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第三章『焔魔仙教編』
第百三十七話 ゆらゆら遊歩【後】
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早梅のレクチャーにより、急遽開催されたじゃんけん大会。
勝ち抜いたのは、にこにこと笑みを浮かべた糸目の青年だった。
「よいしょ、それっ」
「お上手ですよ、梅雪さま」
「ありがとうございます、力仕事は得意です!」
五音は六夜たちのようにあからさまに早梅へ迫る様子がないため、黒皇としては警戒の度合いをどうすべきか、はかりかねていたが。
「よろしければ、舵を取ってみませんか?」
「いいんですか?」
「もちろん。前方は黒皇にまかせて、こちらへどうぞ」
「それじゃあ、失礼します。よっと……」
懸命に船をこぐ早梅を褒めちぎったかと思うと、言葉たくみにみずからのもとへ誘導する五音。
「船頭は前方にいる人が船をこいで前進させ、後方にいる人が櫂をかたむけて、方向を決めるんです」
「重要なのは、後方で舵を取る人なんですよね」
「正解です。失礼しますね。はい、櫂をもって」
「こうですか……?」
「ふふ、緊張しなくても大丈夫、私がいっしょにやりますからね」
黒皇はすっと細めた黄金の隻眼で、後方を見やる。
五音が足のあいだに早梅を座らせ、後ろから抱きしめるように櫂のあつかい方を指南している。あんなに密着する必要はあるのか、甚だ疑問だ。
「五音さま」
「手が止まっていますよ、黒皇」
こがねば船は進まない。
抗議をするくらいなら、はやく目的地にたどり着くほうが得策だろう。黒皇はひとつ嘆息をして、手にした櫂で水を掻いた。
すい……と流れに乗る船上で、風を肌で感じながら、早梅は五音を見上げる。
六夜同様に長身の彼は、頭ひとつ分高い場所で、にこりと笑みを返してきた。
「なにか、気になることでもありましたか?」
「そうですね……燈角の街のひとは、みんな船をあやつるのが上手というか。そういえば、すごく長い棹をもっているひともいました」
「船を進めるのには、櫂や櫓、棹を使います」
五音によると、櫂と櫓は水深のあるところ、棹は浅瀬で用い、さらに櫂、櫓、棹の順にあつかいが難しくなるとのこと。
「水底との距離を読んで、棹つぼという最適な場所に棹をさし入れる技術が求められます。ですので、うまく流れに棹をさせるようになるまで、三年はかかると言われているらしいですね。できますが」
「ほんとうですか? すごーい!」
「六夜や一心さまもできますよ」
「猫族って、器用なひとが多いんだなぁ」
談笑しながら、見事に舵を取っているのだ。手慣れたものである。
感心のままにうなずく早梅の頭上で、くすりと笑い声がもれたかと思うと──
「旭月も器用だったでしょう? ほんとうに賢くて、なんでもこなしてしまう子でした」
「え……」
突然ふられた話題に、すぐについていけない。
「こんなことを言うと、驚かれるでしょうが」
思考停止する早梅の脳は、流れる水の音さえも遮断し、無音の世界で、左の耳朶に静かな息遣いが寄せられる。
「旭月の母親は、私の姉にあたります」
「それって……!」
「はい。私はあなたの叔父……もどきですね」
思わずふり返った早梅へ、五音はすこしだけ、さびしげな微笑をみせた。
「血のつながりはないのに、あなたを家族のように想う私は、身勝手な男なのでしょうね」
「そんなことは……ありません」
こみ上げる熱で、声を絞りだすのが精いっぱいで。
うつむく早梅の右手が、五音の袖をにぎる。
「早家を追われた紫月兄さまを、気にかけてくださっていたんですよね」
そうでなければ、あんなに慈愛に満ちた優しい声音で、名前を呼ばないはずだ。
梅雪が知らない紫月を、五音は知っている。
「紫月兄さまは意地っ張りだから、なかなか口にはしないんですけど、五音さまがいてくれて、きっと心強かったと思いますよ」
「……っ」
声がふるえるのをこらえ、はにかむ。
けれど見上げた先で、五音のすがたを映すことは叶わない。
