【R18】御刀さまと花婿たち

はーこ

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本編

*19* 弟の執愛 ※R18

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 じゅぷ、じゅぷ……

 まとわりつくような水音に合わせ、あっ、あっと媚びた猫のような声が、くぐもってきこえる。
 荒い息遣いがおのれのものであること、おおいかぶさる影のせいで息苦しいことを、覚醒のさなかに理解する。

「ん……起きた? あねさま」
「あ、葵葉あおば? ここは?」
「俺の部屋。姉さまがベタベタさわられてたまんないから、連れてきた。まぁ、『典薬寮てんやくりょう』のやつらに無理やり押し込められて癪ではあるけど、あいつ当分帰ってこないし、大丈夫だろ」

 たしかに、見慣れない天井だ。ここが、『神梛かんなぎ高等専門学校』の学生寮、ふたり一部屋の寮室なのだろうか。
 詳細を確認しようにも、葵葉にのしかかられているせいで、身動きがとれない。
 そしてなぜじぶんがベッドへ押し倒されていたのか、鼓御前つづみごぜんはわからなかった。

「これはどういう……んっ……」

 すぐさまわけを問おうとするも、鼓御前の桃色の唇からこぼれるのは、熱い吐息だけ。

「だぁめ。まだ上書きが終わってないんだから、じっとして?」

 くすくすと意地悪く常磐ときわの双眸を細めた葵葉が、のぞかせた赤い舌を右耳へねじ込んでくる。
 たっぷりと唾液をまとったそれが、じゅぷ、じゅぷりと軟骨のかたちに沿って這いまわる。

「ひゃっ……まって、葵葉……」
「やめてほしいの? 姉さまのからだはこんなに反応してるのに? 腰がビクビクしてるよ。焦れったいんでしょ」
「わ、かりませ……葵葉が、へんに、ふれるから……」
「姉さまがかわいいからだ。セーラー服、似合ってる。かわいくて……興奮する」

 葵葉の、鼓御前よりも大きくて硬い手が、セーラー服をすそからたくし上げる。
 その拍子にふるん、とまろい乳房がこぼれ、冷たい外気に素肌をさらされた鼓御前は、身をこわばらせた。
 けれども、両手でからだを隠す間もなく、ほのかに色づいた双丘の先端を、ぴんっと指ではじかれてしまう。

「んやぁっ!」
「イイ声。姉さま、胸を苛められるの好きだもんな?」
「そ、そんなことは……やぁっ、んっ!」
「気持ちよさそうな声出して、うそばっか。ほーら、硬くなってきたじゃん」

 親指の腹で円を描くように乳輪をなぞっていた葵葉が、つんと尖った乳嘴にゅうしを、くに、と押しつぶした。

「やぁあっ!」

 悲鳴にも似た嬌声を上げ、鼓御前が背をしならせる。

「っひ……やだ、なんか、へんです……葵葉、やめて」
「やめない。だって姉さま、あの野郎──あざみとかいうやつにしこたま霊力注がれたの、気づいてないだろ?」
「霊力……?」
「そうだよ。あいつ、発狂して霊力暴走させてやがんの。品行方正で成績優秀な新入生代表サマがきいて呆れるぜ」

 ──なんで、おれじゃないの。
 ──おれをみて! つづみごぜんさまぁっ……!

 思い出されるのは、幼子のように泣きじゃくりながら、すがりついてきた莇のすがた。

「まって……莇さんは、どうなされたの? 大丈夫なの?」
「……あいつのことなんかどうでもいいだろ」
「よくありません! 大怪我をしていたのに、その上霊力が暴走しただなんて……!」
「あのさわぎなら、あるじが……立花たちばなセンセがおさめてくれてるだろ。気にするまでもない。姉さまは、俺のことだけ考えていればいい」
「んッ……!」

 口早にまくし立てた葵葉が、鼓御前の白い胸をわし掴む。すこし乱暴な力加減で、苛立ちが感じ取れた。
 莇を案じる鼓御前のことが、葵葉は気に入らないのだ。

「姉さまと『契約』したのは俺だ。俺の霊力をたっぷり注いで、その憎たらしい霊力ニオイ、消してやるよ」

 ギラギラと、底知れない『なにか』を燻らせている常磐の双眸。それは、いくさへ向かうときの高揚感と似て非なるもの。
『それ』を向けられている対象がおのれなのだと悟った鼓御前は、つかの間、ひるんでしまう。

「俺にまかせてよ、気持ちいいことしかしないから」

 くっとのどの奥で笑った葵葉が、にやりと口の端を持ち上げたかと思えば、凝った少女の乳嘴へ口づける。

「あ、葵葉、やめ、はなれ……んんっ!」
「強情だな。もしかして、煽ってる?」
「いっている意味が、わかりませ……ひゃあっ!」
「ん、わかった。姉さまは『ちょっと乱暴なほうが好き』ね」
「う……んっ、ん、んんっ……!」

 胸の蕾を舌先で転がされ、吸われ、もう片方の乳房はすこし痛いくらいに揉みしだかれ、指の腹で中心をこねくり回されるのだ。
 ひとりでに口からこぼれるかん高い声がじぶんのものではないようで、鼓御前は必死に、右手で声を押し殺す。

「こーら。がまんなんてしなくていいのに。姉さまのかわいい声、もっときかせてよ」
「あっ……」

 とろりと笑みを深めた葵葉によって、いともたやすく右手をさらわれてしまう。

「それとも、がまんできないくらい気持ちよくしてあげようか?」
「な……なにを……いって」

 ぞわり、と背筋が戦慄したのは、気のせいではないだろう。
 見下ろす葵葉は捕食者の目。
 いまこのとき、おのれは、その獲物なのだ。

「そうだなぁ……とりあえず、こっちでイくの、覚えようか?」

 手のひらで鼓御前の腿をなで上げた葵葉が、緋色のプリーツスカートに秘められた場所へと指先をのばす。

「って、もう濡れてるじゃん。姉さまのえっち。っはは、これもう脱いだほうがいいんじゃない?」

 葵葉が可笑しげに声をふるわせると、軽く爪を立てる。ピ……と繊維を裂かれた黒タイツだったものを、葵葉はしかし、あえて脱がせることはしない。

「さわるよ……姉さま」

 首すじへ顔をうずめてきた葵葉が、耳朶へ吐息を吹き込みながら、ささやく。
 直後、ぐぷぷ……と異物感に見舞われ。

「なにっ……やっ……!」
「大丈夫……大丈夫だから、ね?」
「うっ……ふ、ぁ、あ……!」

 葵葉の指が、はいり込んでくる。
 ときに押し返しながらも、ぐぷぐぷとむかえ入れるのは、ほかでもないじぶん。

「ほら、ぜんぶ挿った」

 は、は……と不規則な呼吸をくり返しながら、ぼんやりとしたまなざしで葵葉を見やる鼓御前。
 すると、プリーツスカートをめくり上げ、裂かれた黒タイツのすきまから侵入した長い中指が、根もとまで埋め込まれている様子を見て取れる。

「やっぱ、ちょっとキツいな。でもすぐにヨくなるから」
「はっ……あぁ、あ……」

 くちくちと、粘着質な水音がする。
 ひどく緩慢な仕草で、葵葉が指の抜き挿しをはじめたのだ。

「やっ……あっ、んんっ、あんっ」

 やめてほしいという懇願は声にはならず、意味のない母音ばかりが口からこぼれる。
 ちゅ、ちゅと鼓御前の白い喉に吸いつきながら、葵葉はわらった。

「今日はいっぱいイかせてあげるからな、姉さま?」
 
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