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計画2
しおりを挟む食堂に着くと、二人は、B定食を注文した。
それは、Aランチの一つ上のグレードであった。
「はっはじめてのB定食!
デザートが付いていますよ!デザートですよ。
回収のミッションが成功して、
良かったぁぁぁー」
織多さんは、B定食を前にして
両腕を胸に当てて、詠嘆した。
「では、私のデザートもどうぞ」
と言って加賀見は、織多さんへ渡した。
「ひぇぇぇーデザートが二個に!
今朝のセクハラ行為は不起訴にしますっ」
織多さんが元気よく答えた。
「しっー織多さん、声が大きいです」
と加賀見が注意した。
「船内でのセクハラ行為とは、頂けませんねぇ。
困りますよ、私の査定が下がります。
それに今回は、女性が3人と加賀見君の
メンバーですから、少し詳しく聞きましょうか?
不安は少しでも取り除くのが
組織のありようですからねぇ、加賀見君」
と相変わらず突然、現れる副船長。
この男、常に監視でもしているのではないかと
疑ってしまう加賀見であった。
「えっ、違いますよ。違うです。
何もありませんから、大丈夫です」
と慌てて、否定する織多さん。
「そうならいいのですが、誤解を招く発言は
差し控えて頂けると助かります。
今回は、被害者の訴えもなくなったことなので、
不問にしますよ、加賀見さん」
とにやにやしながら、副船長が答えた。
今朝のことは、完全に否定できぬ点も
あるために早々に話題を切り替えようと、
加賀見が副船長に尋ねた。
「そう言えば、今日の打ち合わせには
参加していませんでしたね」
と加賀見が尋ねた。
「毎回、探索の打ち合わせに参加しませんよ。
事務局の局員に参加の必要があれば、
前もって、選考には口を出しますが。
どうですか、今回のメンバーは?」
にやにやの止まらない副船長だった。
「ええ、調査メインのため、優秀な研究職を
集めた感じですね。
それに多分、今回は、異形種の襲撃は
ないでしょうから、この構成が
可能になったのでしょうね」
と加賀見がそれとなくかまをかけた。
「それはそれは、また、どういった根拠で?」
柔らかい声に棘のある含みを
消しきることができなかった副船長が尋ねた。
「勘です」
一言で短く加賀見が答えた。
「ふむ、勘ですか。案外、そういった感覚で
物事を進める方が生存できるのかもしれませんね。
我々、人間が遥昔に失った生存への第六感と
言ったものでしょうかね」
と副船長は、感心しているのかしていないのか妙に
感じいった雰囲気で答えて、食堂を去った。
「加賀見さん、加賀見さん!
やっぱり、副船長と相性が悪いですね!
ちょっとは仲良くしてください。
傍から見ていますと、口論しているようにしか
見えませんよ。表情はにこやかなのにお互いに
目が笑っていません!」
と織多さんが怒り気味に話した。
「すみません、どうも気になることありまして、
うまくないですね」
と加賀見が頭を下げる。
「まー加賀見さんのことですから、
何か考えあってのことなので、良いですけど。
何か事をおこすなら、前もって話してくださいよ」
と織多さんが諦めたように答えた。
「なかなか面白い御仁でしょう、加賀見君は」
管理センターで副船長が
加賀見たちに同行する事務局員の
探索メンバーに話していた。
「ええ、朝の情事もお笑いでしたね。
まさか、あのタイミングでお尻に擦り当てて、
投げ飛ばされるとは思いませんでしたわ」
一人が答えた。
もう一人は、
「ぷぷっ、うけるー。まさか本人たちは、
筒抜けとは思ってないでしょうね。
からかい甲斐がありそうね」
と言った。
「あまり、羽目を外さないように。
調査も重要ですから」
と副船長がくぎを刺す。
両人とも了解の旨を示して、探索の準備に戻った。
副船長は、モニターのコンソールを動かし、
加賀見を注視すると、冷笑した。
「中小企業の契約社員風情がどこまでできるか見ものだな」
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