なぜなら、その五音に、きつく抱きしめられていたから。
船べりに固定された櫂がもち主をうしない、ぎいぎいと、木と紐のこすれる音がひびく。
「……五音さま?」
ようやく抱擁されている事実を飲み込んだ早梅が、おずおずと背へ腕をまわせば、耳もとで深い息が吐きだされた。
「こんなに身もこころもお美しい梅雪さまを放ったらかしにするなんて、いけない子だ。はやく帰ってこないと、私がもらってしまうよ、旭月」
「えーっと……うん?」
なんだろう。なにかが、おかしい。
そのことに、きつくきつく抱きすくめられるさなか、やっと気づく。
「叔父と姪の愛だなんて、背徳的なひびきで、どきどきしませんか?」
「五音さま、ちょっ、待っ……」
「えぇそうです、あなたへいだくこの感情は、恋ではなく、愛なのです」
「梅雪お嬢さま、こちらに」
「行きたいよ! でも五音さま、びくともしないの! 力強すぎ!」
「どこにも行かせませんよ。秘められしこのこころを暴いたのはあなたなのだから、わが愛の言葉を受け取ってもらいます。さぁお手をどうぞ。これからともに歩んでいきましょう、私の花妻」
「なんかもう奥さんになっちゃってるんですが!? じゃなくて、五音さま近っ……ひぃ! たすけて、へいふぁ~ん!」
あとほんのわずかで唇がかさなるほどに距離を詰められ、パニックのあまり、ギャン泣きの早梅。
これにはさすがの黒皇も、堪忍袋の尾が切れた。
「五音さま、いい加減にしてください。お嬢さまが泣いていらっしゃるのがお見えにならないのですか」
「ふむ……私は六夜のように、泣いている女性を虐めたいという性癖はないですからね。ふふ、仕方ありませんね」
黒皇に凄まれた五音は、意外にもあっさりと早梅を手放す。ぽかんと呆ける早梅を、すかさず黒皇が抱きよせた。
「ただ、これだけは覚えておいてくださいね、梅雪さま。私が、あなたの夫たる男だということを」
「ひぃ……」
満面の笑みで断言される。結婚するのは決定事項らしい。気分はさながら、猫に目をつけられた鼠だ。
「お嬢さまの夫は、私だけで充分です!」
五音から守るように抱きしめてくれる黒皇に感謝しつつも、あれ、いつ結婚したっけな……と乾いたわらいを浮かべる早梅だった。
勝ち抜いたのは、にこにこと笑みを浮かべた糸目の青年だった。
「よいしょ、それっ」
「お上手ですよ、梅雪さま」
「ありがとうございます、力仕事は得意です!」
五音は六夜たちのようにあからさまに早梅へ迫る様子がないため、黒皇としては警戒の度合いをどうすべきか、はかりかねていたが。
「よろしければ、舵を取ってみませんか?」
「いいんですか?」
「もちろん。前方は黒皇にまかせて、こちらへどうぞ」
「それじゃあ、失礼します。よっと……」
懸命に船をこぐ早梅を褒めちぎったかと思うと、言葉たくみにみずからのもとへ誘導する五音。
「船頭は前方にいる人が船をこいで前進させ、後方にいる人が櫂をかたむけて、方向を決めるんです」
「重要なのは、後方で舵を取る人なんですよね」
「正解です。失礼しますね。はい、櫂をもって」
「こうですか……?」
「ふふ、緊張しなくても大丈夫、私がいっしょにやりますからね」
黒皇はすっと細めた黄金の隻眼で、後方を見やる。
五音が足のあいだに早梅を座らせ、後ろから抱きしめるように櫂のあつかい方を指南している。あんなに密着する必要はあるのか、甚だ疑問だ。
「五音さま」
「手が止まっていますよ、黒皇」
こがねば船は進まない。
抗議をするくらいなら、はやく目的地にたどり着くほうが得策だろう。黒皇はひとつ嘆息をして、手にした櫂で水を掻いた。
すい……と流れに乗る船上で、風を肌で感じながら、早梅は五音を見上げる。
六夜同様に長身の彼は、頭ひとつ分高い場所で、にこりと笑みを返してきた。
「なにか、気になることでもありましたか?」
「そうですね……燈角の街のひとは、みんな船をあやつるのが上手というか。そういえば、すごく長い棹をもっているひともいました」
「船を進めるのには、櫂や櫓、棹を使います」
五音によると、櫂と櫓は水深のあるところ、棹は浅瀬で用い、さらに櫂、櫓、棹の順にあつかいが難しくなるとのこと。
