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実験

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 加賀見のサバイバルスーツは小型探査機に
よって、遠くに運ばれていた。
探索車両からその様子を見ていた加賀見は、
ふと、乾いてパリパリになったあの付着物を
異形種が収集するのだろうかと思った。
体液ではあるが、固まってしまったものに
興味を示すか、情報を得るチャンスであった。
そして、上空に対して、異形種は対応できるのか
加賀見は、興味をひかれた。

 尾賀も同様の疑問をもったのだろうか
元宮に小型探索機がこの車両まで
戻れるエネルギーを残して、ギリギリまで
飛行することを指示していた。

「いかなるものであっても情報を
得るためには、有効活用すべきですね、加賀見さん」
と尾賀がにやりとして、加賀見に言った。

「そろそろ、あの汚物を投下して、帰投させます」
と元宮が報告し、投下の準備に入った。

「うーん、加賀見さん、あなたの量が
少なかったのかしら。
上空への干渉は割に合わないと
判断したのかしらね、加賀見さん」
と尾賀が元宮の報告を聞いて、言った。

「いや、そう聞かれましても。
そもそもそんなことに使う予定が
なかったでしょうに」
と加賀見は少々、語気を荒げて答えた。

「ちょっと、お二方、静かに。
例のすり潰すような音が聞こえています。
感度最大に上げます」
元宮の発言に尾賀も加賀見もモニターの方へ目を向けた。

探査機の下方向に見える森は規則的に
動くだけで、異形種らしきものは見当たらなかった。
音は大きくなっている。必ず近くに異形種がいるはずだ。
そんな確信を三人は持って、モニターを注視した。

 何かが探査機に向かって弧を描かずに
一直線に飛んできた。探査機は、自動回避モードが
働いたためにそれを回避した。
2、3回と続けて、何かが飛んできたが、
小型探査機は、回避できているようだった。

「元宮さん、投下して、戻した方が無難ですよ。
投擲を修正しています。急いでください」
と加賀見。
「飛ぶことはできるどうかはわからないけど、
何かしらの遠距離を攻撃できるものはありそうね。
元宮、加賀見さんのアレを投下しなさい」
と尾賀。

加賀見のサバイバルスーツを投下させると、
同時に投擲は止んだ。

小型探査機を回収すると同時に加賀見たちは、
母船へ戻ることにした。

「あんな異臭のするものまで、
集めて、奴らは、何をするんでしょうね」
元宮がぽつりと呟いた。

加賀見も元宮と同じような印象を抱いたが、
その異臭を放つものが自分のアレのため、
どのように表現されても馬鹿に
されているようにしか聞こえなかった。

繰り返される3人の感想と考察であったが、
母船に帰投するころには、これって一種の
パワハラじゃねとの思いに囚われていた。

二日ほど早い探索の完了であったが、
加賀見たちは、無事に戻ることができた。
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