【R18】たまゆらの花篝り〜風雷の香〜

はーこ

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本編

雷の偏愛㈠ ※R18

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 身体が、痺れる。思考が、麻痺する。
 思えば、彼の血を口にしたときからだ。身を蝕む毒ではなく、一時の昂りを与える、薬のようだった。

「んっ……んん……」

 場所は変わらず膝の上。けれど決定的に違うのは、自分も、綺羅きらも、互いに言葉少なで、繰り返し吐息をこぼしている点だ。
 どれくらいそうしていたのか。わからない。
自分の周囲だけ、時間の流れが異なるようだ。

「声……我慢しないで」

 上目遣いでねだる綺羅にしがみつき、いやいやとかぶりを振る。

「だれか……みられちゃ……」
「誰も来ないよ」
「わ、かんない……」
「来ない。僕の結界をすり抜けて来られるのなんて、きみくらいなもんなんだから」
「え……? ……ひゃあっ!」 

 ずん、と下から突き上げられる刺激に、背がしなる。
 完璧に、不意をつかれた。強襲を仕掛けてきた張本人は、穂花の華奢な背を掻き抱き、眉根を寄せて堪え忍んでいた。

「んっ……はぁ……ふふ、そんなに締めつけて」

 平生からこちらが不安になるほど色白だった頬は紅潮し、薄い唇がゆるりと三日月を描く。

「厭らしい子」

 腰をなぞる手つきが、合図だった。

「……あっ、や」
「ふ……は、ぁ」
「んっ、あっ、あっ、あっ!」

 たんっ、たんっ、たんっと、綺羅の膝の上で跳ねる。
 そのたびに、ちゅぽ、じゅぽ、ぬぽ、とあられもない水音が淫靡にひびき、羞恥で全身が燃えるようだ。
 はしたなくめくれ上がったプリーツスカートから覗く臀部を両手で鷲づかみ固定されているため、腰をよじって熱を逃がそうにも、絶えず抜き挿しされる熱棒に喘ぎ悶えているようにしか見えない。

「ははっ……可愛い。やっぱり、可愛いなぁ」

 ゆさゆさと一定間隔で揺さぶりながら、綺羅はしきりに「可愛い」とこぼしていた。行為が始まってからというもの、ずっとだ。
 そもそもなぜ、自分は綺羅とセックスをしているのか。穂花はいまだに理解できなかったし、する余裕もなかった。

「んっ、やぁ……あぁっ、あぁんっ!」
「声、あまくなってきたね……こっちもおいしそう」
「ひゃあんっ!」

 律動のたび、ふるん、ふるんと目前でゆれる弾力のある乳房。その中央で桜に色づいた蕾を、綺羅はちゅうっと吸い上げる。
 とたん猫のように啼いて反応されるものだから、綺羅はさらに気分がよくなって、吸いついた胸の先端を舌先でくりくりとやさしくいじめてやるのだ。

「それ、だめ、両方、だめぇ……~~~っ!」
「んっ……イッちゃった? ナカがきゅってなったよ」
「……言わ、なっ、で……」
「やぁだ。だって可愛いんだもん。ほんと可愛い、かわいい……あーもう、我慢してたのに。どーでもよくなっちゃった……ん」
「ふぁっ、んんっ……」

 息も絶え絶えに呼吸をくり返す唇を、否応なくふさがれる。れろれろ、と肉厚な舌が絡み、あふれる唾液をじゅるるるっと啜られる。
 秘部も口内も鼓膜さえも犯されて、何がなんだか。ろくに力が入らない身体へ体重をかけられ、気づいたときには、とさり、と衣擦れの音。