「水底との距離を読んで、棹つぼという最適な場所に棹をさし入れる技術が求められます。ですので、うまく流れに棹をさせるようになるまで、三年はかかると言われているらしいですね。できますが」
「ほんとうですか? すごーい!」
「六夜や一心さまもできますよ」
「猫族って、器用なひとが多いんだなぁ」
談笑しながら、見事に舵を取っているのだ。手慣れたものである。
感心のままにうなずく早梅の頭上で、くすりと笑い声がもれたかと思うと──
「旭月も器用だったでしょう? ほんとうに賢くて、なんでもこなしてしまう子でした」
「え……」
突然ふられた話題に、すぐについていけない。
「こんなことを言うと、驚かれるでしょうが」
思考停止する早梅の脳は、流れる水の音さえも遮断し、無音の世界で、左の耳朶に静かな息遣いが寄せられる。
「旭月の母親は、私の姉にあたります」
「それって……!」
「はい。私はあなたの叔父……もどきですね」
思わずふり返った早梅へ、五音はすこしだけ、さびしげな微笑をみせた。
「血のつながりはないのに、あなたを家族のように想う私は、身勝手な男なのでしょうね」
「そんなことは……ありません」
こみ上げる熱で、声を絞りだすのが精いっぱいで。
うつむく早梅の右手が、五音の袖をにぎる。
「早家を追われた紫月兄さまを、気にかけてくださっていたんですよね」
そうでなければ、あんなに慈愛に満ちた優しい声音で、名前を呼ばないはずだ。
梅雪が知らない紫月を、五音は知っている。
「紫月兄さまは意地っ張りだから、なかなか口にはしないんですけど、五音さまがいてくれて、きっと心強かったと思いますよ」
「……っ」
声がふるえるのをこらえ、はにかむ。
けれど見上げた先で、五音のすがたを映すことは叶わない。
なぜなら、その五音に、きつく抱きしめられていたから。
船べりに固定された櫂がもち主をうしない、ぎいぎいと、木と紐のこすれる音がひびく。
「……五音さま?」
ようやく抱擁されている事実を飲み込んだ早梅が、おずおずと背へ腕をまわせば、耳もとで深い息が吐きだされた。
「こんなに身もこころもお美しい梅雪さまを放ったらかしにするなんて、いけない子だ。はやく帰ってこないと、私がもらってしまうよ、旭月」
「えーっと……うん?」
なんだろう。なにかが、おかしい。
そのことに、きつくきつく抱きすくめられるさなか、やっと気づく。
「叔父と姪の愛だなんて、背徳的なひびきで、どきどきしませんか?」
「五音さま、ちょっ、待っ……」
「えぇそうです、あなたへいだくこの感情は、恋ではなく、愛なのです」
「梅雪お嬢さま、こちらに」
「行きたいよ! でも五音さま、びくともしないの! 力強すぎ!」
「どこにも行かせませんよ。秘められしこのこころを暴いたのはあなたなのだから、わが愛の言葉を受け取ってもらいます。さぁお手をどうぞ。これからともに歩んでいきましょう、私の花妻」
「なんかもう奥さんになっちゃってるんですが!? じゃなくて、五音さま近っ……ひぃ! たすけて、へいふぁ~ん!」
あとほんのわずかで唇がかさなるほどに距離を詰められ、パニックのあまり、ギャン泣きの早梅。
これにはさすがの黒皇も、堪忍袋の尾が切れた。
「五音さま、いい加減にしてください。お嬢さまが泣いていらっしゃるのがお見えにならないのですか」
「ふむ……私は六夜のように、泣いている女性を虐めたいという性癖はないですからね。ふふ、仕方ありませんね」
黒皇に凄まれた五音は、意外にもあっさりと早梅を手放す。ぽかんと呆ける早梅を、すかさず黒皇が抱きよせた。
「ただ、これだけは覚えておいてくださいね、梅雪さま。私が、あなたの夫たる男だということを」
「ひぃ……」
満面の笑みで断言される。結婚するのは決定事項らしい。気分はさながら、猫に目をつけられた鼠だ。
「お嬢さまの夫は、私だけで充分です!」
五音から守るように抱きしめてくれる黒皇に感謝しつつも、あれ、いつ結婚したっけな……と乾いたわらいを浮かべる早梅だった。
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