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本編
*97* だから初心者にやさしくないって
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「リオ……はぁっ……」
ノアが眉をひそめ、ひどく苦しげだ。
それもそのはず。とてつもない質量に怒張した男性器を、持て余していたんだから。
「ごめん、いまはリオを気持ちよくしてるときなのに……すぐ、おさめるから……」
ノアがそう言って自身に手を添え、こすり上げようとするから、思わず押しとどめた。
「待って!」
「……リオ?」
ノアは、わたしが制止した理由がわからないみたいだった。
あぁ、もしかして。男の子と女の子のからだについて別々に講義したからか、ノアは仕組みを理解したけど、まだそれぞれがうまく結びついていないのかもしれない。
つまり……男女で性行為をするという概念と、その意味が。
「……インキュバスは、なにをして力をつけるんだって、わたし言った?」
「女のひとと、気持ちいいところをこすり合って……えっと、セックス……?」
「セックスっていうのは、具体的には、女のひとのなかに、男のひとがはいることなんだよ。女性の膣が、男性器を受け入れられるようになってるの」
この際だ、羞恥心なんてくそくらえ。
きょとんとしたノアに近寄り、主張したその熱の塊に手を這わせる。
「男性が女性の膣内に挿入って、こすったら、女性は気持ちよくなって、きゅうって締めつける。締めつけられて気持ちよくなった男性が、女性のおなかの奥──子宮に精液を注いだら、赤ちゃんができるんだよ」
「……赤ちゃん」
サファイアの瞳が見ひらかれたと思った瞬間、ぐるんと視界が回った。
一瞬でベッドへ沈められたわたしの上に、ノアがのしかかってくる。
「あぁ、そうか……だから、リオにふれたくてたまらなくなるんだ。わかったよ、ぜんぶ」
低くうなるノアの視線は、ギラついている。
獲物を捕捉した、捕食者の目だ。
「ごめん、ちょっと乱暴にするかもしれないけど」
ノアがわたしに体重をかけながら、言葉少なに断って。
「俺のぜんぶ、受け止めて」
蜜口に熱いきっさきを宛てがった直後、ぐっと腰を落とした。
「ひぅっ……ぁあっ……!」
「……っく……」
ずぶずぶと、尋常じゃない熱の塊が押し入ってくる。
「いた、い……ッ!」
やっぱり先端がはいりきらないうちに、つっかかる感覚がある。
痛い、苦しい……怖い。つい怖気づいてしまいそうになる。
「リオ……リオ、リオ……っ」
でも、ノアがわたしを呼ぶから。
……そんなに切なそうに求められたら、わたし。
「やめな、いで……おねがい、ノアっ……!」
夢中だった。ノアにすがりついて、きつくまぶたをつむる。
抱き込まれる感覚のあと、ばつん、と腰が打ちつけられた。
「いッ……ひゃああぁんっ!」
「うくっ……はぁっ!」
バチバチッと、視界が明滅した。
電流のようなものが、全身を駆けめぐる。
からだが、どこかに投げ出されたみたいで、わけがわからなくなって。
どさりと倒れ込んできたノアの重みで、意識を引き戻される。
「はぁ、ん……リオ、大丈夫?」
「……だい、じょばない」
「痛い?」
「くっっっそ痛い……」
初心者さん向けじゃないモノをぶち込まれたんだ。そりゃあ無事じゃすまないですよね、わたしの処女が。
わたしの股関節に、ノアの股関節がぴったりくっついてる。熱くて硬いものが、根もとまで埋まってる。
「ぜんぶ、はいった……」
「はいったね」
「やばい、リオのなか、なんか、やばい……」
「待って動かないで、いま動いたらビンタします」
なんだこれ。めでたく処女喪失したところなのに、このなんとも締まらない会話はなんなんだろう。
