6 / 6
答え合わせ
しおりを挟む
「無理だろ。これ以上の進展は。なんせ鈍感な上に奥手な、あの兄貴だぞ」
「だよね、私もそれとなーく告ろうとしたら玉砕したの。詰んだ。助けて」
「仕方ねぇな、協力してやるよ」
「ありがと~! あんたはほんといいやつだよ、優~! で、具体的になにをすれば?」
「そうだな……あー、アレとかどうだ。おまえんとこの家系の、意味不明な体質」
「あ、なんか物理的な衝撃受けたりとかすると、コロコロ性別変わっちゃうやつ? 叔母さんもとい叔父さんから話聞いて、うそすぎでしょって失神しかけたんだよね、昨日」
「そこで失神しない図太さが取り柄のおまえだけど、どうにかこのセンシティブな問題を踏み台にしてみせろ。しおらしくしてりゃ、流石にあの鈍感大魔神にも響くだろ」
「な~る」
「距離を詰めたら俺が引っかき回してやる。女優になれ」
「がってん!」
「優~! おでこ大丈夫? こないだはごめんね、はりきってちょっと派手に転びすぎちゃった!」
「痛いのはお互いさまだろ。てか、タイミング的には最高だったし、結果オーライじゃね」
「そう! ほんといいときに秀さん来てくれて! 優発案『ドキドキ性転換事件からのハラハラやきもち大作戦』、大成功だね! 演技も最高だった! ありがとう、優!」
「別に、俺もやりたくてやってたし。まぁ……失敗して、俺が慰めてやってもよかったんだけど、な」
「大好きな子がいるんです。幼馴染の女の子」
「あの日、ほんとはすごく焦ってたんです。顔を見るまで、生きた心地がしなかった。それで、僕を頼りにしてくれて、嬉しくなりました。現金ですよね」
「でも、僕たちはひと回りも年が離れてるし、うちの優くんと仲がいいから、見守ろうって、そう思ったんです」
「だけどやっぱり、ダメでした。ふたりが密着してるのを見たら、カッとなっちゃって……はは、うまいこと、してやられましたね」
「やっと、わかりましたから。だから僕は、もう、間違えません」
「もう、自分の気持ちに、うそはつきません」
──私たちは、うそをつきました。
そうして、かけがえのないものを得ました。
「百ちゃん」
「なんですか? 秀さん」
「大好きです。一くんも。きみのことは、全部好き」
「ひぇ……勘弁してください……」
「照れてるの? かわいいな」
「秀さんのいじわる!」
「あはは」
──以上、証明終了。
「だよね、私もそれとなーく告ろうとしたら玉砕したの。詰んだ。助けて」
「仕方ねぇな、協力してやるよ」
「ありがと~! あんたはほんといいやつだよ、優~! で、具体的になにをすれば?」
「そうだな……あー、アレとかどうだ。おまえんとこの家系の、意味不明な体質」
「あ、なんか物理的な衝撃受けたりとかすると、コロコロ性別変わっちゃうやつ? 叔母さんもとい叔父さんから話聞いて、うそすぎでしょって失神しかけたんだよね、昨日」
「そこで失神しない図太さが取り柄のおまえだけど、どうにかこのセンシティブな問題を踏み台にしてみせろ。しおらしくしてりゃ、流石にあの鈍感大魔神にも響くだろ」
「な~る」
「距離を詰めたら俺が引っかき回してやる。女優になれ」
「がってん!」
「優~! おでこ大丈夫? こないだはごめんね、はりきってちょっと派手に転びすぎちゃった!」
「痛いのはお互いさまだろ。てか、タイミング的には最高だったし、結果オーライじゃね」
「そう! ほんといいときに秀さん来てくれて! 優発案『ドキドキ性転換事件からのハラハラやきもち大作戦』、大成功だね! 演技も最高だった! ありがとう、優!」
「別に、俺もやりたくてやってたし。まぁ……失敗して、俺が慰めてやってもよかったんだけど、な」
「大好きな子がいるんです。幼馴染の女の子」
「あの日、ほんとはすごく焦ってたんです。顔を見るまで、生きた心地がしなかった。それで、僕を頼りにしてくれて、嬉しくなりました。現金ですよね」
「でも、僕たちはひと回りも年が離れてるし、うちの優くんと仲がいいから、見守ろうって、そう思ったんです」
「だけどやっぱり、ダメでした。ふたりが密着してるのを見たら、カッとなっちゃって……はは、うまいこと、してやられましたね」
「やっと、わかりましたから。だから僕は、もう、間違えません」
「もう、自分の気持ちに、うそはつきません」
──私たちは、うそをつきました。
そうして、かけがえのないものを得ました。
「百ちゃん」
「なんですか? 秀さん」
「大好きです。一くんも。きみのことは、全部好き」
「ひぇ……勘弁してください……」
「照れてるの? かわいいな」
「秀さんのいじわる!」
「あはは」
──以上、証明終了。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる