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不可解な探索

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尾賀によって、元宮、加賀見、織多さんの
三名が彼女の部屋に召集されていた。

「事務局から、探索の依頼がありました。
強制とみてよいでしょう。
詳細の内容は各員に配信済みです。
目は通してありますね」
と尾賀が言うと、3名とも軽く頷き、尾賀に続きを促した。

「明後日に探索に出発となります。
今までと逆方向の森林方面でなく、
探索がほぼ行われてこなかった草原方面へ向かいます。
この地域の探索の報告書は2件ほど出ていますが、
注目すべき点は、ほとんどありません」
と説明し、尾賀が一旦、言葉を切った。

「拒否権はないようですね。
中型探索車を用いて、行う内容なのか
甚だ疑問ですが、事務局への
問い合わせはできますか?」
と加賀見が尋ねると、
「そうですよね、この目的地までの
距離と観察が目的なら、探索車両の改造で
無人操作して対応しても問題なさそうですけどね」
と元宮が賛同した。

「問い合わせは不可です。
これは、依頼という名の命令です。
おそらくですが、彼らの心証を悪くして、
待遇や過酷な調査を押し付けられる
恐れがあります。
それと元宮、事務局がハッキングを
どうも疑っているようです。
証拠を消去して、今後、その行為は禁止とします。
以後のミーティングでは、各々の発言は
事務局に監視されていると思ってください」

「その根拠は?
僕の方ではそういった動向は
掴んでいませんよ。
今後も続けても全く問題ないと
思います」
と若干だが、元宮が反発するように言った。

「とある事務局のメンバーからの情報よ。
元宮、必ず痕跡を消去しなさい。
もし、見つかれば、破滅よ。いいわね!」
と念を押すように言った。

「ふん、あんな杓子定規な古いシステムの
構成しかできない小役人たちに
僕の介入が発見されるわけないじゃん。
まあ、了解しました。
ミーティングの後でやっておきますよ」
不貞腐れたようにだが、元宮は了解した。

「ええ、お願い。かなり窮屈になるけど、
仕方ないわ。
加賀見さん、織多さんも
今後はそのつもりでよろしく」
と尾賀が同意を二人に求めた。

加賀見も織多さんも了解の旨を伝えた。
その後、探索の打ち合わせが終了し、
元宮は自室へ戻り、加賀見と織多さんは、
センタールームで次回の探索に
関する情報の整理を始めた。

「うーん、加賀見さん、今回の探索は、
元宮さんの言う通りですねー。
無人化させた探索車両で十分なような
気がしますよ。
遮蔽物も何も遮るものがありませんから」
と織多さんが疑問を呈した。

「何かしらの重要な点に事務局が
気付いたのではないでしょうか?
最早、探索の主導は、事務局ですから。
各社、事務局の下に働きアリとして、
吸収された形ですよ」

「ええっ、、自由な調査が
できないじゃないですか!
戻ったら、それなりのレポートを
提出しないと、論文として
認められない上に卒業できずに
留年しちゃいますよ。
学費準備できないですよ」
と困ったように織多さんは言った。

「今回は、恐らくですが、本船から、
私たちを引き離すのが主な目的でしょうね。
一体、この期に及んで何を企んでいるのやら」
と加賀見がつぶやいた。

「ちょっ、加賀見さん。
また、睨まれるようなことを
言わないでください」
と慌てて、織多さんが加賀見の口を塞いだ。

「むぐぅ、、、、すみません、気を付けます」
と加賀見が大人しく従った。


管理センターにいた事務局の何名かは、
この発言を聞いて、
「加賀見か、尾賀を除けば、
他の探索メンバーに比べて、
多少は勘が働くようだな。
そろそろ、始末してもいいのでは?」

「いやいや、副船長のおもちゃ、、、
いや、お気に入りだから。
それにこいつの行動と性癖は笑えるから、
まだまだ、娯楽として必要じゃないかな」

「ぷっ、確かに。
次はどんなおもしろプレイを
披露するのか楽しみだな」

「手コキ、バック素股、足コキ、着衣プレイ、、、
あのりっぱなもので、本番がこいつは嫌いなのか、
早漏なのか、それとも未経験とか」

「おー童貞なのにおかしなプレイばかり好むな。
次は、どんなプレイでいくか賭けないか?
俺は、パイずりかな」

「おいおい、ロベリオが聞いているから、
賭けが成立しないぜ。
まあ、純粋に楽しませてもらおうや」

「そろそろ、みなさん、業務に
戻った方が良いかと思いますが、
私もそろそろ、本日の監視モニターの
解析を始めないといけませんで」
と青筋を立てたカーリンが低い声で
集まって話している男どもに言った。

男どもが部屋を出て行くと、
「ロベリオ、加賀見は本当に童貞なのでしょうか?」
と真剣に尋ねた。

「どうなのかなぁ。まあ、分かっていることは、
立派なもの持っていることと、
特殊なプレイが好きなことじゃない。
まーおりたも付き合うなら、
あのプレイに合わせるのは大変だろうね」
と加賀見の変態行為に少なからず
協力したロベリオが言った。
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