怖いの通り越して腹が立ってきたよね。処女膜破られるの痛すぎでしょ。あとノアくん、でかすぎです。わたしがいじってたときより大きいって、ふざけてんのかな。初心者にやさしくないね。
「って……待って待って、泣いてる? ノア泣いてるの!?」
信じられないことに、わたしに覆いかぶさったノアがボロ泣きしていた。泣きたいのはわたしのほうだよ? めっちゃ痛いもん。
「ごめん……でも、うれしくて。リオが痛いのがまんして、俺のこと受け入れてくれて……いつもより近くにリオを感じられるいまが、すごくうれしい」
「うっ……」
そうだ、忘れちゃいけないのが、ノアは純情美男子だということだ。根が素直で、天使みたいに無垢な子なんだ。悪魔だけど。
「すき……リオ、好き、大好き……」
「んっ……くすぐったいよ!」
ちゅ、ちゅ、と顔中にキスを落とされて、とっさにノアの胸を押し返そうとするけど、だめだった。ぎゅううっとわたしを抱き込んだノアが、離れようとしないから。
「ねぇ、リオ……もうがまんできない、動いていい?」
「あ、えと、もうちょっとなじむまで待って……」
「動くからっ……」
「ちょっ、待っ……やぁっ!?」
まだ下腹部のじんじんとした痛みが引ききらないうちに腰を動かされちゃったから、さぁ大変。
身をよじろうとするわたしの腰を両手でホールドしたノアが、ゆさゆさと律動をはじめた。
「逃げちゃだめ、俺のぜんぶ、受け止めてって言ったでしょっ……!」
ノアの腰の動きに合わせて、ずちゅっ、ずちゅっ、ずちゅっと、重たい水音がひびきはじめる。
「あっ、そん、な、いきなり、はげしっ、ぁん、あぁっ、あんっ」
「リオこそ、物欲しそうに、俺の咥えこんで……はぁっ、熱い……腰が、とけちゃいそう……んッ」
「あつい、おなか、くるしぃっ」
「うんっ、もっと俺でいっぱいにしてあげる……リオの気持ちいいところいっぱいこすって、奥をたくさん突いてあげるっ」
「ひゃんっ! 奥だめ、深いの、だめぇ……んぁっ、あっ、あっ!」
ぎしぎしと軋むベッドの上で、わたしはただ、揺さぶられ、喘ぐだけ。
ノアが眉をひそめ、ひどく苦しげだ。
それもそのはず。とてつもない質量に怒張した男性器を、持て余していたんだから。
「ごめん、いまはリオを気持ちよくしてるときなのに……すぐ、おさめるから……」
ノアがそう言って自身に手を添え、こすり上げようとするから、思わず押しとどめた。
「待って!」
「……リオ?」
ノアは、わたしが制止した理由がわからないみたいだった。
あぁ、もしかして。男の子と女の子のからだについて別々に講義したからか、ノアは仕組みを理解したけど、まだそれぞれがうまく結びついていないのかもしれない。
つまり……男女で性行為をするという概念と、その意味が。
「……インキュバスは、なにをして力をつけるんだって、わたし言った?」
「女のひとと、気持ちいいところをこすり合って……えっと、セックス……?」
「セックスっていうのは、具体的には、女のひとのなかに、男のひとがはいることなんだよ。女性の膣が、男性器を受け入れられるようになってるの」
この際だ、羞恥心なんてくそくらえ。
きょとんとしたノアに近寄り、主張したその熱の塊に手を這わせる。
「男性が女性の膣内に挿入って、こすったら、女性は気持ちよくなって、きゅうって締めつける。締めつけられて気持ちよくなった男性が、女性のおなかの奥──子宮に精液を注いだら、赤ちゃんができるんだよ」
「……赤ちゃん」
サファイアの瞳が見ひらかれたと思った瞬間、ぐるんと視界が回った。
一瞬でベッドへ沈められたわたしの上に、ノアがのしかかってくる。
「あぁ、そうか……だから、リオにふれたくてたまらなくなるんだ。わかったよ、ぜんぶ」
低くうなるノアの視線は、ギラついている。
獲物を捕捉した、捕食者の目だ。
「ごめん、ちょっと乱暴にするかもしれないけど」
ノアがわたしに体重をかけながら、言葉少なに断って。