 頭上に、青空がある。穂花は押し倒されていた。いつの間に脱いだのか、綺羅のパーカーが敷かれていたため、ベンチの硬さに顔をしかめることはなかったが。

「はぁ……かわいい、すき……あいしてる」

 だが、ひろげられた脚のあいだに、綺羅がいる。こちらを見下ろす藍色に月色の虹彩の瞳は、情欲に濡れていた。

「ほら、いい子だから……また咥えてごらん?」

 綺羅が愉悦の笑みを浮かべた刹那、ちゅぷちゅぷと花唇へ先走りを擦りつけていた陽根が、一気に突き入れられた。

「──っやぁあああんっ!」

 ともすれば少女のように華奢な容姿をしておいて、とてつもない熱と質量にさいなまれる。
 穂花は綺羅にされるがまま、受け入れ、絶叫するしかない。

「っ、はぁ……挿れただけで、イッちゃったの? きみだけずるいなぁ、僕も気持ちよくなりたいんだけどなぁ。ねぇいいよね?」
「……あ、あ……まって、イッた、イッてる、から……」
「えぇ、なに? 聞こえなぁい」
「まって、おねが、んぁあ、あっ、あぁっ、あんっ、あぁんっ!」
「ははっ、すごい声……イッてるときに奥トントンっていじめられるの、好きなんだね。こっちのお口からはしたなく涎たらして、僕に吸いついてくるよ。えっち」
「ちがう、ちがうもん……んんぁっ!」
「何がちがうの? ねぇ、別に責めてるわけじゃないんだよ。きみが気持ちよくなってるところ、もっと見せて。僕によがる厭らしくて可愛いきみを、もっと見たいなぁ」
「やめ、っひ! やだ、こわい、こわい……」
「ははっ……そう、トんじゃわないように、しっかりつかまっててね。赤ちゃんのお部屋の入り口に、いっぱいキスしてあげるからね」

 幼子をあやすかのような口調のくせして、どろりと、愛欲に溺れたまなざしを寄こす綺羅。
 穂花へぴたりと覆いかぶさると、律動の質が明らかに変わる。

 ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ!

「ぁあっ! あんっ、あんっ、あぁあんっ!」
「はっ……ん……すごい、締まる……やばいね、腰止まんない、気持ちいい……きもちい?」
「いいっ、きもちいからっ、やんっ、あんっ! あぁあ~っ!」
「イきっぱなしだね。もう、なんでそんなに可愛いの、もっといじめたくなっちゃうじゃない」

 容赦ない腰の打ちつけに、ぎぃぎぃとベンチが軋む。
 穂花は綺羅の背にすがりつき、しとどに濡れた蜜壺をぶちゅぶちゅと貫かれる快感に、ただただ白いのどを反らして喘ぎ狂うのみ。

 ぞくぞくと、何かとてつもないものが、身体の奥底からせり上がってくる。

「んっ……僕もそろそろ、イきそ……」
「あ、あ……やだ、やだぁ……!」
「大丈夫、こわくない。気持ちいいときはなんて言うの? 言ってごらん」
「いく……イッちゃうからぁっ……!」
「あははっ……よくできました……っん」

 よしよしと頭を撫でながら、綺羅は動きを止めない。泥濘を掻き混ぜて、深く、ふかく、入り込んで。刹那、ばちりと、視界が明滅した。

「だめ、だめぇ――あぁあ、あぁあんッ!!」
「んっ……く…………はぁっ」

 どこにも逃がしようのない熱の荒波が全身を飲み込み、穂花を絶叫させる。
 どくん。脈動を感じた次の瞬間、腹の奥で熱がほとばしった。
 ぎゅうと抱きすくめる腕の力は、胸が切なくなるほど、痛い。身体の芯を、奥を完全に満たすまで、決して離してはもらえなかった。

「孕んじゃえばいいのに」

 ぎゅうぎゅうと収縮する肉壁に責め立てられるがまま、腟内ナカへ吐精した綺羅は、残滓まで押し込むようにとんっと軽く腰を打ちつけて子宮口を小突く。

「んッ……!」

 健気にも反応してしまう敏感な少女にふたたび劣情が煽られぬわけではなかったが、これ以上はさすがに嫌われるかな、と理性がはたらく。
 やがて呼吸を整えた綺羅は、いまだ肩を上下させる穂花のほほをひとなですると、乱れた射干玉の髪に、指先を通した。
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