とかいうなー」
とぷんすかする織多さんだった。
二人は、少しの間をおいて、大笑いした。
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