「俺のぜんぶ、受け止めて」
蜜口に熱いきっさきを宛てがった直後、ぐっと腰を落とした。
「ひぅっ……ぁあっ……!」
「……っく……」
ずぶずぶと、尋常じゃない熱の塊が押し入ってくる。
「いた、い……ッ!」
やっぱり先端がはいりきらないうちに、つっかかる感覚がある。
痛い、苦しい……怖い。つい怖気づいてしまいそうになる。
「リオ……リオ、リオ……っ」
でも、ノアがわたしを呼ぶから。
……そんなに切なそうに求められたら、わたし。
「やめな、いで……おねがい、ノアっ……!」
夢中だった。ノアにすがりついて、きつくまぶたをつむる。
抱き込まれる感覚のあと、ばつん、と腰が打ちつけられた。
「いッ……ひゃああぁんっ!」
「うくっ……はぁっ!」
バチバチッと、視界が明滅した。
電流のようなものが、全身を駆けめぐる。
からだが、どこかに投げ出されたみたいで、わけがわからなくなって。
どさりと倒れ込んできたノアの重みで、意識を引き戻される。
「はぁ、ん……リオ、大丈夫?」
「……だい、じょばない」
「痛い?」
「くっっっそ痛い……」
初心者さん向けじゃないモノをぶち込まれたんだ。そりゃあ無事じゃすまないですよね、わたしの処女が。
わたしの股関節に、ノアの股関節がぴったりくっついてる。熱くて硬いものが、根もとまで埋まってる。
「ぜんぶ、はいった……」
「はいったね」
「やばい、リオのなか、なんか、やばい……」
「待って動かないで、いま動いたらビンタします」
なんだこれ。めでたく処女喪失したところなのに、このなんとも締まらない会話はなんなんだろう。
怖いの通り越して腹が立ってきたよね。処女膜破られるの痛すぎでしょ。あとノアくん、でかすぎです。わたしがいじってたときより大きいって、ふざけてんのかな。初心者にやさしくないね。
「って……待って待って、泣いてる? ノア泣いてるの!?」
信じられないことに、わたしに覆いかぶさったノアがボロ泣きしていた。泣きたいのはわたしのほうだよ? めっちゃ痛いもん。
「ごめん……でも、うれしくて。リオが痛いのがまんして、俺のこと受け入れてくれて……いつもより近くにリオを感じられるいまが、すごくうれしい」
「うっ……」
そうだ、忘れちゃいけないのが、ノアは純情美男子だということだ。根が素直で、天使みたいに無垢な子なんだ。悪魔だけど。
「すき……リオ、好き、大好き……」
「んっ……くすぐったいよ!」
ちゅ、ちゅ、と顔中にキスを落とされて、とっさにノアの胸を押し返そうとするけど、だめだった。ぎゅううっとわたしを抱き込んだノアが、離れようとしないから。
「ねぇ、リオ……もうがまんできない、動いていい?」
「あ、えと、もうちょっとなじむまで待って……」
「動くからっ……」
「ちょっ、待っ……やぁっ!?」
まだ下腹部のじんじんとした痛みが引ききらないうちに腰を動かされちゃったから、さぁ大変。
身をよじろうとするわたしの腰を両手でホールドしたノアが、ゆさゆさと律動をはじめた。
「逃げちゃだめ、俺のぜんぶ、受け止めてって言ったでしょっ……!」
ノアの腰の動きに合わせて、ずちゅっ、ずちゅっ、ずちゅっと、重たい水音がひびきはじめる。
「あっ、そん、な、いきなり、はげしっ、ぁん、あぁっ、あんっ」
「リオこそ、物欲しそうに、俺の咥えこんで……はぁっ、熱い……腰が、とけちゃいそう……んッ」
「あつい、おなか、くるしぃっ」
「うんっ、もっと俺でいっぱいにしてあげる……リオの気持ちいいところいっぱいこすって、奥をたくさん突いてあげるっ」
「ひゃんっ! 奥だめ、深いの、だめぇ……んぁっ、あっ、あっ!」
ぎしぎしと軋むベッドの上で、わたしはただ、揺さぶられ、喘ぐだけ。
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